トイレでつくしはあからさまにごしごしと口のあたりをぬぐう
つくし「・・・」
涙目のつくしの脳裏に浮かんでいるのは司の顔だ
ごしごしとやるものだからつくしの口周りは真っ赤になってしまった
つくし「・・・道明寺」
思わずつくしは弱った声で司の名前を呼んだ
あのパーティーの日
まるで用意されたと思われるようなスタッフがつくしのことを誘導した
けれどそのスタッフは本物の誘拐犯だったのだ
つくしは楓と司が用意したものだと信じ込み、なんでこんな変な場所から出てこんなのに乗るんだろうと思いながらヘリコプターに乗ってしまったのだ
メープルホテルにはヘリポートがありヘリコプターで来館する客もいるためヘリがあるのは不思議ではなかった
何か意味があるに違いない
そう信じて疑わなかったつくしはヘリに乗り込みそして出されたドリンクを疑わずに飲んでしまった
そしてそのまま眠っていたようで気づいたらまったく知らない場所にいた
目が覚めた時のつくしはすでにヘリではなくリムジンのような長い車にいた
ちょうど車はどこかに停車中のようで、つくしはとてつもない不安に襲われそのままなんとなく逃げてしまったのだ
つくし「うん、あたしは間違ってないはず、だって逃げたら怖い表情で追いかけてきたし・・・なんか違和感があるっていうか、違うっていうか・・・」
つくしは真っ赤な口のままう~~んと腕組んで悩み始める
レオ「ツクシ!ダイジョブデスカ!」
つくし「あ、ごめん今出る!」
つくしは慌ててトイレを出る
レオ「ツクシソノカオドシマシタカ!」
つくし「な、なんでもない!!」
レオ「デモ・・・」
つくし「大丈夫だよ」
そういって笑ってつくしはレオの背中をぽんっと叩いた
気がかりなことはたくさんある
でもつくしは知っている
どんな状況でも自分は乗り越えてきたことを
今回だって乗り越えれるはず
つくしはここがどこかわからないけれど司のいるNYに帰れると信じているのだった
つくし「なんてったってあたしが逃げてる時に助けてくれたレオもいるしね」
レオ「ハイ、ヨビマシタカ?」
つくし「ううん」
変な男たちから逃げて逃げて、もうだめだと思ったときに助けてくれたのがこのレオだった
花沢類のような顔のレオのおかげでつくしは安心感をより感じているのかもしれない
ドレスだと目立つためにレオの服を借りていたつくし
そしてせっかく着ていたドレスの裾をやぶり、動きやすいように工夫していた
つくし「しかしこれ高いんだろうな・・・」
つくしはドレスの値段も気にしつつ、今は助かる為に元気でいようと余計なことを考えないと自分に言い聞かせるのだった
つくし「はあ、でも実際どうしよ、レオが日本語喋れてよかったけど、通じる言葉と通じない言葉あるようだし」
レオはつくしに移動手段を聞かれ、それを聞いたレオが店にいる人と話しはじめているところだった
つくし「南国っぽいんだよね、なにもかもが・・・青い空、近くに海、店っていうより露店ばっかだし、海の家外国バージョンっていうか」
つくしはあたりをきょろきょろ見回す
つくし「けどそのわりには観光客っぽいのもいないし、店はいってもお客いないし・・ってそういやさっきレオの友達っぽい人いたなあ~NYから近いかな~」
レオ「ツクシ!コッチ!」
つくし「あ、はい!」
レオが移動手段を聞いてくれているのを座って待ってたつくしが立ち上がった
レオ「ボクノイエニイコウ」
つくし「へ?いやそれはさすがに、ご飯食べさせてもらったしえっとあたし行かなきゃならないところあって」
レオ「ツクシNYイキタイ、ボクノイエナラダイジョブ」
つくし「なにいってるの?」
レオ「イイカラオイデ」
つくし「ちょ!」
店の裏にある車に乗り込むレオ
レオ「イクヨ」
つくし「ちょ、これあのおじさんの車なんじゃ・・・え?貸してくれるものなの?」
店のおじさんは笑顔で手をふったあとにお腹に手をやりお辞儀をした
つくし「へ?」
レオ「ツカマッテ」
つくし「えええええ~~」
レオがそういった瞬間にまるでレース場の車のように急発進したレオ
そしてものすごい速さで走り始めその車に乗ってるつくしの悲鳴だけが周囲にこだましたのだった
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