太陽の言葉に呆れているセイにバツの悪そうな太陽
太陽「そんな睨むことないじゃんかよ…」
太陽はそう言うと、ふてくされたような顔をしてぶつくさいいながら楓がまだ手をつけていないおひたしを口に運ぶ
太陽「ほら!こ~んなにうまい…う…ま…い?」
太陽が食べている口からじゃりじゃりとした音が漏れる
セイ「なんでおひたしなのにそんな音がするんだよ・・・」
太陽「これ、やばいぐらい甘いぞ…なんか俺…吐きそう…」
セイ「おい!!ここで吐くな!!吐くならちゃんと!!」
太陽「うええ~もう無理…」
セイ「うわ!おい!!」
セイは慌てて太陽の口の前に自分の上着を脱いで押し付けた
太陽「おええええええええ」
セイ「………なんでこんなに料理が下手なくせに作ろうとするんだよ…」
太陽「・・・・おえええ…だってよ、手作りってなんかいいじゃん」
セイ「お前のとこにシェフがいるだろ、あれも手作りだろ」
太陽「はあ…わかってないな~セイは。プロじゃなくて素人が一生懸命愛情をこめて作るのがいいんだよ」
セイ「…愛情がこんな不味いのなら俺はいらない」
太陽「相変わらずセイははっきり言うな~」
セイの言葉に太陽は力なく笑う
セイ「おい、一応ここの家は道明寺のものなんだから、汚すなよ」
太陽「わかってるよ~」
楓がいつのまにか部屋の入口にたっていた、やり取りを聞いていたようで驚いた顔をしている
セイ「君、大丈夫?」
楓の気配に気づいたセイが楓に声をかける
楓「道明寺家…うちのことを呼び捨てにするのはあなたたちがはじめてだわ…あなたたちって何者なの?」
太陽「え?楓ちゃん道明寺の子なの?」
太陽の心底驚いてるような言葉にセイはまた呆れている
セイ「お前、考えてみろよ、道明寺家の敷地にこんな女の子が迷って入ってこれるか?普通」
太陽「あ、それもそうか!てことは楓ちゃんって…」
太陽はそう言った後、悩んでいるように首をかしげる
セイ「道明寺楓だよ。当主の一人娘の」
セイの言葉に太陽は納得したように表情が明るくなった
太陽「あ!!ザ・メープルホテルの名前にもなった当主の大事な一人娘か!」
楓「え・・・・?」
太陽のその言葉に楓は言葉を無くす
太陽「えって、楓ちゃん知らなかったの?」
セイ「ふ~ん、それで道明寺家の跡取りね」
楓「…っ…」
セイの言葉に楓は何も言い返せない
太陽「教えてあげるよ、今、全国に造り始めているザ・メープルホテル。これは今当主が一番力を入れている事業だ。超高級ホテルで、当主はここのホテルの名前を娘からとったと語ってる。それで全国の富豪たちは娘を大事にする道明グループのザ・メープルホテルがお気に入りでどんどん人気がでているんだよ。家族でゆったり過ごせる良い場所だってね」
楓「・・・・」
楓は太陽から説明を受け、何か納得したような表情を見せる
セイはその楓の表情を黙って眺めていた
太陽「といっても去年の出来事だから、跡取りになったばかりなら知らないのかな?」
楓の心の声(去年は、兄の事もだけど環境が変わりすぎて…目先のことで精一杯だったから…)
楓は何も言いかえさずに、太陽の話を聞いている
セイ「まあ、当主もいい宣伝にしてるよね」
セイの言葉を聞き、楓が顔をあげる
太陽「宣伝ってなんだよ!家族思いですっごいいい話じゃん!娘の名前をホテルにつけちゃうんだぜ?!」
セイ「ははっ太陽はそういうとこが素直でいいと思うよ」
セイの言葉に楓は少し泣きそうになっていた
楓の心の声(私のお父様なら、宣伝として私の名前をつけたのは確かよね。でもそれをすぐにわかってくれて声に出していってくれた人ははじめてだわ)
楓は少し息を吐いてから、もう一度二人に聞いた
楓「ねえ、あなたたちは、何者なの?」
楓の問いに、二人が楓のほうへと身体を向ける
太陽「俺たちは…」
☆☆☆☆
続く