花火の光が類とつくしの顔に写る

 

赤や青の花火の光が、観覧車を幻想的な雰囲気に仕立て上げている

 

観覧車の中であがる花火を見るイベントは綺麗で恋人達の素敵な思い出になるはずだが

 

今のつくしにとって花火は胸騒ぎを促す音と光でしかなかった

 

つくし「……人生が終わってもいいっていった?」

 

類「うん」

 

おそるおそる類の言葉を聞き返すつくしの声は震えている

 

だが類の表情は、つくしとは違い、何かスッキリとしたような、今まで以上に優しさを感じる笑顔だった

 

つくし「それって!!」

 

青ざめた表情のつくしが声を荒げながら言いかけた時、イベントのアナウンスの邪魔が入ってしまう

 

そのアナウンスは10秒間観覧車が止まるサービス

 

てっぺんに1つの観覧車の乗り物が到達するたびに、10秒間止まり、大きな花火があがるのを見れる

 

そして今、つくしと類が乗った観覧車の乗り物がてっぺんに止まったのだ

 

アナウンス(ここで~10秒間停止します)

 

アナウンスの声に、つくしの心臓がドクンと嫌な音をたてた、つくしの胸騒ぎがよりいっそう強くなる

 

だが、類はそうではなかった

 

ふわっとした優しい笑顔で、つくしの頬を両手で包んできた

 

つくし「え…なに?」

 

類の突然の行動に、訳が分からないつくし

 

類の両手に包まれてるが、今のつくしの青ざめた顔が戻るわけがない

 

だが類はそんなつくしに、頬を両手で包んだまま、優しくキスをした

 

2人のキスと同時に、大きな花火がまたあがる

 

キスした2人の姿を、赤や青の光が逆光となって照らし出す

 

つくし「っ…」

 

類「………ははっ、あの時見た顔だ」

 

唇を離したあと、つくしの顔をみた類がそうつぶやいた

 

つくし「…あの時って何?」

 

類「秘密」

 

イタズラっぽい笑いで教えてくれない類

 

青ざめていたつくしの顔が真っ赤になっていたことが、類は凄く嬉しいようだった

 

そして、【あの時】とは、未来で司とつくしが乗った観覧車を類がのぞいていた時に見えた、あの真っ赤なつくしの表情のことだ

 

アナウンス(観覧車が動きます、座席に座るようにして下さい)

 

そして、またアナウンスが入った

 

類「…未来で俺が乗ってた観覧車の方には、誰ものってないんだな」

 

ぼそっとした声で類がつくしに聞こえないような声でそうつぶやいた

 

つくし「え?」

 

色々と突然なことがありすぎて、つくしは混乱した状態のままだった

 

つくしは、類の言葉を聞き逃してしまった

 

そして、未来で類が乗っていた観覧車がてっぺんへとたどり着き、再度観覧車が停止した

 

類「そろそろか」

 

つくし「な、なにが?」

 

類は、何に気づいたのだろうか、何がわかったのだろうか

 

詳しい事は、いまだ何一つ聞いていないつくし

 

つくし「ねえ、今なんて…」

 

つくしが聞こうとしたとき、類がつくしへとすごく顔を近づけ見つめてきた

 

類「牧野」

 

つくし「わっ!な、なに?恥ずかしい」

 

こんなに至近距離で顔を見つめられると、さすがにつくしは恥ずかしすぎるようだ

 

だが類はそんなことなど気にもしていないようだった

 

つくし「あ、あの…」

 

つくしがまた何か言いかけるが、類が手で頬を触ってくるものだから、つくしはなかなか言葉が続かない

 

そして類が話し始める

 

類「牧野、俺、すごいすごい幸せだった」

 

類の言葉につくしは、触られている頬以外の場所が、一気に冷え顔がまたみるみると青くなっていく

 

つくし「い、いきなりなに」

 

つくしの言葉に返事をせず、類はまだ言葉を続けた

 

類「多分俺もう、時間ないと思う。牧野は泣いちゃいそうだけど、でも、あんまり泣かないでほしい。少しの期間だったけど、牧野が俺のものになって、一緒に観覧車に乗れて、嬉しかった」

 

そう言ったあと、類がまたつくしへと、キスをした

 

まるで唇の柔らかさと熱を確認するような、本当に優しいキスだった

 

そんなキスをされたつくしは、自然と目から涙が流れ落ちる

 

類「泣かないで?でも、牧野、ごめんね。牧野は、本当は司と一緒になった方がいいと思う。って俺がその未来を変えちゃったんだけどさ」

 

類の言葉につくしはぶんぶんと首を横に振る

 

つくし「なんでそんなこというの?私は道明寺より、花沢類の方が!!!」

 

つくしは叫んで類の言葉に否定をはじめたが、類のまっすぐな瞳に、なぜか言葉が止まってしまった

 

類「牧野、俺、2人に最低な事した。俺が本当に願うべきことだったのは、こういうことじゃなかったんだ」

 

つくし「っ…」

 

何か言いたいが、何故か何も言葉が出てこないつくし

 

つくし「っ…花沢類?!なんか、身体がさっきより透けて…っ!!」

 

そう言いかけた時、類が自分の手のひらを自分の方に向けまじまじとみた

 

類「ほんとだ、あはは、なかなか経験できないね、こんなの」

 

類は透き通っている手のひらからのぞくように、つくしの顔を見てそう言った

 

つくし「や、やだ!!花沢類!!やだよ!!!」

 

瞬時にこれがどういうことか理解したつくしが叫ぶが、類の身体はどんどん透けていってしまう

 

類「大丈夫だよ、きっと俺の存在も、この世から消えると俺は思ってる…忘れてくれて大丈夫、俺がずっと覚えてるから……大好きだよ、愛してる【つくし】」

 

つくし「……類!!!」

 

2人がはじめてお互いの名前を呼びあった、最初で最後の瞬間

 

つくしは泣き叫びながら類の服を掴んだが

 

その服の感触が、すぐに手から消えていく

 

つくし「あっ……」

 

まるで、花火の光のように、花沢類の存在が、つくしの目の前から一瞬で消えた

 

つくし「嘘……嘘……嘘だ!!!!!」

 

観覧車の隣の席にはもう誰もいない

 

いつのまにか、観覧車は下へとたどりつき、係の人が扉を開けた

 

係の人「ご乗車ありがとうございます…!っえ?大丈夫ですか?気分でも…」

 

泣き叫んでいるつくしに係の人が慌てて近寄るが

 

つくし「うわあぁぁぁぁぁぁ」

 

つくしにはもう係の人の言葉も何も入ってこない

 

大きな声で一人、泣き叫ぶのだった

 

 


 

今日も読んでくださってありがとうございます(*´ω`)

拍手とメッセージもいつもありがとうございます!!!( *´艸`)

 

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