英徳学園、卒業プロムの日

 

英徳学園の卒業プロムはメディアが取材にくるほど、人気だった

 

また、生徒たちが着飾り踊る姿はTVでも映像が流れ、一般市民は上流階級の生活に羨望の眼差しを向けていた

 

その中でも、昨年の卒業プロムはものすごい大人気だった

 

それもそのはず、天月様の二名がプロムに出席したからだ

 

二人の写真はメディアや記事でも取り上げられ、セイと太陽は若い娘の間で莫大な人気だった

 

そして実は楓にも、ファンはいた

 

真面目で知的だけど人を近寄らせないような雰囲気がある楓の人気は

 

男性たちの間でひそかに広まり、憧れのマドンナ的な存在だ

 

今年は、楓のドレス姿を写そうと、たくさんの記者も集まっていた

 

楓は、ハナに用意させたドレスに着替え、道明寺家の車に乗りパーティー会場へと向かう

 

だが、その表情は険しく眉間にしわが寄っていた

 

道明寺家車の中

 

楓「……大丈夫。笑ってやりすごせばいいだけよ」

 

あのパーティー事件の時に着たようなドレスではなく、あえて黒いドレスを選んだ楓

 

あの日を少し思い出しているのか、かすかに震えているようにも見える

 

だがパーティー会場につくと、楓の表情は一変した

 

上品な笑顔を作り、一斉にカメラを向けてきた周りの記者へと挨拶の笑顔を向けていた

 

先ほどの弱そうな楓はいなくなっていた

 

楓「・・・・・・・弱みを見せたら負けだわ」

 

楓はそう自分に言い聞かせ、会場へと入っていくのだった

 

すると、楓の後ろの方から女性達の叫び声が聞こえてきた

 

何事かと楓が振り向くと、そこには花束を持った太陽とセイがいた

 

楓「二人とも…」

 

太陽が笑顔で楓のもとへとやってくる

 

だが楓も目はセイに向けられていた

 

セイの姿が目に焼き付く

 

カメラのフラッシュに照らされて、セイの髪の毛がまばゆく光る

 

セイは花束を持ったまま、楓の方をみたとき、楓と視線が合わさった

 

楓「…!!」

 

楓の心臓が大きくドクンと跳ねた

 

楓「…落ち着くのよ…」

 

楓は自分にそう言い聞かせる。記者たちが大勢いるこの中で、感情を表に出したら負けだというのを、楓は身をもって体験してきた

 

楓は、セイにも記者にも気づかれないように、精いっぱいの営業笑顔を作る

 

太陽「卒業おめでとう」

 

少し楓の表情が硬いのが気になるが、仕方ないだろうなといった感じで太陽が笑って楓へとお祝いの言葉を伝え花束を渡した

 

続いてセイも、やけに真面目な物言いでこう続く

 

セイ「道明寺楓さん。卒業おめでとう」

 

楓「…!」

 

セイにそう言われて、楓の心臓の鼓動が早さを増す

 

実はセイはかたくなに楓のことを名前では呼ばずに「君」と呼ばれていたからだ

 

道明寺楓とセイに呼ばれたことに、楓の全身が得体のしれないブワッとした強い感情で包まれた

 

楓の心の声(…だめだ、震える、嬉しい…でもここで泣いたらだめだ…しっかりするのよ、道明寺楓)

 

楓はそう言い聞かせ、少し息を長く吐いたかと思うと、きりっとした顔つきへと戻りこういった

 

楓「ありがとう、如月聖也さん」

 

楓はあえてセイのことをフルネームで呼びセイから差し出されていた花束を受け取った

 

そしてセイと楓はお互いに顔を見合い、フルネーム呼びが面白かったのか笑いあう

 

その瞬間を、カメラが一斉に捉えていた

 

太陽「…な~んか、前よりセイと仲良くなってない?」

 

太陽のこの言葉に、セイは笑ってこう答えた

 

セイ「会うのも久しぶりなのに、そんなわけないだろ」

 

そう太陽の言葉をセイは上手にかわすのだった

 

太陽「まあいいか、ねえ、一曲目は俺と踊ってくれない?」

 

太陽は楓へそう言って手を差し出す

 

楓「ええ、喜んで」

 

楓は太陽の手に自分の手を添えた

 

またたくさんのカメラのフラッシュが光る

 

太陽は、楓の手の甲にキスしてこう言った

 

太陽「未来の俺のお義姉さん、今後ともよろしくね」

 

そう言って悪戯っぽく笑った太陽だったが、楓はその言葉に一気に現実へと引き戻されたような感覚になった

 

楓の心の声(そうだ…浮かれたらいけない。私は婚約中の身なのだから)

 

楓はしっかりと自分の立場を思い出した

 

そして楓は悲しいけれど、あまりセイには関わらないようにしようと思うのだった

 

楓の心の声(会えただけで、顔が見れただけで、じゅうぶんだわ…お祝いの花束。。。すごく嬉しかった)

 

楓がもう片方の手で抱えていた花束は道明寺家付き添いのものがさりげなく受け取り

 

そのまま太陽にエスコートされて踊るホールへと向かっていくのだった

 

☆☆☆

 

続く

 

今日も読んでくださってありがとうございました^-^

 

ランキング参加中です!応援お願いします!

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

道明寺 楓 ~ 鉄の女 一覧

シリーズ一覧

最新記事

シリーズ

ブログ村