バイトの時間がすぎていく

 

時間がたつごとにつくしはなんだか面白くなってきていた

 

つくし「…まさか赤ちゃんの使うなんて」

 

クスクス笑ってしまってはお客様に変な目で見られてしまい、女将さんに注意されてしまう

 

そんなのを繰り返しながら、今日のバイトは終わった

 

つくし「本当に、申し訳ありませんでした」

 

女将「…まあいいよ。つくしちゃん、なんだかずっとしょげかえっていたもんね。あのニュースがあった日にはもう気が気じゃなかったんだから…元気になってよかったよ」

 

あのニュースとは、遭難のニュースのことだった

 

つくし「…ありがとうございます」

 

女将「まっ、その楽しい時の気持ちを忘れずにね!」

 

つくし「はい!お疲れさまでした」

 

女将「はいよ」

 

つくしは和菓子屋を後にする

 

外はもうすっかり暗かった

 

つくしはすぐに携帯を取り出した

 

つくし「えっと、”今バイト終わりました、そしてその水枕は大人用と間違えて購入しました、ごめんなさい”…」

 

つくしはすぐに返信をし、返信を待つように携帯をそのまま持って横断歩道を渡る

 

つくし「……」

 

つくしはちらちらと携帯画面を見て、返信をいまかいまかと待ちわびていた

 

つくし「そうだ、朝にみた枕の写真をもっかいみちゃお」

 

つくしはにこにこしながら朝に類からもらった写真を探し出す

 

その時、車のクラクションの音が鳴り響いた

 

パッパーーーッという音とともに、つくしに車のライトが当たる

 

つくし「え…?」

 

キキーーーという車のブレーキ音に周囲にいる人の叫び声が響いた

 

つくし「っ」

 

司「おっまえ馬鹿じゃねえのか?!!なんでこんなとこでぼーーーっと携帯見てんだよ!!!」

 

つくし「え…な、なに?!」

 

一瞬のことにつくしは何がおこったのかまったくわからなかった

 

けれど、すぐ近くには車が歩道に乗り上げ、つくしが先ほどまでいた場所だとわかる

 

でも今無事なのは、司がつくしを引っ張り助けたからだった

 

その引っ張る力でつくしは尻もちをついてしまうが、もしも司が助けてくれなかったらと考えてゾッとしてしまった

 

つくし「‥あ、ありがとう、道明寺」

 

司「…おう、怪我ねえか」

 

つくし「うん…」

 

つくしと司はお互いの怪我や様子を確認しつつ、近かった身体を離した

 

つくしは立ち上がろうとしたとき、足をくじいてることに気づく

 

つくし「いたたた」

 

司「!!!どっか痛めたのか?!」

 

つくし「ひねったみたい」

 

司「なんだ…ひねったのか、よし、俺がおんぶしてやるよ」

 

つくし「え?や、やだよ」

 

司「いいから乗れよ!!」

 

そうこうしてるうちに、誰かが呼んだのかサイレンの音が近づいてきた

 

司「……はぁ、お前といるとほんっと休まる暇がねえ」

 

つくし「……そもそも一緒にいたわけじゃないですけど」

 

つくしはこの時やっとある事に気づいた

 

つくし「……なんで道明寺こんなとこにいるの?」

 

その指摘に司はなぜかしどろもどろとして答えようとしない

 

司「た、たまたまだよ」

 

つくし「…たまたまにしてはおかしくない?道明寺っていつも車移動だし、そもそもここはあたしのバイトさきの近く…」

 

女将「つくしちゃん!!!」

 

つくし「え?女将さん?!!」

 

女将「あ~~やっぱりつくしちゃんだよ、なんだか騒がしくて見に来たら…もうほんっとに心臓に悪いったら…」

 

つくし「…ごめんなさい」

 

女将「どこも怪我はないかい?って足が真っ赤じゃないか…ほら、救急車もつくから乗って!私も同乗するか…って、道明寺さん!!」

 

司「あ…」

 

女将「あらあらあらあら……そう、そうかい…悪いけど私はまだ仕事が残ってたんだよ、道明寺さん、この子の事頼んでもいいかい?」

 

つくし「ちょ!あたしはひとりでだいじょ…」

 

司「はい、任せて下さい」

 

女将「そうかい!じゃあまかせたよ!つくしちゃん、お母さんたちには私から連絡しとくから、病院がわかったら連絡頂戴ね」

 

つくし「ちょ、女将さん!!!」

 

女将さんはつくしの話を全く聞かずに、まるで邪魔者は去るといわんばかりにその場からいなくなってしまった

 

つくしは困った表情で司を見るが、救急隊員や警察の人がつくしに駆け寄ってきたために、詳しい話をすることもできずに、また二人は病院へと向かうことになった

 

そして、警察や検査やいろいろなことが落ち着き、つくし達が帰る頃にはもうすっかり夜中になってしまっていた

 

司「お前入院しなくていいのか?」

 

つくし「こんなひねったくらいで入院する人いないよ」

 

司「そうか」

 

つくし「…それじゃあ、帰るね」

 

司「まてよ、送るよ」

 

病院前の暗い道で、司は帰ろうとするつくしを引き留める

 

けれどつくしは振り向くことはせずこう答えた

 

つくし「…助けてくれてありがとう!!自分で帰れるから、大丈夫!」

 

つくしはそう言うと、司の返事は聞かずにそのまま足早に去っていった

 

司「……」

 

司はつくしの背中を見送っているが、その眼は熱いまなざしだった

 

そして後日、類はこの事故のことをあろうことか総二郎達から知らされる

 

 

類「今なんて?」

 

西門「いやだから、この前牧野たち事故に合いそうだったらしいよ」

 

あきら「司が牧野を引っ張って助けたらしい」

 

西門「それを見た女生徒がもう騒いで騒いで…今始業式はじまったばっかなのに、牧野は赤札貼られてないのに生徒達に無視されてる」

 

あきら「どうやら司と類と二股かけてるって思われてるらしいんだ」

 

類「……」

 

総二郎とあきらは、包み隠さず現状を教えてくれた

 

安心させるために、隠さずに話してくれたのだろう

 

けれど類の心は、まるで嵐の前のようにざわついた渦が広がっていくのだった

 


 

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