そして、遊園地で会う日
類は、未来でも着ていた服を手に取る
類「…未来では総二郎やあきらも行くはずでキャンセルになった、今は、俺と牧野と二人でのデートになってる、でも…」
類はスマホに入っている未来に観覧車前で撮影した写真を思い出す
類「…考えてたって仕方がないか」
類はふうっと小さなため息をついたあと、もやもやした感情は捨てきれないまま、家を出発した
類「まだちょっと早かったかな」
類の運転する車が遊園地につく
駐車場に車を止めようとしたとき、遊園地での待ち合わせ場所が見えた
類「…牧野!」
そう、遊園地の前には、もうつくしが待っていたのだ
類は急いで車を止め、待ち合わせ場所へと急ぐ
類「遅れてごめん、待った?」
少し息を切らす類に、つくしがぶんぶんと首を横に振りながら答えた
つくし「待ってない!待ってないよ!!ごめん…なんか私早く来すぎちゃって」
右手を額にやり、腕で顔を隠すようにつくしは返事をした
頬が心なしか赤く染まっている
類「今日はちょっと寒いし、早く中に入って温かいものでも飲もっか」
類の優しい笑顔につくしも笑顔でコクンとうなづいた
そして、遊園地の中へ二人は入り、二人は優しく微笑みあいながら飲み物を飲んだ
未来で回った時と同じように、色んなアトラクションを二人で回って、本当にたくさん、たくさん、遊んだ
そして、残すはあと観覧車となった
類「……あのさ、牧野。話があるんだ」
つくし「??どうしたの?花沢類」
観覧車の目の前で、類はピタリと歩みを止めた
類「……」
類の真剣な顔つきに、つくしにも緊張が走る
類「……口で説明してもわかんないだろうから、これ…見てほしい」
類が渡したのは、未来で類が浸かっていたスマホだ、未来で撮影した写真の画面を開いたまま、類はつくしに手渡した
つくし「これ……私と、花沢類?あれ…でもこんなの撮った記憶がない」
つくしが不思議そうに写真を見る
つくし「ご、ごめんね、なんでこんな写真があるの?」
そもそも、花沢類とはまだ遊園地に来たことがなく、今日初めて一緒に遊園地に来たと思っているつくしは首をかしげながらこう聞いた
類「俺が、未来から来てるっていったら、どうする?」
つくしに返されたスマホをポケットにしまいながら、類は話を切り出した
つくし「え?!!」
類「未来から来て、司と牧野が付き合うはずだったのに、俺が過去をかえて、俺と牧野が今付き合ってるっていったら、どうする?」
真剣な表情で話す類、冗談でも嘘でもないことが伝わってきた
つくし「いや!!ちょ、ちょっとまって!!!ストップ!!ストーーーップ!!!」
つくしは頭を抱えながらしゃがみこむ
つくしの心の声「いや、タイムスリップしてきた花沢類ってこと?!!花沢類は本物の人間なんだよね?未来?過去?私が道明寺と付き合ってる未来から花沢類が来て、過去をかえて今私と付き合ってるってこと?!!え…っわからない、え?え?花沢類は宇宙人ってこと?!」
混乱しすぎて、思考回路がおかしくなるつくし
嘘だ、冗談だと笑ってすませれる話ではない現実である事は、スマホの写真が証明している
類「あはは、牧野、全部声に出てる。俺じゃ宇宙人じゃないよ。本物の花沢類、ただ過去に存在してる花沢類が…いないから、俺の未来の魂?だけが過去の花沢類に入ってるんだと思う」
類は実はもう一つ気がかりだったことがあった、過去にきたのならば、過去の自分もいるはずだ。でも、自分はいなく、未来の自分のまま、花沢類として動くことができた
だから今動いているこの身体は、過去の自分の身体で、未来の自分の魂だけが入り込んでいるのだと、類はそう思っていたのだった
つくし「えっ…ちょっと待って、ってことは、未来の花沢類の身体は?」
そう、つくしが恐ろしい事に気づいてしまった
類「さあ」
つくし「さあって!!!!ま、まって、花沢類、未来のいつ頃ここにきたの?どうやってきたの??説明して!!!」
つくしが類に詰め寄り、質問攻めにしてくる、類は困った顔をしながら観覧車の前から少し離れた場所につくしを連れていき
ゆっくりと丁寧に、自分が来た時のこと、夢だと思ってたこと、すべてつくしに話したのだった
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つくし「ねえ……ってことは【未来の今日】【観覧車の中】で花沢類は倒れてるってことになるよね?」
類「うん、そうだね」
地面に図を描きながら説明していたので、二人ともしゃがみながら緊張した面持ちで話していた
つくし「……ちょっとまずくない?」
類「何が?」
キョトンとする類に、つくしが青ざめた顔で叫んだ
つくし「【過去の身体】に【未来の花沢類の魂】が入ってるんだとしたら【未来の花沢類の身体】は?どこにいるの?!!!」
今にも泣きそうなつくしがこう叫んだが、類はそれを聞いて間の抜けた返事をした
類「あ、そういえば、そっか。俺、どこにいるんだろう」
つくし「……なんか、花沢類の身体、薄いっていうか、光に透けてるように…見えるんだけど…」
そして、つくしはある事に気づいてしまった
今ここで話してる花沢類の身体が、夕日が沈む光と溶け込み、今にも消えそうなほど、透き通ってるように見えたのだ
つくし「………花沢類が倒れたのって何時ごろ?!!!ねえ、何時?!!!!」
類の身体を掴んでがくがくと揺らしながら、青ざめたつくしが声を荒げる
必死な形相のつくしを見て、つくしの言葉を聞いても、類はまったく恐怖を感じずに、ただただつくしが可愛くて笑ってしまうのだった
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