あのパーティーにつくしを招待する
その台詞から数日後、牧野つくしに一通の招待状が届いた
その招待状を持って西田が血相を変えて美作の家へとやってきた
総二郎「ほんとうにきたのか」
類「どうする?この招待状は手に入れることできないよ」
あきら「…」
西田「これは一体、なにがあったんですか」
つくし「…」
司は日に日に回復はしているが、いまだ入院中だった
そんな時にこの招待状はきた
総二郎と類は自分たちの軽率な行動のせいだと自分を責め始める
総二郎「くそっ、変に刺激しなきゃよかったな」
類「断れっていいたいけど…」
西田「…」
つくし「……」
西田が手にもつ招待状を囲んで暗い顔のF3が難しい顔で悩んでいた
つくしは、意を決してその招待状を開け始める
総二郎「…牧野」
つくし「…やっぱり、あたしだけしか招待されてないんだね、まあ当たり前か!うん、行ってくるよ」
あきら「牧野、やめとけよ」
あきらはそう言うが、この招待状は決して断れない代物だった
つくしもそれをなんとなく察している
つくし「これって…もしかしなくても」
招待状を読みながら、つくしは気づいた
西田「そうです、前にお話しした、社交界のTОJと呼ばれているパーティーです」
総二郎「牧野、知ってたのか」
つくし「花嫁修業をはじめるときに、西田さんに教えてもらったパーティーがこれなんだ、このパーティーに招待されれば世間はあたしのこと認めてくれるだろうって、このパーティーに招待される女性はマナーや立ち居振る舞い、ファッションに容姿、世界情勢を把握してるってことだから、みんなに認められるだろうって」
つくしのその言葉に重苦しい空気が流れた
総二郎「認められて招待されたってわけじゃないだろ…」
険しい顔の総二郎に続いてあきらも続いた
あきら「そうだよ、正直牧野には悪いけど、まだまだ牧野はこれに招待されるほどじゃあない、今の牧野でここに行けば、逆に笑いものにされて世間に認められるどころか…」
あきらはそう言いかけた後に、口を紡ぐ
つくしは力なく笑ってそれに答えた
つくし「うん、わかってる、あたしじゃまだまだこのパーティーに出席する資格すらないって」
類「……」
西田「ですがこの招待状を破棄すればそれこそ」
総二郎「…行くしかないってことか」
みんなわかっていた、選択肢はひとつしかなかった
西園寺翼は腐っても世界的に有名な御曹司で権力があるのだ
みんなが重苦しい顔をしてるなか、類がぼそっと話し始めた
類「……逆に牧野がちゃんとパーティーに出席して各国の要人と渡り合えたら…面白そうじゃない?」
総二郎「!!!」
あきら「!!!!!!」
つくし「???」
西田「!ですが今からじゃあ…」
総二郎「なるほど、その手があったか」
あきら「……西田さんの言いたい事もわかる、でもやってみる価値はあるだろ」
そう言って三人がつくしの方を見つめる
つくしはその視線に耐えきれなくなり壁の方へと思わず身を隠してしまった
そんなつくしにおかまいなしに話はどんどん進んでいく
総二郎「あれ?そうだ、エスコート役で俺らのうち誰かが行けばいいんじゃない?」
あきら「あ…その手があったか」
類「本来なら司がその役なんだけど」
女性がパーティーに出席するときのエスコート役が必要なことに気づいた三人が嬉しそうな表情をするが、西田が首を横にふった
西田「確かにエスコート役は必要ですがこのパーティーでは身内‥夫か婚約者のみ…となっております、司様がこのような状態では…」
総二郎「司がダメなら身内…牧野の父親か弟ってことか」
つくし「…」
類「牧野のお父さんは病気療養中」
あきら「牧野の弟…か」
三人の脳内に純真無垢な笑顔で笑うつくしの弟の顔が浮かぶ
総二郎「……無理だろ」
あきら「ああ…」
類「でも牧野一人で行くよりは」
つくし「あの…家族は巻き込みたくない…です」
壁のほうから小さな声でそう訴えるつくし
さすがにその言葉には三人も同意だった
総二郎「もっとカジュアルなパーティーなら男友達でもいいんだけどな」
あきら「司が復活…してるわけないか」
類「でもこのパーティー、一ヶ月後だから司の脅威の回復力ならいけるかも」
あきら「いや、無理だろ、まだ司包帯とれてないし、リハビリ段階だぞ?」
総二郎「じゃあやっぱり牧野が一人で行くしかないのか…」
三人は頭を抱えて悩んだが、悩んでいる時間もないことに気づく
総二郎「とりあえず、牧野をどうにかするのが先だろ、俺らも”先生”ってやつになるか」
あきら「ああ…牧野の花嫁修業、グレードアップだ」
類「……」
西田「!!」
つくし「ひぇっ」
三人と、そして西田の視線がつくしに集中した
つくしは思わず悲鳴をあげてしまった
そしてつくしは逃げることなどできずに、恐怖の花嫁修業へと突入するのだった
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