総二郎はバイクを奥高尾へと走らせた
つくし「うわ・・・気持ちいい」
頬を撫でる風に気持ちよさを感じるつくし、無意識に総二郎を後ろから抱きしめる手に少しだけ力が入った
総二郎は、つくしの手の位置を気にしていた
総二郎の心の声(つくしに抱きしめられてる部分が、熱いようなむず痒いような・・・変な気持ちになる・・・頼むからそれ以上きつく抱きしめるなよ)
総二郎はもやもやとした自分の気持ちの正体に気づかず、つくしの一挙一動にやきもきしていた
つくし「ねえ~どこに向かってるの~?」
つくしが声を張り上げて総二郎に向かう場所を聞いた
総二郎「それは、ついてからのお楽しみ~」
総二郎は、そう笑うとそれ以上何も教えずに、奥高尾へと向かう
少し走らせ、奥高尾へとついた
総二郎「さ~てケーブルカーでも乗りますか」
つくし「え?」
総二郎がつくしを連れてきた場所は、高尾山の中腹だった
つくし「うわ~~紅葉が綺麗・・・」
展望台があり、ここは夜には夜景が楽しめる
総二郎「少しは、すっきりした?」
つくし「・・・ありがとう、西門さん」
西門がどうしてここに連れてきてくれたのか、つくしは察することができた
つくし「・・・みんなに心配かけて、嫌になっちゃう。私もっと強くならなきゃ、ごめんね」
つくしはそう言うと、少しだけ目に涙が光った
総二郎「どういたしまして・・・・」
ふいに、総二郎の左手が勝手に動く
つくし「え・・・」
総二郎「ハンカチ・・・もってきてないからさ」
つくし「あ、ありがとう」
総二郎は無意識に、つくしの涙を左手で受け止めてしまった
すぐに手を離したが、つくしの涙でぬれた人差し指が、やけに熱く感じた
総二郎「司のやつさ、きっと連絡来るよ。あいつ仕事でいっぱいいっぱいなだけだって」
総二郎はそうつくしを励ましたあと、自分の心臓が何かに掴まれたかのように軋んだ
総二郎の心の声(なんだ?・・・心臓がやけに・・・)
総二郎は、まだ気づかない。いや、気づくことが許されないこの禁断の恋を総二郎は無意識に気づかないよう守ろうとしていたのかもしれない。
気づいてしまっては、後には戻れない
見える未来は、愛しい女の悲しい瞳と、何よりも大事な存在の三人を失う未来だ
そのことに、頭だけは先に理解していたのかもしれない
でも総二郎の守りはむなしく、理性のタガが、この先外れてしまうのだった
☆☆☆
続く