つくし「…」
類の言葉に今はまだ涙を流すことしかできないつくし
類はそんなつくしの気持ちを察してか、もうそれ以上は何も言わなかった
ただいつものように優しく笑って、大きな手をポンっとつくしの頭の上の乗せてこう言った
類「帰ろっか」
つくし「…」
類の言葉につくしはコクンとうなづいた
そのままつくしがなかなか泣き止まないため、車中では少ししか言葉を交わさず、つくしの家の前まで類は車を走らせた
そうしてつくしの家の前に車がつき、つくしが助手席の扉を開けた
つくし「……花沢類」
類「ん?」
つくし「あ…ありがとう…」
消え入りそうな声でつくしが感謝の言葉を口にした
類「お礼なんて言わなくていいよ」
つくし「それでも!!……嬉しかった」
類「…牧野」
類が車を降りようとするが、つくしは慌ててこう続けた
つくし「い、いまはまだ!なにも言えないし答えもでないけど…ちゃんと考えます…お、おやすみなさい!!」
ものすごいいきおいで頭を下げ、つくしは逃げるように家の中へと入っていく
類「…」
類はそんなつくしの様子を運転席から悲しそうな、嬉しそうな何とも言えない笑顔でつくしの姿が見えなくなるまで見つめるのだった
つくし「……はぁはぁ」
急いで家へと帰ってきたため、少しつくしは息が上がっていた
つくし「っ…」
すると、外の方から車のエンジン音がした
つくしはカーテンを少しだけ開けて、類の車を見る
つくし「……信じられないよ」
つくしはそんなことをぼそっとつぶやき、自分の髪の毛をぐしゃぐしゃっとかき乱す
つくし「あーーーーこんなんじゃだめだ!!もっとしっかり考えないと!!!」
そうこうしてるうちに、家に誰かが帰ってきた
つくしの母「あんた!!あの車!!」
つくし「え?」
つくしの母「もしかして花沢様がいらっしゃってたのかい?!!」
つくしに詰め寄り質問攻めの母親からつくしは逃げようと必死だ
つくし「いや、あの…」
つくしの母「あんた…道明寺様は…いや、でもわかる、私だって女だったから、わかるよ!!でもね、ちゃあんと真っすぐな、裏がない付き合いにしなきゃあいけないよ!相手のことを一番に考える、そんな関係者なきゃ…」
つくしの母親がつくしに切々と訴え始めるが、つくしはお風呂へと逃げた
つくし「そんなんじゃないってば…お、お風呂入ってくる」
つくしの母親「こら!待ちなさい!」
つくしを追いかけるつくし、すると居間に茫然自失な父親が座っていた
つくし「うわ!」
つくしの母親「び、びっくりした……いつ帰ってきたの?ただいまぐらい…」
つくし達がそう言ってる時に、父親は突然大泣きしはじめる
つくしの父「ううううう…うおおおおおおおおぉ‥‥」
つくしの母「ちょ、ちょっとどうしたのよ~」
つくし「ど、どうしたの?お、お腹でも痛いの?」
2人は父親の周りでおろおろするしかなかった
そして、次の瞬間、つくしの父親がその場で土下座をはじめこう叫んだ
つくしの父「す、すまん!!!申し訳ない!!!会社首になりました…」
つくし「え?!!」
つくしの母「え?!」
父親の言葉に二人の動きが止まる
つくしの父「リストラされちゃって…」
つくし「ちょっと、どういうこと?」
つくしの母「首になるようなことしたの?!!」
だがつくしの父は理由がわからないようだった
つくし「理由がわからないって…」
つくしの母「……どういうことよ」
つくしの父「ごめんよ~~~お父さん頑張ってたんだけどなあ…」
つくし「……」
つくしの父「………お前らにも楽させてやれるって頑張ってたけど……リストラ…されちゃいました」
つくし「…」
つくしの母「リストラ…」
つくしの母「前からあなた、リストラ候補にあがってるって、だから頑張ってるっていってたじゃない!!」
つくしの父「ごめん…頑張ってたんだけど…」
そう繰り返し言ってはつくしの父は泣きじゃくる
つくしと母親は開いた口が塞がらなかったが、ここで泣いていてもしかたがない、これからどうにかしなくてはいけなかった
つくし「どうしよう」
つくしの父「ここ…社宅だから…今月には出てけって」
つくしの母「今月中だなんて!!そんな急に…」
つくしの父「すまない…」
つくしの母「つくしや進の学費だってあるのに…そのうえ引っ越し代なんてうちには…」
つくし「………」
両親は二人して大泣きをはじめ、その場にへたり込んで動かなくなってしまった
つくし「……ねえ」
つくしの母「え?」
つくし「あたしが英徳やめればいいのよね」
つくしの母「なにいってんの、つくしだけは絶対やめさせないわよ!!!」
つくしの父「そうだ!!!!」
つくし「でも…」
つくしの父「でもじゃない!!どうにかする…頑張るから…」
つくしの母「そうよ…頑張らないと…」
その時、つくしはある人物を思い出した
つくし「あたしも、バイト増やす、頑張る」
つくしの母「つくしは働き過ぎよ」
つくし「そんなこといってられないでしょ!!!ちょっと…行ってくる」
つくしの母「え?今から?ちょっと!つくし?!!」
母親の言葉を聞き終える前に、つくしは家を飛び出した
さっきまで晴れていた空が、今はすっかり雨にかわっている
つくしは自分が濡れるのも気にせずに、ただただ走ってある人の元へと向かうのだった
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