類とつくしの会話がいちゃいちゃしているように聞こえるのか、司はやきもちを焼いてしまっていた
類「‥牧野は風邪ひかなかったんだね、良かった」
つくし「うん…海に落ちたのにね、こういう時は丈夫な体で良かった~って思ったよ」
司「俺も熱だしたし」
司がふてくされるようにぼそっとつぶやいたがその声を誰も聞いてはいなかった
類「…牧野も、今日本当は、何か話に来たんでしょ?」
うつむき加減の類が急につくしの質問し、つくしの身体はビクッと驚いた
つくし「う、うん、でもまた今度にするよ。熱がある時はとにかく寝るに限るから!」
類「……そっか」
つくし「うん」
類は優しく微笑んだが、どことなくその笑顔には悲しさも含まれているようだった
司「……いいや、俺も今度出直す。おい類、また来るわ」
類「…お見舞いありがと…司」
司「ああ」
部屋を出る司の背中を類とつくしの視線が見送る
司の後をついていくいように西田も会釈し、部屋を後にした
類「……でもほんと、牧野が無事で良かったよ」
つくし「…花沢類が必死に探してくれたおかげだよ…本当に、ありがとう」
類「……」
類はつくしの言葉に、やはりどことなく悲しそうだった
つくし「どうしたの?」
類「……どんなに偉そうなこと言ったって、牧野を本当に助けたのは司なんだよな」
つくし「え?なに?」
小さくつぶやいた類の本音はあまりにも小さすぎてつくしの方まで届かない
類「…ううん、俺もう少し寝るね、せっかく来てくれたのに、悪いけど」
つくし「ぜんぜん!!むしろ寝て下さい!!あっ、何か欲しいものあったらベットのところまで運んでおくよ?!」
類「大丈夫だよ、そんなに袋いっぱいに買ってきてくれてるんだから」
つくし「そう?…くしゅん」
類「あ、やばい、これ以上ここにいない方がいいよ。牧野にうつったら俺悲しいし」
つくし「大丈夫だよ!これはほら、花粉だよ!」
類「……それでも気になるから、ちょっとまって」
つくし「…?」
類は家の者につくしを送るように伝え、そのままつくしを部屋で見送った
類「それじゃあ、念のため家についたらメールちょうだい」
つくし「わかった…何もできなくてごめんね…お大事に」
類「なにいってんの、こんなにたくさんしてくれたじゃん。牧野も早く帰って休んでね」
つくし「…うん、わかった」
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こうしてつくしは無事に家につき、少しだけ微熱をだしたが、一晩寝て治ってしまった
それに比べて類は次の日も熱をだしたままだ
類「…はぁ、長引いてるなぁ」
類は起き上がりベットの横に置いてある袋を見る
類「……そういえば他に何入ってるんだろ」
類はがさごそと袋の中身を取り出し始めた
類「リンゴジュース、ゼリー…経口補水液…冷えピタにゼリーに…なんでみかんの缶詰??…あとは赤ちゃんの水枕にティッシュ?これは、身体拭きシート…?」
類はガサガサ漁りつつ、くすくすと笑っていた
類「赤ちゃんの水枕ってなんで」
水枕を持ちながら類はクスクス楽しそうに笑い続けるのだった
そして次の日、類はやっと熱が下がり、身体の怠さも取れたようだった
類「ん~~~~身体が楽だ」
類はそう言って今まで寝ていたベットの方を見る
すると枕にはきちんと赤ちゃんの水枕がセットしてあった
類「牧野にこれ良かったよって送っておこう」
そう言うと、類はパシャリと枕を写真におさめ、メールでつくしに送信した
今日はつくしはバイトだった
バイトが始まる前に、着信に気づいたつくし
つくし「ん?…ってこれ!!」
つくしは写真を見て吹き出してしまった
つくし「なんで赤ちゃんの水枕使ってるの?って…え…”赤ちゃんの水枕ありがとう、なんで牧野がこれ選んだのかわからないけど使ってみたらちょうどいい冷たさだった”って…え?あたしこれ買った記憶ない…??って…え?」
つくしは慌てて自分のバックから財布を取り出しレシートを取り出す
つくし「捨ててなくてよかった、えっと…あああああああああああほんとに買ってるーー!!なんで?!大人用の水枕買ったはず…?!!」
女将「つくしちゃ~~ん、なにしてるの?」
つくし「あ!はい、今行きます!!」
つくしは慌ててバックをロッカーにしまい、店頭に立つ
けれど、お客様を相手にしつつも、上の空状態で、頭の中はなんで?なんで?状態だった
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