類に包み込まれるように抱きしめられたつくしはその場から動くことができなくなっていた

 

つくし「……花沢類にそんなこと言われたら…どうしていいかわかんないよ…」

 

つくしはそう言って離してくれない類の胸に顔をうずめる形になってしまう

 

類「ねえ、牧野。俺は牧野が好きだよ…ずっと、好きだった」

 

つくし「……」

 

頭の上から響く類の甘い声につくしの全身が赤く染まる

 

類「司を好きなまんまでもいいよ。でも少しでも俺のことが好きなら…司が記憶喪失で牧野が辛い時期だけ、俺が牧野を守ってやりたいんだ」

 

それは、未来を知ってる類の、精一杯の愛の告白だった

 

この世界は夢なのかもしれない、そう思う反面、もしかしたら現実かもしれない

 

類も色んな感情で思考がまとまらずに溢れかえってしまっていたのだ

 

運命を、かえれるかもしれない。でももしかしたら司とつくしの運命は未来と同じ通りに進むのかもしれない

 

それならば、つくしが一番辛く傷ついていたであろう司の記憶喪失の時に、一番そばで甘やかして癒して抱きしめていてあげたい

 

優しい類は、そう願い、想うのだった

 

つくし「ど、どうしたの?花沢類。なんかいつもの花沢類じゃないみたい…」

 

類の真剣な声色と、いつも冷静沈着な類の腕がかすかに震えてしまっていることに、鈍感なつくしも気づいていた

 

類「…………真剣だよ。牧野は今こうやって俺の腕の中にいるけど、いつだって俺は牧野を掴まえることができないんだ」

 

つくし「…」

 

その類の言葉につくしは何も返せない

 

二人抱き合ったまま、無言の時間がすぎる

 

美作「お二人さーん」

 

つくし「?!」

 

類「あ、あきら」

 

屋上に出る扉の方に、美作あきらがたって二人に声をかけてきた

 

つくし「!!!!わ、わたしはこれで!!!それじゃあね!!!!」

 

類「…うん、牧野、またあとで連絡するね」

 

つくし「……美作さんも!!それじゃ!!!」

 

類の言葉に牧野はうなづきを返しながら慌ててその場を後にした

 

類は笑ってその姿を見送る

 

美作はやれやれといった感じに類へと声をかけた

 

美作「類……司がこんな時にお前…」

 

あきらがそう言って類の肩に自分の腕をのせる

 

類「うん、ごめんね?」

 

悪びれなく類はあきらにそう言った

 

あきら「はあ…」

 

あきらは大きなため息をつき、類の隣で伸びをする

 

あきら「あ~あ…でもさ、こう言っちゃなんだけど俺は類と牧野の方がいいと思ってるぜ。司もこんな状態だし、正直今のままじゃあの二人、酷い関係になってくだろ。それなら類の彼女として牧野は幸せになってったほうが牧野も幸せだと思うんだよね」

 

類「…」

 

あきらの言葉に何も返さない類

 

あきら「司のそばに海とかいう変な女もまとわりついてるし、類、このまま牧野奪っちゃえよ。俺は応援する」

 

類「……ありがと、あきら」

 

あきら「いいんだって。でもあれだよな~司と牧野ってほんっと色々障害がありすぎるよな」

 

あきらはそう言ってまたため息をついた

 

類「うん、でもそれってそれほど運命の引きが強いってことなのかもしれないけどね」

 

類の言葉にびっくりしたように目を見開くあきら

 

あきら「おいおい、類でも運命とか信じてるのかよ」

 

類「…多少はね?」

 

あきら「へえ…あっでもこのことはしばらく総二郎には黙っておこうな。あいつ案外血の気おおいからさ」

 

類「うん、ありがと、あきら」

 

あきら「いいんだって!!………あのさ、牧野の事、幸せにしてやれよな?あいつ俺から見てももうずたぼろって感じで、さすがの雑草でも枯れるんじゃないかって心配なんだよね」

 

類「………うん」

 

あきらの言葉に類も静かに同意した

 

あきら「………この後司はまた検査だってよ。しばらく時間あるし、類はこのまま牧野を追ったら?」

 

類「え?でも今牧野混乱してるだろうし、あとから連絡するよ」

 

そういった類にあちゃーーっとした顔をするあきら

 

あきら「お前、わかってないね~混乱してるからこそ、追いかけて抱きしめてやるんだよ。落ち着く時間を女に与えちゃダメだって。落ち着いたら、司がこんな時に~っつって離れてくのが目に見えてるだろ」

 

あきらの言葉に類はふふっと笑う

 

類「それ、もうさっき言われた」

 

あきら「だろ?!その考えが落ち着いたらより強固な壊せない壁になっちゃうわけ!!!壁を作られる前に、追いかけてぶっ壊して来いよ!」

 

あきらはそう言って今度は類の肩を拳でコンっと小突く

 

類「……あきら、サンキュ」

 

あきら「頑張れよ」

 

類はあきらにお礼をいって、すぐにつくしを追いかけた

 

そんな類の後姿を見送るあきら

 

あきら「…類、頑張れよ。牧野を笑顔にできるのは、本当は司なんだろうけど、俺はお前でもできるって思ってるよ…………司や類と違って、牧野は俺だと笑うことなんてないだろうからな」

 

そうつぶやき、あきらは屋上からの景色を眺めるのだった

 

あきらもまた、つくしに秘めた恋をしている事

 

誰一人気づくことがない、悲しく切ない恋愛を、あきらは一人でしていたのだった

 

 


 

 

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