事件の後処理に追われながらも、楓は一日一日がすごく長く感じていた

 

事件後三日目には西田が申し訳なさそうに復帰してきたが、楓は西田の首を切ることはしなかった

 

西田はそれに恩を感じ楓への忠誠を更に深める

 

楓が顔色一つ変えずに、次々と仕事をこなしていった

 

その仕事量は西田が心配するほどだったが、楓は働くのをやめようとはしなかった

 

楓はある連絡をずっと待っていた

 

それは仕事で海外に行かなければならないセイも同じだった

 

二人が待っている連絡は、太陽が目覚めたという連絡だ

 

だが、その連絡は一向に来ない

 

セイも楓も、目の前の仕事をがむしゃらに片づけていた

 

そんなある日、日本の道明寺家に光陽が帰宅する、それはこの事件を聞きつけたからだった

 

光陽「……こんなことになってしまって…私を跡取りにと押していた者たちの仕業だった。ここはもう離縁するしかな…」

 

楓の元を訪ね、こう伝える光陽だったが楓は言葉を遮った

 

楓「いいえ、このままでいいんです。それよりも…」

 

そう楓が言いかけただけで、光陽は楓が何を言いたいのか察知した

 

光陽「太陽のことだろ?さっき病院にも寄ってきた。だが今君が面会するのは…いろいろ問題がおこる。こらえてくれて、ありがとう」

 

光陽の言葉に楓は首をふった

 

楓「……裏の家業を知られては困るという事。そのTOPが危険な状態と知られるわけにはいかないこと。道明寺家と清宮家の繋がりがあるけど、裏との繋がりはまったくないと世間に思わせなくてはいけないこと。清宮家の裏の家業は、表の光陽さんがこちらに婿入りしたことで【決別】し、光陽さんは裏と手を切った形でこちらの家に婿入りした事」

 

光陽「…色んな思惑が複雑に絡み合っていて…身動きなんてとれるわけがない……辛い思いを、させてるね」

 

光陽は楓の言葉にそっと寄り添う返事をかえした

 

楓「……またすぐにNYの本社に戻るのでしょう?」

 

光陽「……明後日の夕方には出発する」

 

楓「身体、負担にはなってない?」

 

楓の優しい言葉に、光陽は自然と笑みが零れた

 

光陽「…私が一番身体が弱いと思っていたけど、人生は何があるかわからないものだね。元気の塊で名前の通り太陽だったあいつが、こんなふうに意識不明の重体が続いて…最近は道明寺家当主の体調もあまりよろしくはない……」

 

楓は光陽の言葉を黙って聞いていたが、ぽつりと感情を漏らす

 

楓「私のせいで、ごめんなさい」

 

その時の楓の声は、心が悲鳴をあげている声そのものだった

 

その悲鳴に、光陽はちゃんと気づいてくれた

 

光陽「…そんな風に言ったら太陽が悲しむよ。話に聞いたが、あいつは大親友のセイ君と君を守れてきっと眠っている今も、誇らしい気持ちでいっぱいなはずだ」

 

楓は光陽の言葉に少し涙ぐむ

 

そんな楓の頭を触ろうとするが、光陽は手をひっこめた

 

光陽「セイ君は今は海外だったね。ああ、そうだ、こんな時に言うのは卑怯だけれど…またいつ会えるかわからないから聞いてくれ」

 

光陽の真剣な声に楓は顔をあげた

 

楓「…?」

 

光陽「……【道明寺楓】としては、ずっとそのまま私の妻でいてほしい。けれど君の…【楓】の心だけは自由だから…夜空の星を想っていたとしてもそれを責めるものは誰もいない。【楓】は私に遠慮せず、心はずっと自由でいてほしい」

 

光陽の言葉に楓は返事を返せない

 

光陽「……それじゃあ。今日は君はもう休みな。ここからの仕事は俺が引き受ける」

 

楓「あ、あの」

 

光陽「西田」

 

西田「はい」

 

光陽に呼ばれ控えていた西田が部屋へと入ってくる

 

光陽「楓を自宅へ。その後の会議はすべて俺がでる」

 

西田「…すぐに手配いたします」

 

楓「……」

 

光陽は流れるような早さでそう支持を出し、楓は拒否ることもできずに、有無をいわさず自宅へと送られたのだった

 

この日、楓はあの事件以降、はじめての休日となる

 

だがその休日は、最愛の親友が天へと昇っていく日でもあったのだった

 

 


 

 

今日も読んでくださってありがとうございます(*’ω’*)

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