楓の婚約発表がされてから数週間後、道明寺家前の記者も落ち着きを取り戻していた

 

世間に騒がれてたとしても、楓は残りの学園生活を普通に通うことに決めた

 

楓「高校三年の生活も残り2ヵ月、来月は卒業プロムもあるもの…」

 

この時、セイと太陽は大学へ、楓は高校三年になっていた

 

楓は高校三年になる少し前の時期に、TOJで優勝し、日本一の女子高生になっていた

 

そこから一年弱、あのパーティー事件の報道で「男遊びが激しい道明寺家跡取り娘」のレッテルをはられていたが清宮、如月とともに楓は謝罪会見し、そこから数か月TOJのコンテストに楓は出場

 

TOJでは楓は見事に優勝し「現代の大和撫子道明寺楓の恋するお相手は?」などといった記事が多くなっていった

 

その時の恋のお相手として、必ず一緒に載ってしまっていたのが清宮と如月だった

 

でもある日を境にそういった記事もぱったりとなくなり、楓の日々に平穏が訪れていた

 

それは、パーティー事件の記事を止めもしなかった道明寺家当主がなぜか今回の記事の報道を止めたからだったのだ

 

でもせっかくの平穏の生活もほんのひと時、今度は道明寺楓の婚約発表が楓の知らない場所で行われてしまった

 

楓「きっと、お父様ね…」

 

楓は諦めたようにそうつぶやいて、制服に袖を通す

 

楓「…あの日、私の人生は終わったと思っていたけれど…」

 

楓はそう言って自分の顔を鏡にうつす

 

楓「…セイのおかげでここまで来れたわ。セイに恥じない私でいたい」

 

楓がそうつぶやき、制服を着終わって部屋から出た

 

ハナ「楓様、おはようございます」

 

楓「おはよう」

 

タマ「おはようございます」

 

楓「おはよう」

 

楓はまっすぐ車へと乗りこんだ

 

ハナ・タマ「いってらっしゃいませ」

 

楓「・・・・・・」

 

なんと楓は、タマとハナに他人行儀になっていたのだ

 

それは楓のあのパーティーの事件のあとからだった

 

楓の車が去ったあと、タマは思わず自分の母のハナにこう話しかけてしまう

 

タマ「楓様は、こちらを見てもくれなくなりましたね」

 

タマに話しかけられたハナは無言のままだった

 

タマ「…少しばかりさみしくもありますね」

 

ハナ「…これが本来の使用人との関係よ。余計なことを気にしないで仕事に戻りなさい」

 

タマ「…笑った顔もみなくなりましたし」

 

ハナの言葉が聞こえているがタマはハナに話しかけ続けてしまう

 

ハナ「…タマ」

 

少し怒った口調のハナ、だがタマは話を止めなかった

 

タマ「本当はお母様もさみしいのでしょう?」

 

タマはハナにそれを確かめたかったのだ

 

楓にそっけなくされるようになって一番辛いのはハナのはず、でもハナはそれを微塵も感じさせない働きぶりだったため、タマは逆に母を心配していたのだった

 

タマにそう聞かれるが、ハナはやはり表情一つ変えない

 

ハナ「これでいいのよ」

 

ハナはそう言って、その場を立ち去ったのだった

 

楓がどうしてハナやタマにそういった態度をとるようになってしまったのだろう

 

そのことには、やはりパーティーの事件が大きく関わっていたのだ

 

道明寺家車の中

 

楓の心の声(あの日、私のことをちゃんと見ていなかった、監督不行き届きとして複数の私の周りの使用人や付き添い、警護人が辞めさせられた…ハナも辞めさせられそうになっていたけど…お父様と私はある約束をしたから…)

 

楓は、道明寺家当主とパーティーの事件の数か月後に会っていた、その時のことを思い出す

 

当主「あの仕事は?」

 

楓「すべて、お父様の言っていた通りに手配済みです」

 

当主「…」

 

普段ならここで話が終わり無駄なことを話さない当主だったが、今日は違っていた

 

当主「気分はどうだ。お前の軽はずみな行動で数万人が仕事を失った」

 

楓「っ・・・・」

 

当主の言葉に何も言い返せない楓

 

当主「お前は一時期ショックで言葉を失ったそうだが、他のものは言葉よりもっと失うものが多かった。お前の失ったものなど、他のものに比べたら…」

 

当主の言葉が心臓に突き刺さるような感覚におちいる楓

 

楓「申し訳…ありません」

 

当主「使用人頭とも、仲が良いようだが…親密な関係は物事を平等にしなくなる、わかるか?」

 

楓「…はい」

 

当主「ならば、一人の人としてではなく、道明寺家のものとしての接し方も覚えろ」

 

楓「…はい」

 

当主が珍しく、楓に対して説教をする。普段は楓のことなど興味ないといった風だったのに

 

だが楓は説教されて、辛くはあったが、どこか嬉しさも感じていた

 

もしかしたら跡取りとして認めてもらったのかもしれない。楓はそう思わずにいられなかった

 

楓の兄が亡くなってから、当主は楓のことを仕方がないから跡取りにしたといったのが態度で伝わるくらい、楓のことになんら期待をしていないようだったからだ

 

楓は、やっと楓の兄に追いつくことができたのかもしれない

 

そう思ったとき、当主が意外な言葉を言ったのだった

 

当主「だが、あの会見はよくやった。清宮家、如月家とも仲が良いお前には、今後期待している」

 

楓「!!!!」

 

人を褒めることなどない当主が、楓を褒める、楓の全身が一気に嬉しさで熱くなるのを感じた

 

楓「あ、ありがとうございます」

 

当主「いいか、清宮と如月の関係は、うまく繋げろ。絶対逃すな」

 

当主はそう言った後、秘書の西田を呼び、また仕事へと戻っていった

 

会長室に残された楓は一人、静かに涙を流していた

 

楓「あの日、はじめて褒められて、すごくすごく嬉しかった…跡取りとして頑張りたい、そう強く思ったわ…でも今のままじゃ私はダメなんだってのも、あの男に組み敷かれた時に強く実感した…そう、私は強くならなきゃだめなのよ」

 

楓がそう自分の決意を確認するかのようにつぶやいたとき、学園へと車が到着した

 

楓「人に守られるんじゃない。自分で自分を守って人が近づけないくらいの自分にならないと、道明寺家のTOPにはなれない。感情を周りに見せて、隙を作ってしまったら、そこで道明寺家は終了だわ」

 

楓の表情が、冷たく変わる

 

楓「私はもっと、強くなれるのよ」

 

楓はそういいながら、学園へと入っていくのだった

 

確かに、一番最初に楓が学園へ来た時とは違っていた

 

楓の車がつくやいなや、周りは一気に道を開け、誰も気軽に楓に話しかけなくなっていた

 

楓から漂う空気やオーラは、過去の楓とは別人のようになっていたのだった

 

☆☆☆☆

 

続く

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