元清宮家の従業員が凶器をもって侵入
そのことは、すぐに今の清宮家を継いでいる太陽の耳にも入った
太陽「……道明寺家に?……あんの馬鹿が…」
この知らせを側近から聞かされた太陽は、すぐに現場へと向かった
太陽「……」
その際、太陽は見ていた雑誌を床へと投げつける
その雑誌の表紙には【元清宮家長男、道明寺家に婿入りし嫁に頭があがらない腑抜け】
そんな不名誉な記事が載っていた
怒りの表情の太陽に側近が声をかける
側近「ですが、裏の家業のことは表には一切だなさいようにしています。太陽さんが表にでれば清宮家の【裏】が世間に広まってしまいます」
側近がそんな風なことを叫び一生懸命太陽を引き留めようとしているが、太陽はまったく聞こうとはしなかった
太陽「……清宮家としてじゃなくて…俺が行きたいんだよ」
側近「え?今なんて…」
太陽のその言葉は小さかったため、周りには聞こえていなかった
そして同じころ、如月聖也もこのことを知る
セイ「………」
実は、もうこの時間には色んなメディアが事件の場へ押しかけていて、報道されはじめていた
たまたま日本に帰国し自身の会社にいたセイも、この事件を報道で知ることなる
道明寺グループ立てこもり事件発生、犯人は凶器を持っているが未だ捕まらず、警察が説得を行っている
そんな状況が、TVに映し出されていた
セイ「…」
セイも背広のジャケットを羽織り、自身の会社の社長室の扉から、楓のもとへと向かうのだった
~~~セイの社長室で映し出されている映像より~~~
元清宮家従業員の叫び声
私たちの大事な大事な清宮光陽様を酷い扱いしている魔女!!出てこい!!!!!清宮家の老舗の旅館をあんな風情もなにもない旅館に改築しやがって!!!!!!清宮家の元従業員を使い続けるって嘘ついて全員首をきったくせに!!!!!この魔女!!!!!でてきやがれ!!!道明寺楓!!!!!!!!!」
そんなことを窓から叫び訴える犯人の姿がTVに映し出されていた
楓「……やはりここは私が出ます」
西田「いけません」
警察「ここは、我々に任せてください」
実は、犯人がたてこもっている会社の駐車場に、楓はまだいたのだった
外にはどやどやと野次馬が押し寄せていた
事件後、警察もすぐに到着していて、楓と西田が駐車場につくやいなや警察は二人を車両に押し込んだのだった
楓「…従業員はすべて避難できたの?」
西田「はっ、ただいま確認して参ります」
このころはまだ、携帯電話が普及されておらず、連絡をとるという事がとても困難な時代だった
西田が車両から出る、もちろん楓がでることは許されず、警察は楓の姿が人目につかないように西田が車のドアを開ける際に細心の注意を図っていた
西田が状況を確認しに行ったとき、西田の目の前を一台の黒い車が通り過ぎて行った
西田「あの車は…清宮家の」
西田が見た通り、道明寺の会社の目の前に清宮家の車が止まる
それと同時に、一斉にカメラのフラッシュが光った
車から降りてきたのは、以前より少し痩せていた清宮太陽の姿だった
太陽「……お前らは逃げ遅れたやついないか探せ。俺はあいつと話してくる」
側近「太陽さん一人に行かせるわけには!!」
太陽「いいから行け!!!」
どっからどうみても堅気の雰囲気ではなくなっている清宮太陽の登場に、メディアは一時、時が止まり、すぐにフラッシュの光が止まる
一部の役がつく上の記者たちは、清宮家の本当の裏の家業を知っており、このことを隠さなければいけないのは、公然の秘密であった
報道カメラは清宮家の車は写さず、急に会社の外観を撮影しはじめる。ほかの記者もみな同様に、違う場所を撮影しはじめた
西田「……さすが日本の裏のTOP、清宮太陽…」
西田は少しだけぼーっと清宮太陽の姿を眺めてしまうが、ハッと我に返り、慌てて道明寺グループの重役を探した
割とすぐに重役はみつかり、西田はすぐに状況を聞き出す
西田「…皆無事避難できたのか?」
重役「皆無事です。ですが…実はあの犯人が内部に侵入できたのは道明寺家のある社員が裏で手引きしていたとの情報が…」
西田「…そいつの名前は?」
重役「はい…その社員は…」
重役はこっそりと西田にその社員の名を告げる
西田「そいつは!!会議にも出席可能な重役…楓様や会長が使用するエレベーターすらも知っている奴じゃないか!」
重役「……今思うとおかしい奴でしたよね…元清宮家の老舗旅館の改築に楓様を行けないように仕向けたり、元清宮家の従業員が不正していたと楓様に報告したり、全部清宮家に関することばかりで楓様につっかかっていたような…」
西田「…ただの女跡取りへの嫌がらせってわけじゃなかったってわけか……まずい、エレベーター使われたら楓様が危ない」
重役「!!!あの、私はどうすれば」
西田「社員すべてメープルへ集めておけ、」
重役「はっ」
西田はそれを重役へと告げるとすぐに楓のもとへと走った
西田「すぐに楓様を避難させなくては」
自分の走る足がいつもより重く感じる
一分がとても長く、西田の周りの雑踏や人込みがまるでスローモーションのように遅くなっていった
西田「くそっ…もっと早く走れれば…」
全速力で走る西田の息が切れる
やっと駐車場が見えてきた
だが、その時の目の前に飛び込んできた状況に西田は絶望する
西田「楓様…なんで車両から出ているんだ」
なんと、楓が止める警察を振り切ろうと車両からでていたのだ
楓「離しなさい。清宮家ももうすでにここに到着したとのこと、私が行かないわけにはいきません」
警察「犯人の狙いはあなたなんです!!行かせるわけにはいきません!!」
そう、楓は見回りの警察が車両で楓を警護していたものへの情報で清宮太陽がここに到着したことを知り、身体が勝手に動いてしまっていたのだった
楓「……私の会社のいざこざで…また大事な友達を巻き込むわけにはいかないのよ…」
そんな風に思う楓がいる駐車場からも、あの不知火陸の広告が目に入る
楓の心の声(……あいつの時も、太陽のことを誰も止めれなくなった…私があの時動ければよかったけれど、太陽が暴れる姿も目に焼き付いてる…人を殴り蹴り、意識がないあいつを更に太陽は蹴り上げていた。でもそんな風にさせてしまったのは、私が迂闊だったから…殴り終わった後、太陽の表情が一気に真顔になってたのよ…太陽は本当は優しくて明るい人だから…人を殴ったことに自分も傷ついてた…また太陽にあんな表情はさせたくないのよ)
楓の眉間に皺がよる
楓「私の会社のことです。道明寺楓が行かなくてどうするの!!!!」
警察「……」
楓の剣幕に圧倒され動きが止まる警察
その一瞬の隙をついて、楓は警察を振り切り、会社の入口へと向かってしまう
西田「楓様!!」
必死に楓の後を追う西田、だが全速力で走ってきた西田の眼が少しかすみはじめる
西田「くそっ…」
西田は息をきらし、少しその場で呼吸を戻し始めた
ポンっと西田の肩に小さな衝撃が走る
西田「?!」
西田の肩をポンっと背の高い青年が叩いて通り過ぎていった衝撃だったのだ
西田「もしかして…如月様…?」
青年の後を追おうとするが、西田の足に力がはいらない、西田は途切れがちな意識のせいで、その場に膝をついてしまった
そんな西田にまるで後は任せろと言わんばかりに
その青年【セイ】が肩を叩いて楓のほうへと向かっていったのだった
今日も読んでくださってありがとうございます^^
追記
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