つくしが向かった先は、自分がバイトしている和菓子屋だった
閉店後もまだ灯りがついていたお店の裏手のドアを鳴らす
つくし「女将さん!!!」
インターホンの音とともにつくしの声が聞こえ、女将がドアを開けて顔を出した
女将「どうしたんだい、こんな夜遅くに…びしょぬれじゃあないか」
つくし「急なんですが…明日からあたしのシフト、全部いれてくれませんか??」
女将「……何があったんだい?」
女将がつくしの話を聞くため、店内へと入れた
そして事情を聞いた女将は最初う~んと悩んでいたが、つくしにあるバイトを紹介した
女将「ほんとは女の子がやるようなバイトじゃないんだけどね…」
つくし「ありがとうございます!!!」
つくしは女将に何度も頭を下げた
家族を養えるほどの給料が欲しい、そんな風に頼む情がうつった女子高生を見捨てるわけにはいかない
だからといって、女子高生相手に正社員並みにシフトを組むわけにもいかない
悩んだ結果が、バイト先の紹介だった
そこは、和菓子屋近くで夜に交通整理をするバイトだった
ちょうど人が辞めて困っている話を女将は聞いていたのだ
もちろん、夜遅いバイトは若い女の子には危険であるため本来ならば勧めることはない
けれど、危険もある夜の仕事はお給料的に家族を養うためにはじゅうぶん稼ぐことができるものだったからだ
つくし「これで頑張れば…」
つくしは女将さんが貸してくれた傘をさしながら家へと戻る
すっかり暗い雨が降る帰り道はつくしに色んなことを思い出させた
これからの不安も影響したのだろう、普段考えないようなことまで、浮かんできたのだ
もちろんその浮かんできた出来事には類のたくさんの言葉と道明寺の事だ
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類「こんな泣き腫らした目、牧野に似合わないよ」
そして、NYに行って司に会ったときにある事も言われていた
司「お前、俺の事、忘れろ」
忘れることなどできずに、帰ってきた
そしてそのNY に類が来たことも思い出した
順平に拉致されたときに、順平が言った言葉「花沢類ってやつのほうがいいよ」
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色んな出来事のなかには、必ずつくしのそばに花沢類がいたことを思い出す
つくし「…ぜ~んぶ、花沢類に助けられてる」
そうつぶやいたあとにつくしはピタリと足を止めた
つくし「……」
そして家に帰るはずのつくしはまた、踵を返しある場所へと走り出す
つくし「今こんなことしてる場合じゃないってわかってる…でも………あたし……確かめたい」
つくしが向かった先は、道明寺のお屋敷だった
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