道明寺楓の孤独な出産、28時間にも及ぶ陣痛を一人で耐え抜いた

 

途中、緊急帝王切開になりそうだったが、陣痛促進剤を打っての出産となった

 

看護師「意識失う方も多いのに…点滴してますので少し寝て休んでくださいね」

 

楓「ええ…」

 

点滴を打たれ、病室の窓から外を眺める

 

もう外はすっかり夜だった

 

楓は自宅出産も考えたのだが、結局は道明寺家が多額の出資をしている病院での出産を迎えた

 

ここは亡き当主が亡くなった病院でもある

 

楓「……生まれたのは男だったわ」

 

楓の目から涙がひとつ、流れ落ちた

 

その涙を流した理由は、女の会長としての自分の苦労や男の子を持ったことへの安堵感、だがその男の子すら会社の道具にすぎない事への罪悪感もあったのかもしれない

 

そうして、出産し一晩がたった

 

出産後、まだしっかりと会えていなかった息子との対面が朝に行われた

 

看護師「…とても立派な男の子ですよ。目も大きくて髪の毛なんてお人形さんみたいです」

 

そう言って連れてこられた我が息子の髪の毛が、天然パーマだったことに、楓は一瞬目を丸くする

 

楓「……これ…」

 

看護師「道明寺様はきれいなストレートですから珍しいかもしれませんね、遺伝にくせ毛の方がいらっしゃると赤ちゃんもこうなりやすいんですよ、でもくるくるした髪の毛の赤ちゃんはとってもかわいいと思いますよ」

 

看護師が優しく笑ってそう言った

 

楓「…そう」

 

楓は、赤ちゃんの顔を見て、太陽のことを思い出していた

 

今は亡き太陽の面影が、息子とかぶる

 

結婚相手の光陽は、異母兄弟ではあるが、太陽と血がつながっているのだから当たり前の事でもあった

 

だが、生まれて間もない息子が、髪型のみならず雰囲気までも太陽にそっくりだと感じてしまう

 

看護師「お名前はもう決まってらっしゃるんですか?」

 

看護師が無邪気にそう聞いてきた

 

楓「…太陽」

 

看護師「太陽?!良い名前ですね」

 

楓は頭の中で考えていた太陽の名を思わず口ずさんでしまい、看護師を勘違いさせてしまう、楓はすぐに否定をした

 

楓「いいえ…太陽ではなく…そうね、太陽を司る者…この子の名前は【司】にするわ」

 

看護師「!!とっても素敵なお名前です」

 

そしてこの日、のちの牧野つくしの旦那になる、道明寺司が誕生したのだった

 

 

 

ここは現代、タマがつくしや類、総二郎や美作に楓の話をしている、類の別荘のガーデンテラスだ

 

今までの話を聞き、さんざん感情移入して涙を流しまくっていたつくしが口をぽかんとしながらこうつぶやく

 

つくし「道明寺の名前にそんな意味があるなんて…」

 

美作「…話聞いちまうと、あの冷血女王様の司の母ちゃんを、なんか恨めなくなってくるな…」

 

西門「言えてる……冷たい女なのも、もしかしたら全部司と司の姉ちゃんの為なのかもしれないって思えてくるな…」

 

類「?実際そうなんじゃない?もし本当に冷たい女だったら、牧野と司の結婚を認めないでしょ」

 

類がそう言ったので、あきらは納得という感じでうなづいたが、西門だけはまだ腑に落ちないでいた

 

西門「いや、違うんじゃないか?ものすごい邪魔してきてただろ、司の母ちゃん。それに司の姉ちゃんは現にそれで好きな相手と別れさせられてるし、牧野たちの愛が強すぎたから半ば諦めたんじゃね?」

 

西門の言葉に今度はあきらが否定する

 

美作「いやいやいや、司の母ちゃんが諦めるとかありえないだろ、今だって牧野を安全な場所に隔離してくれてるんだぜ?優しいって思わない?」

 

西門「う~~~ん」

 

あきらと西門が眉間にしわを寄せながら楓の真意が掴めずにうなって悩んでいる

 

その姿を類が静かに笑ってみていた

 

つくし「でも、なんとなくわかった。私の赤ちゃんも生まれる前から【道明寺】っていう名前がついてまわるから、この子の行動ひとつで数百万人の生活が壊れる可能性を秘めてるから、この子は自由には生きれないってことだよね…もし自由に生きたいと思ったとしても、道明寺の財産とかを狙ってくる人たちに何されるかわからないから…自由に生きるのも難しいってことか…」

 

つくしがそう話したとき、タマが悲しそうにうなづいた

 

西門「でも、そう考えるとよく司の奴、今も無事で生きてるよな」

 

美作「あいつは殺しても死ななそうだもんな」

 

西門と美作は今までの司の悪行を思い出し、苦笑いをしている

 

類「そこも、黙って司の自由にさせてたのは、司の母ちゃんの愛かもよ?」

 

そう類が言ったとき、美作と西門が二人で首を横にふった

 

美作「いやあ違うだろ、諦めてただけだろ」

 

西門「あんな問題児、ほっとくしかないもんな」

 

美作とあきらが同時にそうつぶやいたとき、後ろから何かに二人は頭を殴られてしまう

 

美作「痛!!!」

 

西門「うわっ誰だよ…って司!来てたのか」

 

そう、二人の頭を叩いたのは司本人だったのだ

 

司「お前ら、黙って聞いてりゃ調子のりやがって!!」

 

司にそう責められ、あきらと西門は慌ててつくしの後ろの方に逃げ出した

 

つくし「いつ来たの?」

 

司「さっきここについたばっか、庭で集まってるって聞いてきてみたら、こいつら俺の悪口いってるじゃねえか」

 

美作「いや!断じて悪口ではない!」

 

司「そうか?問題児だのなんだの言ってたじゃないか!」

 

司はそう怒鳴り、美作達とじゃれるように小突きあっている

 

つくし「それにしてもいつから?お義母さんの話、聞いたの?」

 

司「あ?聞いてねえよ、俺がよく無事生きてるなとかほざいてた時に来たんだよ」

 

その司の言葉に、なんだか少しだけつくしは安心した

 

なんとなく、お義母さんの恋愛や悲しい事件が絡む話を司に聞かせたくないとつくしは思ってしまっていたのだ

 

タマ「ほら、もうすっかり日も暮れ始めてる、つくしは身体が冷えないうちに中にお入り」

 

つくし「え?でもまだ…あっでもそうだね、赤ちゃん大事だから、早めに部屋に戻ります…ありがとう!タマ先輩!」

 

類「…」

 

美作「ありがとうございました」

 

西門「ありがとう、タマ先輩」

 

あきらと西門が慣れたウィンクをタマにおくる

 

つくしと類と司の三人は、笑いながら屋敷の方へと戻っていった

 

そんな三人の姿を見送りながら、タマの目が何かを思い出したかのように細くなる

 

タマ「……つくし、ここからはまだあんたに話すことはできないけど、あんたと司ぼっちゃんができてるって話が楓様の耳に入った時、本当に、大変だったんだよ」

 

そう、ここからはまだタマしかしらない、楓の今の物語

 

タマ「……あの二人を楓様が許したとき、私は嬉しかったんだよ、純粋でまっすぐでちょっとわがままだった楓様の心は、まだ楓様の中に生きてたんだって知ることができたんだ…つくし、あんたのおかげだよ」

 

タマは赤く染まり始めた空を見上げながら、つい最近の出来事を思い出していくのだった

 

 


 

 

今日も読んでくださってありがとうございます(*’ω’*)

 

あと少しだけ、楓の物語が続きます

 

お付き合いくださると嬉しいです

 

今日も拍手やメッセージ、ありがとうございました(*´ω`)嬉しいです

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