つくしはそんな噂を立てられていても、心は落ち着いていた

 

つくし「言いたい人には言わせておけばいい」

 

そう思っていたからだ

 

つくしは司と色々あるにしても、ちゃんと心は花沢類だけを想っていた

 

けれど、何も言わない花沢類に、つくしはいつのまにか甘えていたことに、今は気づいていなかった

 

キーンコーンカーンコーン

 

授業の終了の音が鳴る

 

つくしの同級生たちも帰り支度をはじめた

 

つくしもいつものように帰り支度をしていると、つくしを海に突き落とした三人の女生徒がつくしの目の前へと立ちはだかった

 

つくし「…何?」

 

浅井「……ちょっと話があるんだけど」

 

鮎原「今日お時間ある?」

 

つくし「……」

 

いつも睨んでくる三人の様子とは違い、ちょっと罰の悪そうな顔でそう聞いてきた

 

つくしは無視することもできたが、話があるとまっすぐ言ってきたクラスメイトの言葉を無下にするような子ではなかった

 

つくしと浅井たちは英徳学園にあるカフェスペースへと向かう

 

ここは帰りにも開放されていて、図書室を利用している生徒などが夕方まで自由に使用できていた

 

浅井とつくしが席につく

 

いつもとは違うメンバーがカフェにやってきたため、少しだけ好奇の視線がつくし達に集まっていた

 

つくし「……話って?」

 

浅井「……ごめんなさい」

 

つくし「…え?」

 

浅井の声は今にも消え入りそうな声だったが、確かにつくしに対して謝罪の言葉を吐いた

 

浅井「…ほら、あなたたちも」

 

鮎原「船で、ごめんなさい」

 

山野「悪ふざけがすぎました」

 

三人がきちんとつくしに頭を下げた

 

浅井はつくしが早く助けたおかげで軽症ですんでいた、またつくしの恩情により、大事になることもなく、内々に処理されたおかげで三人は今も学園に通う事が出来ているのだ

 

つくし「ああ…うん。怪我がなくてよかったね。今日はそれだけ?」

 

浅井「…そうよ」

 

つくし「そっか。わざわざありがと。今日はあたし用事あるからもう行くね」

 

浅井「……」

 

思いがけず謝ってもらえてつくしは心からの笑顔でそう返した

 

浅井はまだ何か言いたそうに、席を立つつくしの姿を目で追いかける

 

浅井「…ねえ、牧野さん」

 

つくし「ん?」

 

帰ろうとしたところを呼び止められ、つくしは浅井たちの方を振り向いた

 

浅井「牧野さん、今花沢様とお付き合いしてるのでしょう?」

 

浅井の言葉に周囲にいる生徒たちの興味がつくしに集中した

 

つくし「…うん」

 

浅井「……」

 

その後の言葉が続かない浅井に変わり、鮎原が話を続けた

 

鮎原「私たち、記憶がない道明寺様が牧野さんがおぼれたって知った瞬間に海に飛び込む瞬間を見ていたの」

 

つくし「‥‥‥‥」

 

山野「誰もそんな無謀なことしなかった。海に飛び込んでくれたのは牧野さんと道明寺様だけ…」

 

浅井「…余計なお世話かもしれないけど、牧野さん。あなたのことを命をかけて大事にしてくれてる人って、花沢様じゃなくて道明寺様じゃないの?」

 

つくし「……」

 

鮎原「……さんざん反対した私たちが言うのもあれだけど、牧野様には道明寺様が合うと思う」

 

山野「うん、道明寺様が海に飛び込んだ瞬間、こう言っちゃあれだけど、まるでドラマや映画のワンシーンのようだった」

 

鮎原「あんな風に愛されたいって思った」

 

浅井「…花沢様も確かに牧野さんのこと探しに行ってたけど、道明寺様の愛には勝てないと思う」

 

三人は口々にそんなことを捲し立てた

 

つくしはふっと笑って三人の方に向き直り、こう答えた

 

つくし「余計なお世話。それじゃあね」

 

浅井「…牧野さん」

 

つくしはそれだけ言うとくるっと方向転換して玄関の方へと向かう

 

その足取りはとても楽しそうだった

 

つくしは今日は類に会うつもりだったからだ

 

つくしは信じていた

 

会えばあの優しい類の笑顔が迎えてくれると

 

いつものように笑って、優しい笑顔で楽しく過ごせると

 

そう信じていたからこそ、つくしは迷いなく類へと電話をしたのだった

 

 

電話の着信が鳴った

 

類はその音が聞こえてはいるが、携帯を開くことができなかった

 

類「…」

 

類は携帯を持とうとするが、すぐにポケットにしまいなおし、そのまま深いため息をついた

 

類「せっかくここまで来たのにな」

 

類も今日はつくしに会おうと思っていた

 

そう思っていたからこそ、今英徳学園の非常階段にいるのだ

 

類「…牧野を驚かせようと思ってここにきたんだけどな」

 

類はそう言った後、また深いため息をついた

 

ため息をつきながら思い出すのは先ほどの出来事

 

類は、人が少ない時に、英徳のカフェの、F4のために作られたカフェスペースのソファで仮眠をとっていた

 

そこには生徒たちは誰も入ることはできないし、他の生徒達が使うカフェを上から見渡すことができた

 

そこのソファで寝ていた類は、先ほどのつくしや浅井たちの会話をバッチリと聞いてしまっていたのだ

 

類「…余計なお世話…か」

 

類はその言葉で、昔自分が織部順平に言われた言葉も思い出す

 

順平「奪っちまえよ!あんな道明寺司から!牧野つくしを!!!」

 

そんな風に順平に叫ばれた時、類は順平に「余計なお世話」と笑って答えたのだ

 

その時のことを改めて思い出し、耳に順平の叫ぶ声が戻ってきた

 

まるでその時の順平にこたえるかのように、類はぼそっとつぶやく

 

類「結局、俺は司から奪えてないんだよな」

 

そうつぶやく類の表情は寂しげだった

 

類「……」

 

そして類は背伸びをしたあと、非常階段に寝そべった

 

そして自分の手のひらを顔の前に広げ、自分の小指を見つめながら目を細める

 

類「運命の赤い糸…そんな話があったけど、もしかしたら司と牧野のようなことを言うのかもな」

 

類はそうつぶやいたあと、手のひらで自分の顔を覆った

 

そして指の隙間からは、類の涙が流れ落ちていった

 


 

読んでくださってありがとうございます!!

 

更新が夜中になってしまいました…申し訳ありません…

 

月曜日は何かと忙しいですね(;´∀`)

 

明日も頑張ります(´∀`)

 

 

 

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