つくしは急いで類の元へと向かう

 

つくし「はぁはぁ」

 

走って類がいるであろう場所へとたどり着いた

 

少し先には住宅街に不釣り合いの白い車と、その車に寄り掛かって白い吐息を空に放つ類の姿が見えた

 

つくし「花沢類!」

 

類「!」

 

つくしの呼ぶ声に類が振り向く

 

つくしの顔を見た瞬間に、類が優しくくしゃっとした顔で笑った

 

つくし「なんでこんな場所にきたの?ここ、一方通行も多くていりくんでるのに」

 

類「秋桜」

 

つくし「へ?」

 

ここに来た理由を聞いたにも関わらず、類が突拍子もないことを言いだし思わずつくしは類の方を見た

 

つくし「コスモス?」

 

類「そう、秋桜の花畑があるって教えてもらって、そこに行こうと思ったんだ」

 

つくし「花畑…」

 

つくしはうーーんと考え込んだ、すると住宅街のある家からおばあさんの声が聞こえてきた

 

おばあさん「…おそらく記念公園の事だと思うわよ」

 

つくし「へ?」

 

類「あっそれです」

 

おばあさん「…そこはこっちじゃなくて…」

 

おばあさんがつくしの真横に来たかと思うと、身振り手振りの言葉つきで道を教えた

 

類「ありがとうございます」

 

つくし「ありがとうございます!」

 

類がニコッとした顔でお礼を言った、そしてそのままの笑顔で

 

類「もし牧野も暇なら、一緒に行かない?お礼もしたいし」

 

つくし「え。でも」

 

そこでつくしはやっと自分の格好に気づいた、髪の毛はぼさぼさで、服は部屋着、つくしは一気に恥ずかしくなる

 

つくし「ちょっと…こんな格好じゃ…」

 

おばあさんが、そんなつくしを見ておせっかいな事を言いだした

 

おばあさん「……トイレかい?!なんならうちの貸してあげるよ」

 

そういうとつくしの手を取りずんずんと家の中へと連れ込んだ

 

そして洗面所へとつくしを連れてきたかと思うと、おばあさんはつくしにこう言った

 

おばあさん「おせっかいかもしれないけどね、あーーんな男前の兄ちゃんに誘われたんなら断っちゃダメだよ。若い娘が使うようなものはないかもしれないけどね、洗面所にあるもの何使ってもいいから、せめて少しだけでも身なりを整えて行っといで」

 

つくし「で、でも」

 

おばあさん「いいから!こんな朝から立派な車と男前の兄ちゃんがいて、何してんのかと思って気になってたけど…あ~わくわくするねぇ~」

 

つくし「なんでわくわく?!」

 

おばあさんは、お年のわりには清楚で品が良く、身なりも綺麗だった

 

つくしは言われるがまま、されるがままに身なりを整えおばあさんに送り出される

 

おばあさん「楽しんでおいでよ」

 

つくし「あっ!ありがとうございます!!!!」

 

類「…いい人だね」

 

つくし「うん、凄い優しいおばあさんだった」

 

おばあさんに促されるように類の助手席へと乗り込んだつくし

 

先ほどとは違い、綺麗な髪型になり、ほんのりお化粧までされていた

 

つくし「…でもやっぱり部屋着なんだけどね」

 

類「…」

 

類は恥ずかしそうに前髪を触るつくしの方を運転しながらちらっと見た

 

つくしの目は一晩中泣いていましたとわかるくらい真っ赤に腫れあがっている

 

類「そう?可愛いよ」

 

つくし「!!!もう、花沢類はそういうことをサラッというんだから」

 

類の言葉に更に気恥ずかしそうにつくしは身を隠すように小さくなった

 

類「俺のために走ってきてくれたんでしょ。嬉しいよ」

 

つくし「…まっ…まあ困った時の花沢類に恩返しできるのはこういう時くらいしかありませんから」

 

そう恥ずかしそうに言うと、つくしは手をうちわのようにパタパタと顔を仰いだ

 

類はくすっと笑いながら、公園へと走らせた

 

つくし「そういえば、なんでコスモスを見たいと思ったの?」

 

類「なんとなく?」

 

つくし「なんとなく…」

 

つくしはその時、また類の言葉を思い出していた

 

”「俺は…たぶん秋桜かな…同じ桜の文字が入って、桜の形に似てはいるけど、誰も注目しない、そんな存在」”

 

この言葉を思い出した後に、ざわっとした感情がつくしに走る

 

そうこうしているうちに公園へと到着した

 

類「…牧野、お腹すいてない?」

 

助手席の扉をあけながら類がそう聞いた

 

つくし「今はまだ…」

 

実は何も食べていないつくしだったが、食欲が沸かないようだった

 

類「そっか、それじゃあ飲み物だけ買って行こうか」

 

つくし「う、うん」

 

類が温かい飲み物を購入し牧野に渡す、お金を渡そうとするつくしだったがお礼だからと類に受け取ってもらえなかった

 

類「じゃあ、行こうか」

 

つくし「う、うん」

 

類に言われ、つくしは類の後ろの方をついていった

 

そして、見渡す限りの秋桜畑へと到着した

 

つくし「すごい…」

 

類「うん、綺麗」

 

そこは400万本も秋桜があり、花の丘と呼ばれていた

 

涼し気な秋の風がつくしと類の横を通っていく

 

つくし「あのさ」

 

類「ん?」

 

つくしの呼びかけに類が振り向いた

 

つくし「前に花沢類が言ってたこと…秋桜には誰も注目しないって、そんなことないじゃん、ほら!こんなに見に来てる人いるし、花沢類のこと、秋桜じゃないとか言っちゃったけど…やっぱり花沢類かもしれない…こんな風にたくさん咲いて優しく包んでくれるような感じ…うん、花沢類っぽいかも」

 

つくしは明るい笑顔で類を元気づけるように手をひろげながら言った

 

類「…たくさんある秋桜のなかで、牧野は俺を見つけてくれる?」

 

つくしの言葉に、類が首をかしげながらこう聞いてきた

 

つくし「え…」

 

想定していなかった言葉に、つくしは戸惑うが

 

つくし「もちろん、見つけるよ。花沢類は……これ!この白い秋桜みたい!」

 

つくしは白い秋桜を指さし、動揺を類に悟られない様にしゃがみながら笑顔で答えた

 

類もつくしの隣にしゃがみ、こう答えた

 

類「秋桜の花言葉、牧野知ってる?」

 

つくし「へ?」

 

類「色によって花言葉違うんだって、ピンクは”乙女の純潔”赤は”乙女の愛情”黄色は”幼い恋心”…白は”優美とか純潔”」

 

その言葉につくしは更にうなづきを強くしてこう答えた

 

つくし「うん、花沢類は優美だから白い秋桜だ」

 

つくしの言葉に類はふっと笑ってこう答えた

 

類「…俺は黒色の秋桜だと思う」

 

つくし「黒?そんな色の秋桜があるの?」

 

つくしが花の丘をきょろきょろと見渡すが黒の秋桜は見つからない

 

類「黒紫色の秋桜なんだ、チョコレートコスモスって呼ばれて、チョコみたいな香りがする」

 

つくし「え?!なにその美味しそうな秋桜!!見てみたい」

 

つくしが笑いながら興味津々で食いついた

 

類も笑いながらそれにこたえ、二人は楽しく秋桜を見た

 

そして…黒い秋桜の花言葉は”恋の思い出、恋の終わり、移り変わらぬ気持ち”

 

類は、秋桜畑で笑う目を腫らしたつくしの顔をしっかりと心に刻む

 

司への複雑で黒い感情も、どんどん類の心の中で育っていくのだった

 

 


 

 

読んでくださってありがとうございます(*´Д`)

 

拍手とメッセージもありがとうございます!!!(*‘∀‘)まだまだ暑い日が続きますね、みなさんもお身体ご自愛ください(*´ω`)

 

 

 

 

 

 

 

 

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