楓はイタリアを後にし、アメリカの本社へと向かう

 

そして目まぐるしい仕事のなか、楓がアメリカの自宅へと帰宅した日、光陽が楓の部屋を訪ねてきた

 

楓「……光陽さん」

 

すっかり寝る仕度を終えた楓は、ナイトウェア姿で光陽を出迎える

 

楓の脳裏に【後継ぎ】の言葉が浮かんだ

 

楓はその言葉を思い出したとき、少しだけ、心に痛みを感じる

 

光陽「夜分にすまない、少し、話ができないかと思って」

 

光陽が申し訳なさそうにそう伝え、楓はそれを了承した

 

光陽「ありがとう……」

 

光陽が部屋の中へと入る、楓は自室に置いてあるソファへと腰掛け、光陽も楓の向かい側のソファへと腰をおろす

 

楓「…後継ぎの、お話でしょうか?」

 

なんと、先に話を切り出したのは楓だった、このことに光陽も少し驚いたようで言葉を詰まらす

 

光陽「…うん、それもあるんだけど、当主のこともね」

 

楓「……私は告知を受けたことだけしか知らないわ」

 

光陽「……もって半年、だそうだ」

 

楓「っ……」

 

楓にとって親らしいことはちっともしたことがない父親だった

 

だが光陽にそれを知らされ、あまり知らない父親なはずなのに、楓は全身に悲しみを感じる

 

だが、それを悟られまいと、楓は気丈に振舞った

 

楓「そう……色々と準備しておかないとね」

 

それはお葬式のことももちろんだが、今後の道明寺グループの混乱を防ぐために早めに動いておかなければならないこと

 

大企業のTOPは、身内の不幸すらも悲しんでなんていられなかった

 

光陽「そして、後継ぎのことなんだけど」

 

楓はこの話に少し身構えてしまい生唾を飲み込む

 

そんな些細な動作も、やはり光陽は見逃さなかった

 

光陽「……君からみたらおじさんであろう私と、後継ぎは考えられないだろう。当主には悪いが、今後道明寺の後継ぎ問題について君と話し合って決めていかなきゃならない。そもそも私は持病持ちだから、子が望めるかどうかすらも怪しい、後継者を信頼する誰かにするか、それとも養子をもらうか、色々決めていこうと思ったんだ」

 

光陽からの意外な提案に、楓はとても驚いた

 

楓「まさか、そんなことをおっしゃるなんて…」

 

楓は驚いて開いた口が塞がらなくなっている

 

光陽「君のそういう顔が見られるなんて…」

 

光陽は楓の驚いた表情をみて優しく笑った

 

それを見て恥ずかしそうに顔を背ける楓

 

楓「からかわないでください」

 

光陽「…あっ、申し訳ない」

 

楓がからかわれたと感じ少し怒る、すぐに謝った光陽だが、だんだんと笑い始めた

 

光陽「くっくっ…」

 

光陽は笑いを我慢しているようだったが、どうしても声が漏れる

 

楓「そんなにお笑いにならなくても…」

 

楓がそう言ったが、耐えきれなくなった光陽がふきだした

 

光陽「あはは、ごめん。まさか君がそういう表情をするなんて思わなかったから…意外な一面を見た気がする」

 

光陽はそう言い訳した後、頭を下げて楓にもう一度謝った

 

光陽「……いつも冷静沈着で大人びている君だったが、やっぱり年下の女の子なんだって思えた、可愛く感じて笑ってしまったんだ、申し訳なかった」

 

楓「そ、そんな…」

 

光陽のまっすぐな言葉に、さすがの楓も気恥ずかしそうにしている

 

楓「後継ぎの件は……正直まだ考えられないんです。仕事もやっと慣れてきたばかりですし、今後当主がいなくなって混乱がおこるのが目に見えている今、妊娠と出産で私が抜けるわけにはいかないわ」

 

光陽「うん、それは私も同意だ。私の身体がもっと丈夫だったら、君を休ませることができるが…」

 

楓はそれに首を横に振った

 

楓「むしろ、光陽さんの働きぶりは耳に届いてます。仕事も的確で信頼してる社員が多いわ」

 

光陽「……せめて足を引っ張りたくはないからね」

 

楓「いいえ、むしろ即戦力ですよ」

 

楓と光陽はそう話、笑いあう

 

だが、光陽が少しさみしそうな声でこう言った

 

光陽「…太陽があんなことになって、君も相当辛いと思う。そして義母の無礼を責めないでくれてありがとう。本当に申し訳なかった」

 

光陽はそう言うと、また深々と頭を下げた

 

楓「いえ、気にしてません」

 

楓はそう光陽に、強い笑みで返すのだった

 

光陽「……君は強いな、ありがとう」

 

そう言って光陽が笑ったとき、楓は太陽の笑顔と光陽の笑顔が重なって見えた

 

楓「……やっぱり光陽さんは、太陽さんに似ていますよね。笑ってると余計に」

 

光陽「………」

 

楓の言葉を聞いた後、光陽が目頭を押さえる

 

楓「ど、どうしました?」

 

突然の光陽の仕草に慌てる楓

 

光陽「いや……私たちを似てるといったのは君かセイ君くらいだ」

 

楓「……」

 

光陽が言ったセイという言葉で、楓はセイとの最後のキスを思い出す

 

楓は泣きそうなのをこらえ、眉間にぐっとしわを寄せた

 

光陽「ああ、すまない。怒ったわけじゃないんだ、ただ、嬉しかったんだ」

 

光陽が謝り、楓はこんな表情じゃいけないと、すぐにまた顔を作る

 

楓「…嬉しかったんですか?」

 

そう楓が聞くと、また太陽に似た笑い方で光陽はうなづいた

 

そして光陽は、太陽との昔話をはじめる

 

光陽「母親が違うが、太陽はよく私になついてきてくれた。病気がちで伏せることが多かった私には、太陽と話す時間がとても楽しかったんだ…君はなぜ太陽の名前が太陽かわかる?」

 

突然の問いかけに楓は首をかしげる

 

楓「わ、わからないわ」

 

楓の答えに光陽は少しさみしそうに笑ってこう答えた

 

光陽「私の名前は光陽だ、この名前は亡くなった母がつけてくれたと聞いた、だが父が再婚し、太陽が生まれた時に、新しい母親が光陽よりも光り輝く名前にしたいと言って【太陽】と名付けた。清宮家にふさわしいのは太陽の方だと」

 

楓「……」

 

楓はそれに対し、何も言えなかった、こういった身内での親族争いは、何も清宮家だけでおこっていることではなかったからだ

 

光陽「だが、そんな母親の思惑を通り越して、太陽は私を慕ってくれた。自分の母親に何を言われても、叱られても、太陽は私の所に来てくれた。だから私も恨むことなく、太陽のためならばと婿養子になることもできた、死ぬのは私が先だと思っていたのに、こんなことになるなんて想像すらしてなかったよ」

 

光陽はそう言ってまた目頭を押さえる

 

楓「やはり、婿養子は嫌でしたか?」

 

光陽は慌ててそれを否定した

 

光陽「ああ、そういうわけじゃないんだ。だが、こんな身体で婿養子にいってなんになるんだって思いの方が強かった、早く死にたい、そう願っていたが…太陽に救われたのに、まさか太陽がそうなるなんてって思ってしまってな…」

 

そうつぶやき、光陽の眼から涙が落ちる

 

楓はその涙が綺麗だと思った

 

それと同時に、好きではないけど尊敬できる、この人となら、仕事としてでも、後継ぎを産めるかもしれない、行為できるかもしれない

 

楓はそう思い決断をするのだった

 


 

今日も読んでくださってありがとうございます(*’ω’*)

 

拍手もメッセージもありがとうございます( *´艸`)

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