楓が連絡した相手は、セイだった
セイ「…久しぶり、どうしたんだいきなり」
楓「……お久しぶりです」
数十年ぶりに聞くセイの声は、昔の若者のようなはきはきとした声ではなく、落ち着いた渋い深みのある声へと変わっていた
だがセイの声から感じられる、不思議で優しい空気は変わらないままだった
数十年ぶりにも関わらず、セイは楓の電話にでてくれたのだ
会わないと決めたあの日から、二人が会うことはなかったが
お互いの会社が大きくなり、世界メディアに取り上げられてはいたので、二人はお互いの近況は知っていた
セイの会社は、当時より大きくなっていて、今では世界で1・2を争うほどのお金持ちだった
そんなセイも、すっかり年をとり、今は会社にはあまり顔を出さずに、京都に大きな家を購入し、のんびり暮らしているという噂があった
楓「……最近は京都にいるんですって?」
噂の真相を確かめるかのように、いじわるな聞き方をする楓
それに対し、セイもにやっとした笑い声で返す
セイ「ああ、趣味の庭園造りも極めてきたし、最近はもっぱら和食作りをここ(京都)の家で楽しんでるよ」
セイの言葉に驚く楓
楓「まだ、料理を続けていたの?」
セイ「太陽のことがあって、度々作るようになって、今ではすっかりはまってしまった。これは太陽が俺に憑りついているせいかもしれないな」
そう言ってセイが笑う
楓「…食べてみたいわ」
セイ「……それはそうと、道明寺財閥の跡取り息子が結婚するらしいじゃないか、おめでとう」
セイの言葉に楓はハッと我に返る
楓「そう、そのことについて…信頼できるあなたにお願いしたいことがあるの」
セイ「…それは?」
セイの問いに、楓は事情を説明した
結婚相手の子は、一般庶民もいいとこの子であること、こういう世界をまったく知らない事、そのことについて家族がとても心配し、不安になっていること
だが、その牧野つくしのおかげで、道明寺家崩壊の危機を救った事、牧野つくしと司の婚約が本当ならばというのが、契約の一部になってしまい実現しないといけないこと(道明寺家を救った取引相手の自殺を止めたのが牧野つくし)
だからこそ、この結婚に失敗は許されない事
色んな事情をセイに打ち明けた後、楓はあるお願いをした
楓「…私の育児は褒められたものではないわ…放置と甘やかしから司のような問題児を作ってしまった…だからこそこの結婚に不安が多い、一度司をそちらの会社で叩きあげてくれませんか?」
そう、楓からの申し出は司を一度、平社員から叩き上げさせることだった
だがこの提案に、セイは首を横にふってしまう
セイ「…道明寺財閥の坊ちゃんは、例え外国の会社でだって平社員の扱いなんて誰にもできないだろう…」
楓「…」
セイがそう断った後に、すごく嬉しそうな声でこう切り出した
セイ「…君はすっかり変わったと思っていたが、やっぱり根はやさしい女性のままだった。この件は俺に任せてくれないか?」
セイの言葉に、楓は一瞬、全身にぶわっとした感情が走る
楓「・・・私はもう昔の私ではないわよ…それより何かいいアイディアでもあるの?」
楓の言葉に、セイは優しく笑ってこう答えた
セイ「あるよ。二人の絆が確かなものだとわかればいいだけなんだから」
楓「…?」
今日も読んでくださってありがとうございます
この花より男子は、井上真央さん主演の時の花より男子のエピソードで、妄想をしています(原作からのもありますが)
ですので、このお話がドラマの中のなんのエピソードに繋がるか、もうわかってしまった方もいるかと思いますが
そのエピソードを元に、脚色していきます(著作権などもあるので)
でもほぼほぼ私の妄想ですので、実在の人物、団体、ドラマとは何にも関係がありません(今後似たエピソードがでるので書いておかないと!と思い書きました…)
よろしくお願いいたします(*’▽’)