次の日の朝、西門がつくしを迎えに来た
つくし「あ、ありがとう西門さん」
西門「なんもいいよ、それよりちょ~~っと深めにこの帽子をかぶっておいてくれる?」
つくし「へ?帽子?」
西門「そそ」
つくし「うわわ。ちょっと前が見えない」
西門は半ば無理矢理つくしにニット帽をかぶせた
西門「うん、いいね、じゃあ行こうか」
つくし「え?どこ??」
西門「どこって、司のとこだよ」
つくし「!!!道明寺の家とか??いる場所わかるの?連絡したの??約束できたの?」
前が見えないつくしは、帽子をあげようとするががっちりと西門におさえられていて帽子をかぶりなおすことができない
つくしの質問を西門は笑ってはぐらかす
西門「連絡したら、司のことだから逃げそうだろ?といっても最近はあいつは俺らの連絡にもあんまり出ない、となるとだ、司の行く場所に突然現れるしか方法はない」
つくし「で、でも道明寺がどこ行くかなんてわからな…」
西門がそうわめくつくしの口を指でおさえる
西門「ちっちっち、甘いな牧野、俺を誰だと思ってる、司と何十年一緒にいると思ってるんだ、あいつが何するかなんて聞かなくてもわかるんだよ」
つくし「っ…」
西門はそう言って笑いながら指を離した
つくし「で、でもこの帽子の意味とは?」
西門「念のため」
つくし「ね?ねんのため??」
西門「そ、これから行くのは司の家」
つくし「あっ、やっぱり家に行くんだ」
つくしは家に行くと言う言葉でさすがに緊張が走る
西門「家は家でも…秘密の家な」
つくし「ひ、秘密?!!」
西門「あいつも一応持ってるんだよ、司の母ちゃんが入ってこない秘密の家を」
つくし「いや、でも普通家なんて買ったら…わかるよね?!!」
つくしの突っ込みを何事もなくスルーする西門
西門「まあ、俺らもふつーに持ってるよ、親の知らない秘密の家ってやつを」
つくし「いやいや、だから家なんて買ったら…!!」
つくしがそう言いかけた時、車が目的地に到着した
つくし「へ?!!!もう?!!!」
西門「…念のため、ここの下に身を隠しといてくれる??」
つくし「へ?」
そういうやいなや、つくしは後部座席の椅子との隙間に隠されてしまった
西門がなにやら英語でやりとりをしている、そしてまた車が進みだした
西門「…司のとこ、ガードゆるすぎだろ」
西門はそう言って笑いながらやっとつくしの帽子を外した
つくしにはなんのことかさっぱりわからなかったが、帽子を外されやっと何かから解放されたような気持になった
そうして、車が止まり、西門に促されつくしが車からでると、そこは道明寺家よりは少し小さいが豪邸が目の前にあった
つくし「いやいや、なにこれ、親に秘密でこんな、こんな!!プール付きの家なんて買えるわけないでしょーー!!!!」
西門「牧野、こっち」
つくし「へ??ちょ、ちょっとまって!!!」
つくしの叫びすらもスルーされ、西門はすたすたと先に進む
ちょっと南の国っぽいつくりのその家の奥に進む
西門「おい、司いるんだろ?でてこいよ」
西門がそう言いながら大きな扉をドンドン叩く
司「なんだよこんな朝っぱらから」
すると西門がいったとおり、司がバスローブ姿で部屋から出てきた
司「……おいお前、なんでこんな女連れてきたんだよ」
すぐにつくしの姿に気づき、司は西門に詰め寄る
西門「こんな女ってことはないだろ、話さないとならないことがあるんだろ?お前、ちゃんと話せよ」
司「もう話すことなんてねえよ」
司がそうぶっきらぼうに言って部屋へと戻ろうとするが、西門はそれを許さない
西門「お前、そんな情けないやつだっけ」
司「ああ?」
西門は司につっかかるような物言いで詰め寄り始め、つくしはおろおろとしていた
司「うるせーよ、お前に関係ないだろ」
西門「ああ、関係ないよ、けど牧野には関係あるだと。婚約者だかなんだかしんねえけどよ、ここをちゃんとしとかないと、お前ずっと情けない男のまんまだからな?」
司「……ちっ…入れよ」
つくし「へ?」
司「来いっつってんだろ!!早くしろ!!」
司はそういうやいなや、つくしの手を引っ張り部屋へと引きづりこむ
助けを求めるように西門に手を伸ばすつくしだったが、西門は頑張れ微笑むだけで助けてはくれなかった
こうして、部屋の中で司とつくしが二人きりで話すことになってしまったのだった
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