海に来た司と類

 

寒い潮風が二人の間をすりぬけていく

 

頬も痛い程冷たい風が吹く中、二人の間に言葉はなかった

 

類より先に歩いていた司は、ふと立ち止まり、類の方を指さして振り向きこう言った

 

司「…俺はお前から牧野を奪う。宣戦布告だ」

 

類「っ…」

 

まっすぐ類の目を見て司はそう告げた

 

類は真正面からそう言われ、とまどいを隠せない

 

類「…牧野は、俺のものじゃないよ」

 

類は一瞬脳内につくしの笑顔が浮かんだ、自分から手を離したとはいえ、つくしの表情が浮かんだ時、類の心臓はズキンと音を立てた

 

類の言葉に司は指差しを一向にやめずに言った

 

司「類、お前はそんな情けねえやつだったか?牧野のこと大事にしろって殴ってきたのはどこのどいつだよ、そんなお前に牧野はやれねえ」

 

類「…」

 

司はそう言うと、ゆっくりと腕をおろす

 

類「…牧野と付き合ってみて、俺は司に酷い事をしていたと改めて気づいた…実感もした。そして牧野と司の…離してもくっつくような磁石のような関係も目の当たりにしたよ。牧野を助けるのはいつも司だ。俺は…俺は牧野をたすけ…」

 

類の話を遮るように司が叫ぶ

 

司「ぐだぐだぐだぐだ男が何言ってんだよ、もっとシンプルだろーが」

 

類「っ…」

 

司は再度、類を指さした

 

司「いいか、お前は牧野が好きか?」

 

類「‥‥…」

 

司「答えろよ」

 

類「…好きだ、俺は牧野の事、大好きだよ」

 

類はそう言い切った時、かすかに手が震えていた

 

司「はっ、答えはでてんじゃねえか。何ぐだぐだ小せえこと考えてこんなとこいるのか知らねえけどよ、お前は俺と同じで牧野に惚れてんだよ」

 

そう言って、司は類の方に近づいてきた

 

類「っ!!」

 

司「よけんなよ!!」

 

司はそう言うと拳を類に目掛けて振り下ろす

 

類は咄嗟によけてしまった

 

司「よけんなっつってんだろ!一発殴らせろ!!!」

 

類「…誰が黙って殴られるかよ」

 

わけもわからず、二人は殴り合いをはじめた

 

司は何度も類を目掛け拳をふりおろす

 

類も負けじと、司へ拳を返した

 

お互いに、殴り合い、しばらく言葉を交わさないまま時間がすぎていく

 

そしてとうとう、二人は疲れ果て砂浜にダウンした

 

司「はぁ…はぁ…懐かしいな、お前とっ…前も殴り合ったよな」

 

類「……そういえば、そうだったね」

 

2人は砂浜にあおむけになり、お互いに口から血を流しながら言葉を交わした

 

夜空を見る二人は、一瞬言葉を失った

 

司「すっげー数の星、やべえな」

 

類「ほんとだ…」

 

東京よりも空気が澄んでいたその場所での星空は、まるで宇宙に投げ出されたかのような星の数だった

 

2人は寒さも忘れ、しばしその星空に心を奪われる

 

司「へっくしょん」

 

類「…さすがにそろそろ寒いね」

 

司「…」

 

司はガバっと起き上がり、ごそごそと自分のコートのポケットをあさり始めた

 

類「?」

 

司「……ほらよ、類」

 

類「…あ」

 

司は類にリンゴを投げた

 

リンゴをあげる、これは昔色々あり、F4が仲直りする時の合図のような役割があった

 

類「ははっでっこぼこじゃん」

 

司「うるせえ、食え」

 

類「……」

 

類は司と同じように、リンゴをまるかじりする

 

しゃくしゃくと音をたてつつ、二人は海の音を聞きながら座っていた

 

司「牧野さ」

 

類「…」

 

司「泣いてたわ、お前がいねえって、どっか行ったってよ」

 

類「あ…」

 

そういえば自分のことでいっぱいいっぱいで誰にも連絡をとっていなかった類

 

ふらっと家を出て、考え事をして、そのままこんな場所まで来てしまったのだ

 

司「お前の事だから、何か考えてどっか行ったんだと俺は思ってたがな」

 

類「…」

 

司は立ち上がると服をぱんぱんと叩いて砂埃を落とした

 

司「でもよ、牧野泣いてんだよ、そりゃもうぶっさいくなほどぼろぼろになってよ」

 

類「……」

 

司「あいつ、俺と離れてる時、あんな泣き方してねえだろ」

 

類「…」

 

類は司の言葉で司と遠距離恋愛をしていた時のつくしを思い出した

 

確かにいつも悲しそうな表情をしていたが、牧野は周囲に心配かけまいと笑顔でいた

 

司「わかるか?あいつは涙なんてみせたくない奴だろうによ、もうぼろっぼろなんだよ」

 

類「…」

 

類はその言葉をきき、自分がどれほど牧野を傷つけたかも理解した

 

類「俺…何してんだろうな。牧野の事すっげえー大事にしたいと思ってたのに」

 

類は自分の手のひらを拡げ見つめながらそう言った、手のひらにはつくしと手を繋いだ時のぬくもりが戻る

 

司「お前は大事にしすぎてぶっこわしてんだよ。牧野が好きなんだろ?うかうかしてると俺がまたかっさらうからな」

 

類「…司」

 

司は、三度目の指さしを類にする

 

司「宣戦布告だ、いいな。牧野は俺が奪う」

 

司のその目に、類は先ほどよりももやもやとした感情がないことに気づいた

 

類はスクっと立ち上がり、同じように司へと指差しを返す

 

類「望むところだ」

 

司「忘れんじゃねえぞ」

 

類「わかってるよ」

 

司「それでこそ、俺が認めた花沢類だ」

 

類「……」

 

司はゆっくりと瞼を閉じ、類を睨むように目を開けた

 

司「お前は俺の一生のライバルだ、わかったな」

 

類「……受けて立つよ」

 

類は司の言葉に笑顔で返した

 

先ほどまで静かな音を立てていた波の音は今は二人の宣戦布告を後押しするように大きく波うっていたのだった

 


 

読んでくださってありがとうございます

 

不規則な更新が続きますが、よろしくお願いいたします

 

 

 

 

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