酔いの手助けもあり、三度目の長い長いキスをつくしにした類
さすがのつくしも、唇が離れた後に言葉を失っていた
つくし「……」
泣きそうな目でつくしが類から目をそらしている
類「…司がこんな時に卑怯なな奴だって思った?」
類の問いに、つくしは首をよこにふった
つくし「ううん、花沢類の好意に甘えきってた私が悪いの…ごめんなさい」
つくしの胸が軋む、その傷みは確かに類のことを想っての傷みだった
類「……ねえ牧野、俺じゃ、だめかな?」
つくしのことを押し倒したまま、類がそうささやいた
つくし「……ごめん、花沢類、私、混乱しちゃって…道明寺がこんなになって凄い辛いのに、もしこれが花沢類だったらってさっきちょっと考えちゃって、そうしたらなんか今まで考えてた何かが崩れたような、わけわかんない感情が押し寄せてて、ごめん、少しだけ…ひとりになってもいい?」
つくしが顔を覆いながら必死にそうお願いをする
だが、類はあきらに言われた【落ち着かせる時間を作るな】という言葉を思い出した
類「……」
でも、目の前には今にも泣きだしそうに少し震えたつくしの姿があった
類はつくしのその姿に少しだけ、酔いが冷め、理性が戻る
類「牧野はさ、俺がこうやって押し倒しても、キスをしても、困るか泣くかだけなんだよね」
類はそう言って、つくしから身体を離した
つくし「え?」
突然の類の落ち着いた冷静な声に、つくしは顔を覆っていた手を離す
類「ほら、顔は真っ赤になってくれるけどさ…全然笑ってくれてないんだ、ずっと困ったような表情してるの」
つくし「…真っ赤って…」
つくしは類にそう指摘されて、余計に顔に熱を感じた
類「……司の時と、やっぱ全然違うんだよね」
つくし「…??」
類はその時、未来の観覧車の中から見た、つくしの表情を思い出していた
おそらく司にキスされたであろうつくしの顔は、今のように真っ赤な顔していた
だが、眼はうるみ、口元も口角が上がり、凄く幸せそうにうつむいて黙って微笑んでいるつくしの表情
類「…やっぱ俺には無理なのかな、牧野にあんな表情をさせるの」
つくし「????、な、なにいってるのかちょっとわかんないよ…」
類が何かを納得したかのように、淡々とした語り口調でそう話続け
つくしはそれにまったくついていけなかった
そして類は、キスしてごめんねと謝り、酔っちゃったから今日はここにもう一泊しよう、明日に一緒に帰ろうと
いつもの花沢類に戻り、つくしに優しく微笑んでそう告げたのだった
つくしもそんな花沢類の姿にほっとしたのか、そのまま二人はまるで何事もなかったかのように、また一日が終わってまったのだった
でも、実はこの時が、花沢類の運命の分岐点だった
酔いのおかげで素直になったことで
この先の二人の未来が大きく変わっていくことになる
今日も読んでくださってありがとうございました(*´ω`)
そしてメリークリスマスイブ!みなさまにとって素敵なクリスマスになりますように( *´艸`)