セイと太陽とまったく会わなくなり数か月がたった

 

楓は大学へとあがり、婚約者の光陽とは月に一度食事をしていた

 

光陽は優しく楓の話を笑って聞いてくれていた

 

楓も光陽と話をするのは楽しかった、だがそれは恋心とはやはり違うものだった

 

数か月たった今も楓の心を支配しているのは、セイの存在だけだった

 

楓「…太陽はなぜあの時…セイも…」

 

楓は自分の唇を触る

 

卒業プロムでの二人からのキスを思い出し長い長いため息をついていた

 

西田「楓お嬢様…」

 

楓「あっ…」

 

社員「……」

 

ここは道明寺グループの会社内、会議の場だ

 

上の空の楓に、社員から冷たい視線が飛んでくる

 

楓「失礼しました、次の報告をお願いします」

 

社員「…はい、では清宮家の老舗旅館の改築についての…」

 

楓「………」

 

西田「…」

 

楓は大学に通うようになってから、よりいっそう仕事に関わるようになっていった

 

それは跡取りなのだから当然のことでもあるが、まだ学生気分が抜けていない女性の楓に社員からは評判は良くはなかった

 

そしてこの時あたりから、西田の父親の息子、現在の司の秘書である西田が道明寺楓の秘書として側にいるようになる

 

西田の息子もまだ学生で、楓と西田は社員からはまだ信用されてはいなかった

 

社員「では、これで進めさせていただきます。ああそれと、婚約者の清宮光陽様がメープルホテルでの会議に出席予定とのことですが、楓様もご一緒に出席なさるんですか?」

 

楓「……視察はあなたにお願いします。私の視察はキャンセルで、私はすぐにメープルホテルに向かいます」

 

社員「わかりました」

 

楓「西田」

 

西田「はい」

 

西田は楓の予定を確認する、本当はこの後に楓は元清宮家の旅館に視察でいかねばならなかったが、知らされてはいなかったが婚約者の光陽のはじめての道明寺家の会議へ出席とならば立ち会わねば行けないと、西田も納得しすぐに予定を変更した

 

楓「……聞いてはいなかったけれど…」

 

メープルホテルに向かう社内で、楓は街の風景を眺める

 

楓「………人が忙しそうに通り過ぎていくわね…セイに太陽、元気かしら」

 

そんなことを思っているうちに、メープルホテルへと到着した

 

西田「楓さま、こちらです」

 

楓「…」

 

車から降り、楓はホテル内へと入る

 

社員「…楓様、今日はここはご予定には入ってはいらっしゃらないはず…」

 

楓「ええ、私もこちらの会議に出席しようと…」

 

楓がここまで言いかけた時、社員の顔が青く変わる

 

社員「今日はここで会議の予定はありませんが」

 

楓「え?」

 

西田「ここで、清宮光陽様出席の会議があると先ほど…いや、失礼」

 

西田が途中までそう問いかけたが、途中で社員に聞くのをやめ、会議室へと走った

 

楓「…」

 

バタバタとした西田の足音が戻ってくる

 

西田「楓様、申し訳ございません。会議室には誰一人いらっしゃいません。もちろん光陽様も」

 

楓「…」

 

社員「ここで会議とはどなたが?今日は清宮家の旅館の視察では…」

 

その視察も、今後の改築で必要な重要な視察だった

 

楓「…やられたわ…西田、すぐに戻るわよ」

 

社員「…!お気をつけて」

 

西田「はっ、楓様、すぐにまた車の手配をいたします」

 

慌てて楓や西田が清宮家の旅館へと向かう

 

だがもう視察はすっかり終わっており、西田が連絡してたはずの視察キャンセルの話もまったく伝わってはいなかった

 

騙されていたと気づいてもあとの祭りだった

 

婚約者の家をないがしろにした女として、社員の間で噂になるようになってしまう

 

楓「…あの時私が光陽さんに連絡をとっていれば…いやその前にちゃんと視察に行っていれば…」

 

悔やんでももう遅い

 

視察をキャンセルしたのは事実

 

楓はすぐに騙した社員を辞めさせようと思ったが、まだ人への同情心や思いやる心を捨てきれなかった楓は、この社員を辞めさせないままにしてしまう

 

その判断ミスが、また楓を追い詰めてしまうことを、楓はまだ何も知らないままだった

 

☆☆☆☆

 

続く

 

今日も読んでくださってありがとうございました^^

 

 

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