生徒達「ど、道明寺様、ご婚約おめでとうございます」

 

楓が教室に向かっている最中、意を決したように話しかけるものたちがいた

 

楓「・・・ありがとう」

 

生徒達「!!!」

 

生徒達は楓に返事をしてもらえてとても嬉しそうにしていた

 

楓「……」

 

楓は、ふと思い立ち人込みを避けてあの場所へと向かう

 

そう、あの場所とは英徳学園の非常階段だった

 

楓「…ここはいつも静かでいいわ」

 

楓は非常階段で風を感じ、ぼーーっと空を眺めていた

 

一時限目のチャイムが鳴り響く

 

ざわざわとしていた声も、チャイムの後にはすっかりと静かになり、非常階段はよりいっそう静けさに包まれた

 

楓「戻らないと…」

 

楓が非常階段から教室へ戻ろうと階段をのぼりかけた時、非常階段の扉が開く

 

セイ「…あ、またいた」

 

楓「セイ」

 

扉から入ってきたのは、もう大学生になったセイだった

 



 

優しい時間が流れた

 

セイが非常階段から景色を眺めはじめた

 

楓は、教室に戻ることもせずに、黙ってセイの後姿を見ていた

 

セイは現場にいたパーティーの事件のことについて一切楓に何も聞いてこなかった

 

楓は、それが何よりも助かっていた

 

楓「大学生になっても、時々ここに来てるわね」

 

楓はそう言ってセイの隣へと並ぶ

 

セイ「ここ、落ち着くからさ」

 

セイはそう言って伸びをした

 

セイ「……君はすっかり雰囲気変わったけどね」

 

楓「・・・・・・・」

 

セイの言葉に微笑むだけで返事をする楓

 

セイ「まあ、そういう強さもいいと思うよ。誰にも心を開かない、俺たちの世界ではそれが一番大事でもあるから」

 

セイはそう言って楓の頭をポンと撫でた

 

楓「セイは、記事を見たの?」

 

セイ「婚約発表?ちょっと早めの時期に発表だったね」

 

楓は自分からこの話を切り出した

 

楓「前から、太陽のお兄さんとの婚約は決まってはいたけれど、こんなに早い発表だとは私も知らなかったわ」

 

楓はそういうとため息をついた

 

セイ「…太陽から聞いたけど、TOJに君が出演したとき、太陽は兄貴も連れて一緒に会場で見てたんだって。そこで太陽の兄貴も君を見て、気に入ってたようだって、良かったね」

 

セイがそういったとき、楓の心臓がぎゅうっと痛く掴まれるような感覚になった

 

楓「会場にいるなら、声をかけてくれたらよかったのに」

 

セイ「…俺もいたよ」

 

楓「え・・・?見ててくれたの?」

 

セイ「そりゃあ、大事な友達の大事なコンテストだからね」

 

楓「・・・」

 

セイの言葉に、また楓の心臓はぎゅうっと痛く掴まれた

 

楓の心の声(この感情はなんなのかしら…セイの言葉がつらく感じる…)

 

楓はセイを悲しそうな目で見つめてしまう

 

セイ「…珍しい表情してるね」

 

セイがそう言って楓の頬へ手を伸ばした、その瞬間

 

楓「っ・・・・!」

 

楓の顔が一気に真っ赤に染め上がってしまう

 

セイ「っ…ごめん」

 

セイは楓のその表情に慌てて手をおろした

 

楓「わ、わたしのほうこそ…」

 

楓の心臓が早鐘のように響いている

 

二人の間に、なんともいえない気まずい雰囲気が流れてしまった

 

セイ「・・・・」

 

セイは、困ったように楓の表情を見つめている

 

楓「ちょっと、今日熱っぽくて」

 

セイ「…そうか、あったかくして寝るんだよ。なんなら早退しなね、それじゃあ」

 

セイは楓を気遣い、その場を後にした

 

楓「あの!」

 

ドアからでていこうとするセイに思わず声をかける楓

 

セイ「なに?」

 

楓「…」

 

なぜ自分も呼び止めたのか理解できていない楓

 

でも楓はなんとなく、セイと離れがたかったのだ

 

楓「…またここで会える?」

 

セイ「…また来るよ」

 

その言葉を残し、セイはドアから出て行った

 

楓は、その場にへたりこんでしまう、そして自分の頬を自分の手で触り熱さを確かめる

 

楓「…なに…これ…」

 

楓は、はじめて自分の中で芽生えた不可思議な感情に、ようやく気付いた

 

その感情とは、恋

 

楓「私、もしかして…」

 

楓は自分の胸の前をぎゅうっと掴む

 

楓の切ない恋がスタートした日だった

 

☆☆☆☆

 

続く

 

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