道明寺家の事、楓の過去のこと、色々な事を思い出していたタマの瞳から涙が流れ落ちた

 

楓「こんなところで何をしているの?」

 

すると、花沢類の別荘の庭園になど到底いるはずのない楓にタマは呼ばれたのだ

 

タマ「?!!!お、おくさま?なんで奥様がこちらの屋敷に…?」

 

タマは心底びっくりした顔で楓の方を振り返る

 

だが楓は表情一つ変えずにこう答えた

 

楓「あの娘は?」

 

タマ「ああ…先ほど、司坊ちゃんたちと一緒にお部屋のほうへ戻りましたよ」

 

楓「…西田」

 

西田「はっ」

 

タマの答えを聞いた楓は西田を呼び、西田はすぐに楓へと何かを渡した

 

楓「これをあの娘に」

 

タマ「え?!」

 

どさっと大きく立派な袋がタマへと渡された

 

タマ「お、おくさま!!これは…!」

 

楓「そうそう、あなたからって事にしておきなさい。これは命令よ」

 

西田「……車はあちらにまわしました」

 

楓「…」

 

楓は西田に渡された大きな黒いファーを首へと巻きながら、立ち去っていく

 

タマ「……まさか奥様が…楓様がこんなところまでいらっしゃるなんて………それにしてもこれは……」

 

タマは首をかしげながら大きな袋の中をのぞく

 

中には綺麗に包装された大きな箱がいくつか入っていた

 

タマ「……まさか……」

 

タマはすぐにつくしの元へと向かった

 

高齢とは思えないぐらい、早足でタマの口角が嬉しそうにあがっている

 

タマ「こら!!おまえたち!!!ちょっとおまち!!!」

 

ちょうど、廊下を歩いているF4とつくしをみつけたタマは大きな声で叫んだ

 

司「あ?どうしたんだよ」

 

タマの声に司が振り向く

 

つくしも振り向き、タマの方へと向かってきた

 

つくし「ど、どうしたんですか?タマ先輩」

 

タマ「……これを渡し忘れててね……」

 

タマは、奥様からだと言いたくて仕方がない、でも、ここでそれを言ってしまうと、奥様がまたひねくれてこちらに関わろうとせずに閉じこもってしまうかもしれない

 

タマはもどかしい気持ちでいっぱいだった

 

つくし「え???これって…」

 

大きな袋を渡されたつくしがおそるおそる司の方を見る

 

司は開けてみろよといったふうに顎で合図をしていた

 

つくし「え……タマ先輩…ありがとう……」

 

一つ目の箱は、とても素敵なワンピース型のマタニティ服とふわっふわのひざ掛けだった」

 

つくし「か、可愛い…」

 

つくしが嬉しそうに服を抱きしめる

 

つくし「まだある…」

 

二つ目の箱は、新生児を包むのにふさわしいといった高価そうなタオルにオーガニック素材のぬいぐるみ」

 

つくし「……これも可愛い」

 

三つ目の箱にはいつ使うのかわからないが、道明寺家ならば使う機会もあるんだろう、マタニティドレスが入っていた

 

つくし「ド、ドレス…」

 

西門「すげえ…」

 

あきら「さっすがセンスありますね」

 

あきらと西門がタマ先輩を褒めるが、タマはそれに笑みを返す事しかできない

 

司はオーガニック素材のぬいぐるみを逆さにしながら笑っていた

 

司「これうさぎ?ぶた??なんだ??」

 

司からぬいぐるみを奪うつくし

 

つくし「どう見てもうさぎでしょ!!!」

 

司「そうか?」

 

司は怒るつくしの顔を見てさらに幸せそうに笑っている

 

類「……」

 

類は何かに気づいたのか、黙ってその様子をみつめていた

 

タマ「……大事に使っておくれ」

 

タマの言葉につくしが元気よくこたえた

 

つくし「もちろん!!!!!!もーーーーーありがとーーーーータマ先輩!!!!!」

 

つくしは泣きながらタマの事をぎゅうううううっと抱きしめた

 

そして、またタマはみんなを見送る

 

タマは手を振り、みんなの姿が見えなくなったとき

 

こらえきれなくなって泣き始めてしまった

 

タマ「奥様…楓様……信じていました、信じていましたよ……鉄の女なのではないって……冷たくなったのはしかたがなかったって…優しい楓様はどこかに……ちゃんといるって……」

 

タマはこらえきれなくなって、膝をおり、その場に座り込んで、数十年ぶりに、声をあげて大泣きした

 

その声を、誰も聞くことはなかったが

 

届く人には届いていた

 

類「あのさ…」

 

つくし「ん?」

 

類はつくしにそっと耳打ちをする

 

類「そのブランド、司の母ちゃんが大好きなブランドだよ」

 

つくし「え?」

 

つくしは驚いて立ち止まる

 

司と西門とあきらは三人で前の方を歩いていて、二人が立ち止まったことに気づいていない

 

類「司の母ちゃん、パーティーの時、いっつもそのブランドのドレス着てる。それにタマさんは、こっちに来てからずーーーっと付き添いしてたし、買い物に行けてないと思うんだよね。買い物にはうちの使用人が行くし、買ったものの報告にも、このプレゼントは無いよ」

 

つくし「え??それってどういう…?」

 

つくしは思考が回らなく、きょとんと焦った表情をしていた

 

類「さあ…どういうことでしょう?」

 

類がにやっと意地悪な笑みを浮かべた

 

つくし「……え?え……もしかして……??」

 

つくしはハッと何かに気づく

 

類が気づいたつくしの表情を見て、満面の笑みを返した後に、無言で歩き始めた

 

つくし「ええ…?????」

 

つくしは立ち止まったまま、涙が零れ落ちる

 

司「あ??!!おい、なんで泣いてんだよ?!!おい類!!!お前俺のお…お…奥さん!!泣かせたのかよ!!!」

 

司がつくしの泣き声に慌てて振り返り、類のほうへと詰め寄ったが類は面白そうに吹き出した

 

類「なんで司、奥さんって呼ぶの恥ずかしがってるの?」

 

西門「類、そこつっこんじゃだめだろ」

 

あきら「司、何年たってもなれないよな」

 

司「う、う、うるせー!!!!おい、どうした?何かあったのか??」

 

三人にからかわれながら、司がつくしへと駆け寄る

 

つくしは首を横にふりながら、なんでもないと笑って答えた

 

つくし「ねえ……このプレゼント、大事に…大事にしていこうね」

 

司「お、おう??」

 

つくし「ぜったいぜったい…無くさない」

 

司「お、おう、よかったな??」

 

つくしは、司には伝えるのをやめた

 

いまだ、司と楓の間には埋まらない溝がある

 

だから、いま伝えても、せっかくのプレゼントを司は破棄しかねないからだ

 

でもいつかきっと

 

司にも知ってもらいたい

 

楓が、鉄の女ではない事

 

不器用だけど、司のことも、産まれてくる子供のことも、大事に思ってくれていること

 

つくしは道明寺家がいつか全員そろって笑顔になれる日を作ってやる

 

そう、決意を固めた日でもあった

 

帰りの車の中

 

西田「……」

 

楓「西田、さっきからずっとにやにやにやにやと、はしたない顔をおやめなさい」

 

西田「はっ……」

 

楓「……まだやめれてないわよ」

 

西田「も、もうしわけありません…」

 

楓「はあ……この後のスケジュールは?」

 

西田「〇×会社との会食になっております」

 

楓「そう…ついたら教えてくれる?少し、仮眠をとるわ」

 

西田「はっ」

 

暗い星空が車の窓から見える

 

楓は自分のとった行動に驚いてもいた

 

でもそれ以上に、久しぶりに、心から湧き上がるような笑顔をおさえられずにもいた

 

楓の心に、久々に、あたたかい気持ちが穏やかに包み込むように浸透していた

 

道明寺家に新しい命が産まれるまであと数か月

 

この子の人生は、道明寺として、もうすでにはじまっている

 

でも願わくば、幸せな人生を歩む子、道明寺家の新しい風となる子が、産まれますように

 

楓は自然と、暗い異国の星空へとそう願うのだった

 

そして同じ星空の下で、新しい命を育んでいるつくしも、同じ願いを空へと願っていたのだった

 

新しい道明寺が、幕を開けるまで、もうすぐ……

 

司の顔と、つくしの性格をもった可愛い子が、一日一日と大きくなっていくのだ

 


 

 

 

読んでくださってありがとうございました(*´ω`)

 

楓の番外編になります

 

たくさん拍手をもらい、とても嬉しかったので、楓の過去話をしてくれていたタマのその後の様子を書きました

 

最終話のセイは、花男ファイナルの北大路欣也さんをイメージして書きました

 

あの映画を見た時、楓と欣也さんの関係がきになってきになって……

 

でもなんとなく、司の父ではない気がしたんです

 

楓の好きだった人なんじゃないかなって

 

そう妄想したときに、鉄の女の物語を書いてみたいなと思い、書いてみました

 

拙い文章で、へたくそだなと思ってるんですが

 

書ききれたことに、いまは満足しています

 

こんな物語を面白いといってくれた方もいて

 

思い切ってブログをやってみて良かったなとも思えました

 

今後も、楽しく色んな二次小説を書いていけたらなと思います

 

これからも、よろしくお願いいたします!!!

 

 

 

 

 

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