つくしと類の温泉旅行も終わり、またいつもの日常が戻る
類は時々英徳学園へと足を延ばし、非常階段でつくしと会う日々
そしてつくしも類も、司の入院する病院にも何度も通っていた
そんなあるとき、記憶の戻らないままの司とあきらと西門とつくしと類と優紀と海という女と、スキー旅行へと出かける
そしてその時、つくしが遭難したかもしれないという事件が起こり、そのことがきっかけで司の記憶が戻った
これは未来での司とつくしの分岐点だった
遭難しかけたつくしを本能的に司が助け司の記憶も戻る
そうすることで、この二人はより絆が強くなり、結ばれた
だが、未来を知ってる類がこの時、この分岐点をも変えてしまったのだ
類はただ、つくしを遭難させたくない一心で、つくしが遭難しないように前もって類が助けてしまった
それもそのはず、類はこの旅行がきっかけで司とつくしの絆が深まったことを知らなかったのだから…
ただの類の優しさが、運命の歯車を変えてしまった
類「良かった…牧野が外に出る前に掴まえられて…」
つくし「ううん、私のほうこそ優紀が温泉に入ってるってこと教えてくれてありがとう、どうして私が外に出ることを知ってたの?」
類「いや…それは…」
未来から来た類は出来事をしっているとつくしに話すこともできずただ誤魔化すだけしかできなかった
未来でのつくしの遭難理由は、記憶喪失の司に近寄ってきた海という女が、優紀を探しているつくしに対して【優紀さんなら外に出ていった】と嘘をつき、それに騙され探しにいったつくしが遭難してしまう
案の定、同じことが目の前でおこりそうだったので、類はつくしの身を心配して、必死につくしを探し、遭難前に助けることができたもだった
でも、類が助けたことをまだ知らないほかの人たちは、つくしが遭難したかもしれない?!と西門やあきらや司は思ってしまったようで、その時がきっかけで、司の記憶が戻った
つくしと類が話している玄関の方へ、西門、司、あきら、優紀の足音がばたばたと近づいてくる
優紀「つくし?!!!よかった、いた!!!!遭難したかと思ったよ…」
司「っ……」
西門「おいおいおいびっくりするじゃんか…」
あきら「類が止めたのか?!良くやったな、類」
どうやらみんなは海から一連の出来事も聞き出していたようで、慌ててつくしを探しにいこうとしていたようだった
特に司の足音が一番早く、玄関前につくしの姿が見えなかったら、一番先に飛び出していったであろう速さだった
司「お前……牧野か」
つくし「?!!…もしかして」
西門「おい!もしかして司思い出したのか?!!」
あきら「まじか!!!牧野が遭難したかもしれないってことで本能が思い出したのか?」
優紀「なんか、愛の力って感じがしますね」
そんな風に周りが喜ぶ
類はそのやり取りを見て、やっぱりこの二人には敵わないな…と思い、黙って後ろの方に後ずさりをした
だが
つくし「……良かった、道明寺、記憶が戻ったんだね。忘れられっぱなしは癪だから、良かったよ」
司「お、おう」
二人の間に少し重い空気が流れる
西門「あれ?牧野、もっと喜ばねえの?」
西門の問いにつくしは首を横にふった
つくし「そんなことないよ、すごく嬉しいよ。これでいつでもニューヨークに戻れるね」
つくしは満面の笑みでそう告げる
司「あのよ…牧野」
司は記憶喪失の間のことも覚えているようで、つくしに謝ろうとしたが、それを先に察知したのかつくしは類の方へと近寄って行った
つくし「……花沢類、また助けられちゃったね、本当にありがとう」
つくしが類の方をまっすぐとみて、頭を下げた
類は少しびっくりしながらも、つくしの頭に手を置きぽんぽんと撫でながら
類「牧野が無事で良かったよ」
そう言って優しく笑う
西門「なんかお前ら、良い雰囲気じゃね?」
類とつくしの間には、司の時とは違う優しい雰囲気が醸し出されていた
当たり前だがそれに周りはすぐに気づく
だが、ここであきらが気をきかせてくれた
あきら「司も記憶が戻ったなら主治医にすぐ連絡しなきゃならねえし、一旦みんな部屋に戻ろうぜ。特に司!記憶戻ったばっかなんだから、あんま無理するな…!あっ優紀ちゃんは湯冷めしちゃってるからもう一度温泉入りなおして来たら?!総二郎も、俺たちご飯前だったじゃん。何か食べに行こうぜ!!」
西門「そういやそうだった。優紀ちゃん、入っておいでよ」
優紀「あ、はい。それじゃあお言葉に甘えて。。。」
司「…おい、俺はまだ牧野に話があるんだよ」
あきら「はいはい、牧野だって今混乱してるんだから、司も記憶戻ったばかりなんだし一回休んでから話しなよ。それじゃあ類!あとは任せた!あ~~海って子については、俺たちにまかせておいてくれ。類も事情知ってるみたいだし、牧野に説明してやって」
司「おい!!」
西門「それもそうだな、司、ほら行くぞ!」
まだ文句を言う司を西門とあきらが引っ張って連れていく
類と牧野が、また二人だけになった
類「……大丈夫?」
言葉数が少ないつくしを心配した類がつくしにそう聞いた
つくし「うん…」
つくしが落ち着いた声でそう答える
類「…」
類がそれに安心し、微笑んだ
つくし「あのさ、花沢類」
つくしが意を決したように生唾を飲み込んでから話し始めた
類「なに?」
つくし「ちょっとだけ、話があるんだ」
類「ん?ここじゃ話せない事?」
つくしが小声で話してくるため類がそう聞いた
それに対しつくしがこくんとうなづいた
類「そっか、それじゃあ俺の部屋にでも行こうか」
つくし「ありがとう」
そして二人は、旅先の類の部屋へと向かうのだった
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