司とつくしがそういう状態ななか、船の上では浅井が暖をとっている

 

浅井「さ、寒い」

 

滋「毛布もっともってきて!」

 

スタッフ「はい!」

 

滋「一応うちの船には医者を乗せてるけど…念のためドクターヘリを呼ぶわ」

 

浅井「……」

 

西門「……」

 

紫色の唇で震えている浅井にはさすがに詰め寄ることができない

 

だが、そんなことも言ってられなくなってきた

 

西門「おまえらさ、お前らのやったこと、下手するとさつじ…」

 

あきら「総二郎」

 

総二郎の言葉をあきらが慌てて止めた

 

総二郎「なんだよ、本当のことだろ?」

 

あきら「…その話はあとだ、今はやめとけって」

 

浅井「ご…ごめんなさい」

 

か細い声で浅井が謝る

 

その声につられるかのように取り巻きの二人が泣き出した

 

鮎原「悪気はなかったんです~」

 

山野「ちょっと怖がらせようって思っただけなんです~」

 

どうやら鮎原と山野は浅井が戻る前に総二郎たちに今回企てた計画を自白していたようだった

 

そしてしこたま総二郎たちに怒られている

 

滋「…はいはい、も~~うるさいな~あんたたちのせいで司とつくしがまだ遭難してるんだからね?!!下手すると…」

 

滋がイライラして三人に詰め寄ったのを、あきらが両腕を後ろから押さえて止めた

 

あきら「だから、落ち着けって」

 

滋「落ち着けるわけないでしょ~~~!!!!!」

 

滋の大きな叫び声は、海の上の類にもかすかに聞こえた

 

類「今何か声が…」

 

スタッフ「…みつかりませんね、これは一度戻って…」

 

類「戻るわけないだろ!!!」

 

スタッフ「!!」

 

懐中電灯で海面を照らしながらこちらに向かって叫ぶ類の剣幕にスタッフはビビるが、どうしても捜索を続けるわけにはいかなかった

 

スタッフ「非常用の船ですので、エンジンが…」

 

類「……くそっ」

 

スタッフの言葉に類は悔しさで唇を噛んでしまっている

 

どれだけ海面を照らしても二人の姿は見えなかったのだ

 

冬の海、捜索は難しく、命も危ない状況のなか、司とつくしはというと、どこかの島にたどり着いていた

 

司「くっそ、おもてえなあ」

 

つくし「……」

 

気を失っているつくしをずるずると引っ張り、司は近くに見える小屋へと入っていく

 

司「ビンゴ、非常用の小屋だ」

 

司はすぐに部屋の中の物をてきぱきと集めはじめて、薪ストーブをつけはじめた

 

司「これも使えるな…よし」

 

司は置いてある毛布を手に取り、横たわるつくしを包もうとするが

 

司「…服が濡れてて身体が冷えてるな…脱がすぞ」

 

つくし「…」

 

意識を失っているつくしの服をテキパキと脱がし始める司

 

すると、部屋が暖まったおかげと、薪ストーブの燃えるパキンという音でつくしが目を覚ました

 

つくし「…」

 

司「…」

 

しばし、二人の目が合った

 

つくしの顔がみるみると赤くなり、弱った身体で司のことを平手打ちしようとするが

 

つくし「なにしてるの…よ!」

 

司「うわっ…あっぶねえな、みりゃわかるだろ、服を脱がせてるんだよ、濡れたままの服だと体温奪われるぞ、そんな元気ならお前は自分で脱げ」

 

つくし「…‥‥」

 

司がそう言うとすぐに背中を向け、ストーブの前で暖を取りに言った

 

つくし「ぜ、ぜったい後ろ見ないで…ね」

 

司はつくしに言葉に大きなため息をつく

 

司「そんなこと言ってる場合かよ、いいから早く脱いであったまらねえと最悪死ぬぞ!」

 

つくし「!!」

 

司の言葉に、つくしは慌てて服を脱ぎ、毛布で体を包み込んだ

 

そしてまるでお化けのように顔だけをだして、ストーブの方へと近寄る

 

司「終わったのかよ」

 

つくし「……うん」

 

司「そうか…へ、へ…へ~~~くしょん!」

 

つくし「ちょ、あんたも寒いんじゃん、毛布他にないの?」

 

司「それしかなかったんだよ…ぶえっくしょん!!」

 

つくし「……」

 

司「う~~さっむ!!もっと薪ねえかな、つか携帯も水没かよ…どっかに連絡できるの置いてねえかな…ぶえっくしょん!!」

 

つくし「あ、あの…」

 

司「なんだよ」

 

つくし「た、助けてくれて…ありがとう」

 

司「あ?聞こえねえなあ」

 

つくし「……助けてくれて!!ありがとう!!!」

 

司「…別に礼を言われるようなことじゃねえけどよ、あれだよ、動物が溺れてたら助けるだろ、それと一緒だよ…ぶえっくしょん!!!」

 

つくし「…ね、ねえ、あの、毛布一緒に入ろうよ」

 

司「!!俺様がそんな庶民の女と同じ毛布なんかはいったら貧乏がうつるだろ!!」

 

つくし「!!なにいってんの?!!道明寺こそ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?いいから、言う事聞く!!」

 

司「うわ、バカやめろ!」

 

つくしはきつく包んでいた毛布の前を両手で開けて、司の身体を包み込んだ

 

司「…」

 

つくし「……ほら、道明寺もこんな冷たい身体じゃん」

 

司「……はあ、なんで俺がこんな女とほこりっぽい毛布に入らなきゃならねんだよ」

 

つくし「風邪ひくよりはいいでしょ!!」

 

司「あ~もううるせえなあ…むしろ熱くなりすぎてるから少し離れろよ」

 

司はそう言ってつくしの身体を押したが、押した部分はつくしの胸だった

 

つくし「……」

 

思わず、押された胸をみるつくし

 

司「いや、これは…わざとじゃな…」

 

つくし「なにするのよ!!!」

 

つくしは思わず条件反射で司を殴ってしまった

 

ブラ一枚だけの胸を触られるのはさすがにつくしには耐えられない恥ずかしさだったからだ

 

でも、運悪く司はその一撃で一瞬気を失ってしまう

 

司「っ…」

 

つくし「え?!うそ、やだ、どうしよう、ごめん!」

 

つくしは慌てて司の元へと近寄ると、ゆっくりとだが司の瞼が開いた

 

つくし「よ、よかった…」

 

司「!!!!牧野、お前なんて格好してんだよ!!!って……あれ?俺…って、そうだ…海に落ちて‥‥」

 

つくし「今、牧野って…」

 

司「は?何言ってんだよ、お前は牧野だろ、いいからその恰好どうにかしろって!!」

 

つくし「!!」

 

つくしが自分の姿をみると、前がはだけていたので慌てて毛布で包みなおした

 

つくしのことだけ記憶喪失だった司が、幸か不幸か今このタイミングでつくしのことを思い出したのだった

 


 

 

読んでくださってありがとうございます( *´艸`)

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