ある日、楓の部屋にて

楓『今日は何して遊ぶの?』

そう使用人頭に問いかける楓

使用人頭『今日は私とお絵描きしましょう楓様』

穏やかな微笑みで優しくこたえる使用人頭

楓『この前の子達は?』

もうこの前の出来事から一週間がたっていた、その間一度もあの子達に会うことはなかったが楓は毎日使用人頭に聞いていた

使用人頭『…楓様のためにお父様が新しい絵の具を買ってくださいましたよ』

楓の興味が他の事にうつるように、使用人頭はさり気なく話題をかえる

楓『え?ほんと?』

使用人頭『ええ』

思惑通りに楓の興味がうつり、使用人頭はほっと胸を撫で下ろす

使用人頭(あの後あの子達の親は旦那様に取引を停止され行方知れず…たった一週間であの子達全てが路頭に迷う事に…ただただ楓様を泣かせたから…いいや違う、きっと旦那様はもともと何かしら理由をつけて、彼等と縁を切りたがっていたのだろう、そうゆう御方だ…)

使用人頭は心の中でそう思いふける

楓『ねぇ、聞いてる?』

突然楓からの問いに慌てる使用人頭

使用人頭『申し訳ありません!!…』

使用人頭は楓の言葉を聞かずに考え事をしていたため、楓の言葉を聞き逃したのだ

だが楓は怒ることもなく

楓『いいの、いつも大変そうだもんね、ねね、私のベッドで少し寝たら??きっと疲れもたくさんとれるよ!』

そう無邪気に笑う楓に使用人頭も優しくこたえた

使用人頭『ありがとうございます、楓様はとても優しいですね』

褒められて嬉しそうにもじもじと照れる楓

楓『うん!!だって…えっと…あなたはお母様みたいなんだもの』

その言葉に使用人頭もとても嬉しそうにする

使用人頭『もったないお言葉をありがとうございます、楓様、ですが私などより楓様のお母様はとても素晴らしく賢い御方でした、だから私のことをお母様みたいと思ってしまってはいけません、お母様もさみしくお思いになられますよ?』

楓『え!じゃあえっとえっと、お姉さまみたいは?』

その楓の返事にも困ったようにかえす使用人頭

使用人頭『楓様にはお姉さまはいらっしゃいませんがとても立派なお兄様がいらっしゃるではございませんか、私のことはこれまでどおり、使用人頭のハナとしてお思い下さい』

楓『??あなたのお名前はハナっていうの?』

使用人頭ハナ『!!申し訳ありません、旦那様から使用人は名乗らずと申し使っておりましたのに…楓様、私の名前はお忘れ下さい』

使用人頭ハナは慌ててそうかえしたが、楓はとても嬉しそうだった

楓『じゃあお父様にはいわないから!!ハナ、私はハナって呼びたい』

使用人頭は困惑するが、楓の嬉しそうな表情に拒否することも躊躇する

 

使用人頭ハナ『わかりました楓様、では私と二人きりのときだけ私の名前で呼んでもらえますか?その方が私もとても嬉しいです』

使用人頭ハナはとても嬉しそうに優しく楓にこたえた

楓『二人だけの秘密!ね!嬉しい!!ハナ、よろしくね』

楓はとっても嬉しそうだ

楓『ほんとはね、あの子達に謝りたかったの、泣いてごめんねって、また遊んでって』

楓が使用人頭ハナに気を許したのか、甘えるようにそう言葉を零す

使用人頭ハナは恐る恐る楓の頭を撫でる

楓はそれにびくっとしたが、頭を撫でられとても幸せそうだ

使用人頭ハナ『私などが楓様の頭を撫でてしまい申し訳ありません、ですが、楓様がとてもお優しいので思わず…』

楓は使用人頭の言葉を全部聞く前に割ってはいった

 

楓『いいの!嬉しい!!もっと撫でて!!で…あの…ぎゅっとして』

使用人頭ハナ『!!』

使用人頭ハナは楓のその言葉に反射的に抱きしめてしまった

楓『ハナいい匂いするー』

使用人頭ハナ『楓様…』

楓はまだ子供だ、でも他の子供に比べると周りにとても気を遣い、おどおどとしている、賢くはあるが引っ込み思案でもある

そんな楓のことがまるで母親のように愛おしく感じている使用人頭のハナ

だが楓と心を通わせていることが知られれば楓の父親はハナを首にするだろう

使用人頭として大事な事は『何も言わない、何も聞かない、何も見ない』ただただ使用人として徹しなければいけないことは誰よりもハナはわかっていた

誰かに心を通わせてしまうと、色んな事が『平等』にはできなくなる、人間にとって当たり前のことだが、それは使用人としてはダメな事だった、道明寺家では特に…

道明寺家当主、楓の父親は楓を理由に子供達の親を路頭に迷わせたが、楓のことを愛しているようにはまったくみえなかった

そう、お絵描き道具を買ってくれたのは、実は父親ではない、お兄様のほうだった、楓の兄は楓のことをとても可愛がっていた、年が離れていたのもあるだろう、忙しい合間をぬっては楓に会いにきていた

この日の夜も楓兄は楓のことを聞いてきた

楓兄『楓は?寝たのか?』

屋敷に帰るや否やそう問いかける楓の兄

使用人頭『はい、先程』

楓兄『お絵描きはしたのか?』

使用人頭『はい、とても楽しく絵を描いてらっしゃいました…あの、差し出がましいようですが、本当に旦那様からのプレゼントとしてもよろしかったのでしょうか?お兄様からと楓様にもお教えしたほうが…』

その言葉を遮る兄

楓兄『いいんだ、その方が楓も喜ぶ…父上は楓のことを産まれてから写真でしか見てないような父親だ…そっちの方を知ったほうが楓は悲しむ』

楓兄の優しさにも心を打たれる使用人頭のハナ

使用人頭『楓様、本当にとても大喜びしておりました』

それを聞いて満足そうな楓兄

楓兄『そうか、それにしてもとても疲れた、父上の仕事を覚えるのは大事なことだが…勉強もしたい、少し寝るから一時間後に起こしてくれるか?』

使用人頭『かしこまりました』

疲れている楓兄を見て少し心配そうな使用人頭
本当ならば楓兄はまだ現在でいう中学生くらいなのだ
だが楓兄はとても大人びていて賢く、素晴らしい青年だった
楓兄は楓にとても優しく、楓も兄がとても大好きだ、父親はめったに屋敷には帰ってこないが、楓兄はできるだけ楓のいる屋敷へと帰ってきていた

楓の幼少期はこのような日々の毎日だった

それから数年

兄が留学する、海外にある別宅に住み、道明寺グループの仕事を覚えながら海外の大学に入ることになる

この時代でそれはとても珍しい事だった

楓も、兄がとても遠くに行くことを理解していた、そんな楓ももう10歳はすぎていた

留学する日、道明寺家にて

楓『お兄様、行ってらっしゃいませ』

楓兄『楓か、あぁ、ありがとう、使用人頭の云うことをよく聞いて、健康に気をつけろよ!あとそれと、美味しいものもいっぱい食べて、たくさん寝て、あぁそれから好きな男ができたら一番に教えろよ!あとそれから…』

洋装の服を着ながら、兄は楓に色んな事をいいたりないといった感じで話続ける

楓もそれをとても嬉しそうに聞いているが、やはりとてもさみしそうだ

使用人頭『楓様、お身体気をつけて…』

楓『ハ…あっいや、あなたも…気をつけてね』

ハナの名前を呼びかけて慌てて言葉をかえる楓

使用人頭ハナも楓兄のお世話係として付き添うよう父親に命令されたのだった

☆☆☆
続く

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