翼「…すごかったよ、まるで会う人会う人全員からの視線で全身ずったずたに刺されてるかのようだった」
司「……はぁ」
翼「なんだよ」
司「いや、ちいせえ奴だなって思って。周りに何を言われても堂々としてりゃあ良いじゃねえか。お前が選んだ女なんだから胸張ってろよ」
翼「っ…」
あきら「おいおい、みんなが司のようになれるわけじゃあないんだ」
司「あ?当然のことだろ、自分で選んだんだから周囲に何言われようがうじうじすんな」
翼「…俺だって信じてたよ。周囲に何言われてもあいつのために頑張ろうって、でも結果がこれだ!子供を置いて出ていった!!!あの女の答えはそれなんだよ!!自分の命だけが大事だったんだ!!」
翼が怒鳴り声をあげながら拳を床にドンっと叩いた音が響く
あきらも司もその翼に何も言えないでいた
翼だって命を狙われていた、当主としての大変な仕事をする中、なずなと生まれる子供の為に周囲の馬鹿にした言葉にも負けずに頑張っていたのに、手紙一枚で話すこともせずに出ていかれたのだから、翼としての怒りはもっともだった
誰も言葉をかけることができなかった
そんな中つくしは翼の話を聞いて司達の普通の日常生活を目の当たりにしたことになる
そのせいでなんともいえない不安が生まれてしまいつい口からぽろっと出てしまった
つくし「……もしかしなくても…もしあたしが子供を産んだとして…一緒にいられないってこと?!」
その事に気づいて愕然としているつくしをよそに、その言葉で司だけは照れはじめてしまう
司「ばっかお前…子供って」
そう言いながらも顔はニヤニヤとしているがそんな司につくしはついついびしっと腰あたりを叩いてしまった
司「いって!」
つくし「ごめん、なんか話を聞いて不安になっちゃって…」
つくしの言葉にあきらが優しく笑って答えてくれた
あきら「まあそうなるんじゃない?」
あきらに続いて翼は心底つくしに呆れたように言葉を続ける
翼「考えもしなかったって顔してるけど、お前今どうせあれだろ?花嫁修行させられてマナーやら経営学やら叩き込まれてるだろ?道明寺家は当主だけじゃなく、道明寺楓もTOPを走ってる女だ。このままいけば楓さんの後を継ぐのはお前だろ?」
つくし「た…たしかにそんなようなことは西田さんも言ってたけど…でもなんていうか…想像的には道明寺の隣に立って…パーティーとか奥さんも一緒に出なきゃならない場での仕事だけはしなきゃってイメージで…」
しどろもどろにそう話すつくしに翼は大きな声で笑いはじめる
そしてつくしに向かってあることを話し始めるのだった
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