楓とセイの顔が青ざめる

 

この瞬間から楓とセイには雑踏の物音が一切聞こえなくなるような感覚におちいった

 

すべてがスローモーションで動いていく

 

太陽の身体には何故か警察官のジャケットがかけられている

 

周りには人が入ってこれないように紐で仕切られ始め、遠くの方から救急車のサイレン音が近づいてきた

 

楓「…!私が付き添います」

 

救急車が目の前に到着し、楓が乗り込もうとする

 

警察「申し訳ありませんが…事情聴取が…」

 

楓「!!!!」

 

楓はすぐにでもこの場を離れ太陽のそばに付き添いたかった

 

だが、楓は改めて周りを冷静に見まわした

 

ここは道明寺グループ会社前。確実に、今楓が付き添いでこの場から消えるわけにはいかない

 

楓「……」

 

楓は今まで味わったことのないぐらいの力で歯を噛みしめる

 

その様子を見ていたセイがポンと楓の肩を叩き、セイが救急車へと乗り込んだ

 

救急車の扉が閉まる。楓はセイと太陽を悲痛な思いで見送るしかなかった

 

警察官「こちらへ」

 

楓「…西田は?」

 

楓が西田がどこかと見渡すと、少し離れた場所で起き上がろうとしているのを警察官に止められている西田を発見した

 

楓「…」

 

楓は西田がいる方へと近づく

 

西田「!!!申し訳…ありません…楓様…」

 

息が途切れがちに西田は話す

 

隣にもう一台救急車が到着した

 

西田「私は、ただ走って意識が遠のいただけなので…ここに残ります、救急車は必要ないです」

 

西田は警察官や救急隊員にそう訴えるが

 

救急隊員「極度の緊張状態で走った時におこるこういった症状は見逃すといけません。重大な病気が隠されている場合があります」

 

西田「…でもこれから私がいなくては…」

 

西田は運ばれながらそう伝えるが楓はその西田の言葉を一言で止める

 

楓「必要ないわ。すべて私がやります」

 

西田「…楓様…申し訳…ありません」

 

西田の目元に涙が光る

 

そして西田を乗せた救急車も走り出した

 

楓「……まずは警察、そしてすぐに記者会見の準備。それとメディアへの情報操作ね…」

 

楓はやらなければいけないことを自分で確認しながら、警察の後ろをついていくのだった

 

 

この事件から二日後

 

メディアでは刺されたのは警察官の一人と報道されていた

 

不自然に警察のジャケットで隠された太陽の姿が少しだけ報道され

 

すべての人間が無事で、そんな風に無事でいれたのは【道明寺家のセキュリティの高さによるもの】と報道され、道明寺家は企業として高く評価されることになる

 

だが、実際はまったくそうではなかった。だが操作された報道をほぼほぼ世間は信用してしまう

 

道明寺家のホテルはこの報道により、セキュリティが完璧だと利用者が増える最高のホテルへと格上げされた

 

そして刺された太陽は、集中治療室へ入れられて、刺されてから二日、一度も目を覚ましてはいなかった

 

太陽がこういう状態なのを、広く知られるわけにはいかないとして、太陽の危険は状態は世間には一度も知らされることはなかった

 

楓「…目を覚まして…」

 

そして楓は事件の後片付けに追われ、太陽の病院へは一度しか顔を出せていなかった

 

集中治療室の目の前にいたセイとも無言のまま、会話をかわすことはない

 

ただ、セイは楓が会社へと戻らなければいけなくなったとき

 

楓の頭をぽんっと一回だけ撫でたのだ

 

楓はその時、頭から全身にじわっとした感情が染み渡り涙がこぼれおちそうになった

 

それをこらえながら、楓は会社へと戻り、また事件の後処理に追われた

 

まだまだ後処理は残っている。だからこそ楓は、自身の会社から太陽の無事を願う事しか許されていないのだった

 

大事な人が危険な時に、そばにいくことさえできない

 

楓は道明寺家のTOPに立つということの【孤独】を今まで以上に強く感じていた

 

だがこの【孤独】に負けるわけにはいかない

 

TOPが間違うと、それは下のものの人生さえも壊してしまう

 

責任を変わりに取ってくれる者などいない

 

楓が事件の時に噛みしめた時にできた歯ぐきの傷から、また血の味を感じる

 

楓「…」

 

楓はそっと口元を拭く

 

あの日から何度も何度も無意識に噛みしめるようになってしまった

 

行き場のない孤独と【楓】個人の感情

 

楓はこれをきっかけに、TOPに立つものなら誰しも通ってきた道【己との戦い】の辛さを今まで以上に強く感じるのだった

 

 


 

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