女生徒「あら、日本のお譲さんが来たわよ」

男子生徒「おはよ~今日も元気かな?」

女生徒「あら、ごめんなさい、ぶつかっちゃったわ」

女生徒「あらら、私も手を間違えて踏んじゃったわ・・・ごめんなさいね?」

女生徒と男子生徒がそう言って笑いながら楓の前を去る

言葉は柔らかい口調ではあったが、楓は一部の生徒たちからわざと、ぶつかられ転ばされるのを繰りかえされていた

セイ「・・・・・・・」

そんな楓の様子を遠くの窓から見守るセイ

先生「ハイ!セイ!今日は何しにここにきたんだい?君は今は日本の生徒だろ?」

セイ「・・・お久しぶりです。ちょっと懐かしくなって来てしまったんですが・・・・少しだけ学園の中を歩いても?」

先生「大歓迎だよ!帰るときにまた声をかけてくれ!」

セイ「OK」

先生とセイが言葉を交わす、少しだけセイはここの学園に通っていたことがあった

楓の他にもちらほらと日本人の姿があるが、みな眼鏡をかけた優等生風だ

セイ「・・・・周りに歓迎はされてないようだな、ここは財閥だとしても他の奴らは王族貴族の血筋の奴だったり・・・さすがの道明寺も手が出ないからな」

状況を確認したあと、セイは楓に会おうと楓の方へと向かう

楓「・・・・」

楓が重い鉄製のドアをあけ、外に出た

セイもそんな楓の後を追う

ドアの先は、学園の非常階段だった

セイ「ここは、俺もよく来たな」

楓「!!!」

セイの声に驚き振り向く楓

セイ「昨日はどうも。今日も館に来るの?」

セイは何事もなかったかのように楓に話しかけた

楓「・・・・え、ええ・・・館に行こうと思ってるわ」

転んだ時の乱れた髪の毛を直しながら楓はそう答えた

少しだけ静けさが流れた後、セイは楓の隣へと行く

セイ「怪我、大丈夫?」

楓「!!」

楓は先ほど踏まれた手をもう片方の手で隠した

セイ「昨日の怪我は・・・このせいか」

楓「・・・なんでここにいるの」

楓が低めの声でセイに聞いた

セイ「なんで?なんでかな。なんでかしらないけど、気になったんだよね」

楓「・・・・・・・・」

楓はお腹あたりの服を手で守るように掴んだ

セイ「ここ、少しだけ通ってたことあるんだよね。結局日本の英徳に転校したけどさ」

セイはそう言って背伸びをした

セイ「ここ、陰湿なことも多いよね」

楓はそれを聞いて首を横に振った

セイ「?」

楓「私が悪いの」

セイ「日本人だから、いじめにあってるんじゃないの?」

楓「それもあるけど。。。。。私ね、人との距離感が他の人とは違うみたい・・・・知らなかったのよ、日本では周りが私のために勝手に色々してくれるから、それが当たり前だと思っちゃってた。それでここの学園に来たとき、私何も考えないで、移動教室の時に同じ同級生に教室に忘れたものを、取ってきてくださる?って頼んでしまったの」

セイ「それは・・・君が悪いね」

楓はそれに静かにうなづいた

楓「それで、私が気づかないだけで、そういうのを何度かしてしまっていたのよ・・・・」

セイ「日本では、道明寺に逆らう奴らはいないもんな」

楓「みんな、笑って私の身の回りのお世話をしてくれてたわ、それが当然で、当たり前だと思い込んでたのよ。こんな風なら、いじめられて当たり前よね」

楓はそう言って笑う

楓「でもね、おかげで気づくことができたわ。こうして学んで、私はまた成長するのよ」

今度は楓がセイのように背伸びをした

セイ「・・・・・・」

風に吹かれる楓の横顔を眺めるセイ

セイ「・・・」

セイは楓の印象が少し変わった。このこは思ったより強いこなのかもしれない。

そう思い直しセイが微笑んだ時、楓が少しだけ悲しそうな瞳になってこうつぶやいた

楓「でもね、少しだけ、ほんの少しだけど、日本に戻りたいなって思うことはあるのよ。いじめが辛いから・・・とかじゃなく・・・ううん少しはあるかもしれない、けど前に日本にいた時、道明寺で隠されて私は何も見てこなかったのかもしれないと思ったら、ちょっと悔しいのよ」

セイ「・・・・ふ~ん、道明寺の〔お嬢さん〕をやめたいってこと?」

セイは少し皮肉ってそう楓に問う、だが楓はそれにうなづいた

楓「そうよ・・・道明寺で働いている人たちは数百万人以上、私はその上の頂点に立つのよ。ここの学園の生徒よりもさらに多い人数。その人たちの人生が〔私〕で決まってしまうの」

セイ「・・・」

セイは楓の言葉を黙って聞いていた

楓「・・・知ってる?私に兄がいたこと、兄が亡くなって、いろんなことがあった、潰れた会社もあったわ。昨日まで幸せだった家族が一瞬で地獄の生活になったの。でも、その人たちに心を砕いて助けようとすれば・・・」

セイ「今度は他の幸せな奴らが地獄をみる」

セイの言葉に楓はうなづいた

楓「・・・今の道明寺に守られた私じゃ、自分ばかりを守る選択をしてしまいそうなのよ。私の選択じゃない〔道明寺〕にとって良い選択を瞬時に決めなくちゃいけない世界なんだって・・・お父様の後ろで仕事を見ていて気づいたわ、でもこのままの私じゃ・・・」

セイ「無理だろうな、道明寺グループの末端の会社員全員が路頭に迷う未来しかみえないもんな」

楓「・・・・酷い・・・」

セイ「けど言い返せないだろ?」

楓「そうね・・・まったくもって言い返せないわ」

セイと楓はそう言って、顔を見合わせて笑い合う

セイ「意外と君も、跡取りとしてちゃんとしてきたってことなんじゃないの?」

セイの言葉に楓は自分の右手を開きその手を見つめながら消え入りそうな声でつぶやいた

楓「・・・・怖くないっていったら嘘になるわ・・・でも私がやらなきゃ、誰がやるのよ」

楓の手がかすかに震えていた

セイ「・・・・女性には重すぎると僕は思うよ」

セイの言葉に楓は右手を握り締めながら力強い言葉で否定した

楓「たった一言で、数百万人の人生が変わる。誰が敵か味方かもわからない。でも私は、やってみたいのよ。道明寺を守り抜いていきたい」

セイ「ふ~ん・・・君、案外強いね、見直した」

セイがそう言って楓の頭を撫でた

楓「なっ!!なにするの・・・」

楓が驚いて身体を離そうとする

セイ「そこの考えに辿り着いたなら、君はもう立派な跡取りだと思うよ。俺も応援する。跡取りのもの同士、たまに会って話そうか」

セイがそう言って微笑んだ

楓「・・・あの」

セイ「ん?」

楓「昨日は突然泣き出してごめんなさい。もう泣き言は言わないわ」

セイは笑ってそれを否定した

セイ「やっぱり君はばかだな、俺と太陽になら、泣き言を言っていいよ。立場は似たようなものだから。まあ、太陽は少し違うけど」

セイはそういったあと、少しさみしそうな目をした

楓は太陽のことを聞こうと思ったが、うまく言葉がでてこない

楓「うちと合併したあと、清宮の何を継ぐんだろうって太陽さん、昨日笑っていってました」

その言葉に、一瞬セイの身体が硬直した

楓「セイ・・・さん?」

呼び捨てになれない楓は、まださん付けになってしまう、そんな楓の呼ぶ声にセイは反応せず、そのまま目を伏せこうつぶやいた

セイ「今はとりえず、それ、消毒しようか」

楓「え?」

ふと見ると、楓の手の切り傷から出血していた

セイ「おいで、俺がやってあげる」

楓「・・・え??」

☆☆☆☆

続く

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