2人の夜がはじまる
そのことに、キスされたあと頭がぼーーっとしながらもつくしは気づいた
目の前がぐるぐる回る
でも類のビー玉のような瞳だけはぐるぐるとまわらないでよく見えてしまう
つくし「………あの…私…こういうのはじめてっていうか…何もわからないっていうか…うまくできるかどうか…ってうまくってなに?!!」
つくしはしどろもどろになりながらも自分自身につっこみをいれていた
そんな姿のつくしを見て類はぷはっと吹き出してしまう
類「あははは」
つくし「もう!!!笑うことないでしょ?!こっちは真剣なのに!!!」
つくしは片手で自分の身体を隠し、もう片方の手は拳を作ってふりあげながら怒っている
目に涙がたまるくらい笑った類は、人差し指で涙をぬぐいながらつくしの方を見てこう言った
類「むしろ慣れててプロのようにうまかったら、俺嫉妬で狂っちゃうよ?」
にこっとした天使のようなスマイルで類がそんなことをいうものだからつくしはまた顔が真っ赤に染まってしまった
つくし「……ぷぷぷぷぷプロだなんて!!!そんなことあるわけがなっ…!!っ…!」
叫びながら否定しようとするつくしの唇を類がまたキスで塞いだ
類「わかってるよ。からかってごめん、牧野」
つくし「…」
少しすねたような顔つきでつくしは類の方を睨む
けどお互いに何を言うわけでもなく、また唇を重ねた
類「………たとえこの世界が夢物語だったとしても忘れない…大事にする」
つくし「…え?」
つくしに聞こえるか聞こえないかのような小声でそう類がつぶやいたかと思うと、またつくしへとキスをした
つくし「っ……」
つくしも黙ってキスを受け入れる
類が大切なものを扱うように、ゆっくりと静かに、でも力強くつくしのことを抱きしめた
つくしはなぜかわからないけれど、抱きしめられた瞬間、涙がぶわっと身体の奥から湧き上がってしまい瞳から零れ落ちる
つくし「え?なんで…」
類「…悲しいの?」
涙が流れる瞳へと優しく口づけする類
つくし「ううん…わかんないけど、なんかぶわっとした何かが…きっと嬉しくて…幸せなんだと思う」
つくしが泣きながら笑ってそう答えた
類は一瞬身体を離そうとしたが、つくしの見たこともない表情に心臓がキュンと高鳴ってしまう
類「………牧野、おじいちゃんやおばあちゃんになっても一緒にいようね……一緒に日向ぼっこしたりしてさ、牧野となら、そんな風に過ごせそうだなって…」
類の言葉に今度はつくしがぷはっと吹き出した
つくし「もう、いまから老後の話って…花沢類らしいっていうか…でも………花沢類と一緒なら、私、ずっと安心して生きていけそう」
つくしの無意識なこの言葉に、類の心臓にちくんとした針が刺さったような痛みが走る
類「……」
つくし「…どうかした?」
そう問うつくしに気づかれないよう、類は今はその痛みに目をそむけこう答えた
類「いや…牧野、愛してるよ」
つくし「……花沢類」
何度目のキスだろうか、つくしがゆっくりと目を閉じてまたキスを受ける
そして、長い長い夜を終え
2人の朝がはじまりを告げた
今日は二回更新にしました
長い間更新を休んでしまったので…
先ほどアップした話にも、拍手がもうあり、驚きました
最終話ありがとうございましたの言葉もあり、これだけ更新を休んでいたのに、読んでくださるみなさん、優しいなと、ものすごく嬉しかったです
本当に、こちらこそ、いつも読みにきてくださってありがとうございます
まだまだ引っ越し準備中なので、不定期更新になり申し訳ない気持ちでいっぱいですが
時間をみつけ更新していきますので
これからも、よろしくお願いいたします