セイが提案したのは意外なことだった

 

楓はセイの提案を受け入れてその内容を牧野つくしの家族へと伝えた

 

家族は絶句し一瞬言葉を失ってはいたが、すぐに決意した表情で楓に対して

 

【よろしくお願いします】と頭を下げた

 

そのことは、当然司とつくしに隠したままだ

 

そして結納の日が訪れた

 

振り袖姿に身を包むつくしの姿に、鼻の下がのびていることを悟られまいとする司

 

日本庭園が美しいあるお店で結納は行われた

 

そして。その時につくしはあるアクセサリーを受け取る

 

それは道明寺家の婚約者の証の推定数百億円もするアクセサリーだった

 

それを受け取ったつくしと司は、大きなホテルにつくしの家族とともに宿泊する

 

そして、そのホテルで何者かにそのアクセサリーを奪われてしまう事に

 

そのアクセサリーを奪い返すために、司とつくしは世界中を犯人を追う事になった

 

だが、このことがセイが仕向けた提案だった

 

一人の犯人を追う事で、お金や生活、色々な問題に直面し喧嘩をするだろう

 

それを見事乗り越えられるのであれば、二人の絆は本物だと言える

 

セイからの提案はこうだった

 

楓も、その提案は腑に落ちることもあり、受け入れたが、さすがお金持ちの考え方だ

 

司やつくし、この計画すべてにかかるお金は全てセイが払っていた

 

セイの思惑通りに司とつくしが奮闘している

 

そして今日は、司とつくしが飛び回り、二人の絆がたしかなものだと証明され、この京都の屋敷へと二人がくる日だった

 

それをセイは趣味の料理をしながら京都の屋敷で待っていた

 

セイ「…すっかり太陽のような顔つきになったな…お前が生きてたらあいつら二人の味方に最初からついているだろうな」

 

セイは司の顔を写真で見た時、太陽にそっくりだと感じ、感慨深くなった気持ちを思い出す

 

セイ「……」

 

そしてセイは色んなことを思い出し、考えながら、包丁のひとさばきすべてに気持ちをこめながら和食を作る

 

その和食は、楓への食事だった

 

京都の屋敷の一室で、楓はセイの和食を待つ

 

屋敷の庭のほうからは、綺麗な鳥のさえずりが聞こえてくる

 

日差しも柔らかく、他の音は一切聞こえなかった

 

楓が座っている部屋へとセイが作った料理が運ばれてきた

 

楓の目の前に、素晴らしい和食が並ぶ

 

楓「……」

 

いろいろな気持ちが蘇ってくる

 

ちやほやされ何もわからなかった小さなころ

 

だんだんと物事がわかってきて、お見合いして結婚して終わるだけの人生かと思ってた時の兄の突然の死

 

めまぐるしく変わってしまった楓の日常

 

楓の一言一句で人間の人生が大きく変わってしまう事実

 

道明寺家で女だからというだけで、金目当ての男たちから酷い乱暴を受けた日

 

跡取りとして働き始めても、女だからとなめられる日々

 

セイへの淡い恋心、それをあきらめなければならない自分の運命

 

大事な友達のお兄さんとの政略結婚、セイへのような気持ちは持てないままの結婚生活

 

それでも無くなることはない仕事

 

自分で選んだ結婚ではないにしろ、疎まれて事件がおこり、大事な友達を亡くす

 

そのことで各方面から恨まれるが、言い訳すらできずに泣き言も言えずにここまできた

 

娘と息子を産むも、成長をみることは叶わず、世界中を飛び回り

 

息子が問題児になってしまったことを、心のどこかで責めていたため、息子の傍若無人な態度を見て見ぬふりをしお金で解決してきた

 

だが、それがかえって息子の司に対して、2人の関係に溝を作った

 

埋まることはない溝だと思ってた

 

そんな息子に、あきらかに金目当てと思える庶民の女が現れた

 

引き離そうと何度も試みたが、結局は金目当てなんかじゃないつくしへ、何とも言えない感情を持つことになった

 

楓「…こんな日が来るなんてね」

 

楓はふっと優しく微笑んだ

 

そして、セイのお吸い物へと口を運ぶ

 

自然と、楓の目から涙が零れた

 

楓「……また、腕をあげたわね…」

 

目の前がにじんで、豪華なはずの和食が見えない

 

それでも、楓はきれいに残さず、ひとくちひとくち、色んな思いを噛みしめながら食べ終えた

 

セイの姿を見るだけで、涙がこぼれそうになった

 

穏やかとはほどとおい楓の生活

 

楓「…………また、頑張れそうだわ」

 

楓は、司とつくしが京都の屋敷へと入ってくる姿を屋敷の窓からながめ、そうひとりつぶやいた

 

セイ「……いい息子と、いい婚約者をもったな」

 

そんな楓に後ろからセイが声をかける

 

楓はびくっとしたが、振り向かずにこう答えた

 

楓「……ああいう人間がいるって信じられないわよね」

 

楓は玄関から入ってくるつくしの顔を遠くから眺めながらこう返した

 

セイ「あのこは、強い子だ。色々調べたが、大金に目がくらまないしっかりした子だ……なかなかいない、良かったな」

 

セイはそう言った後に、昔のように楓の頭をぽんぽんと撫で、その場を立ち去った

 

楓の目から涙が流れ落ちる

 

楓「もう…頭を撫でられて喜ぶ年齢でもないのに…」

 

そうつぶやいていたが、楓の顔はとても幸せそうだった

 

そして、色んな修羅場を乗り越えた二人の目の前に、楓も姿を現す

 

楓「よく、がんばったわね」

 

つくし「……お義母さん…」

 

そう言ってつくしが楓へと抱き着いてきた

 

楓は驚いた

 

あんなことを色々した私をこの子は素直に【おかあさん】と呼ぶのかと

 

楓の冷たくなった心に、何かが灯った気がした

 

楓「………」

 

その灯は、昔の楓が待っていた気持ちだった

 

楓の心の奥底には、昔の楓の感情が生きている

 

そのことに、楓は気づかない様に無視してきた結果、今の鉄の女の楓が出来上がった

 

だが、小さく灯ったその光は、鉄をも溶かす灯へとなる

 

世間を騒がせている道明寺楓~鉄の女はこの日、終わりを告げたのだ

 

道明寺楓ではなく、楓としての本当の人生が、これからやっとはじまるのかもしれない

 

 

 


 

 

最終回になります、読んでくださってありがとうございました

 

そして更新がなく、大変申し訳ありませんでした

 

言い訳をすると、インフルエンザ、大雪、雪かき、突然の引っ越し準備…です( ;∀;)

 

北国から、一度も住んだことがない南の方へと引っ越しすることになりそうで…色々準備中です(´Д⊂ヽ

 

自分に合う町だといいなと願いつつ、新作も考えていますので、ゆっくりと更新していこうと思います

 

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