司とつくしがキスをしている

 

けれど類はそのキスを止めることができなかった

 

なぜならキスをしてる司の姿は、かつての類の姿だったからだ

 

類も、当時は司と付き合っているのを承知でつくしにキスをした

 

衝動的に、身体が勝手に動いたと、自分自身に言い訳しながら

 

幼馴染の彼女に、キスをしていたのだ

 

類「ははっ……」

 

類は思わず笑ってしまう

 

全然面白くなんてないのに

 

笑い声が出たのに、涙まで出てしまった

 

類「あ…」

 

類は自然と流れ落ち手のひらに落ちた自分の涙に驚いた

 

つくし「なにすんのよ!!」

 

つくしは類の事に気づかず、また司を突き飛ばす

 

司は突き飛ばされた拍子につくしの爪が頬にひっかかり、血が出てしまった

 

司「いってえなあ…したいと思ったからした。ぐだぐだいってんじゃねえよ!」

 

つくし「!!!しんっじらんない!!!!あ、あたしはもうあんたとなんて付き合ってないのに!!なんで今更キスなんて…」

 

つくし涙をためた瞳で司の事を睨みながら袖で唇をぬぐう

 

司「おっまえ!人をバイキンみたいな扱いしやがって!!」

 

司は思わずつくしの腕をまた掴んでしまった

 

つくし「バイキンでしょ!?!も~~~せっかく今日は…花沢類と久々に会える日…で…」

 

つくしは司から逃れようと顔をそらした

 

だがその時に、つくしは後ろにいた類と目が合ってしまったのだ

 

つくし「…花沢類」

 

司「…」

 

つくしの顔が一気に青ざめていく

 

司は、類の顔を一瞬だけバツが悪そうな顔をしたが、その後はまっすぐ類の目を見据えるのだった

 

三人の空気が凍る

 

類はもう泣いてはいなかった

 

何か感情を殺したような、そんなさみしそうな表情だ

 

つくしはみたこともない類のそんな表情に、心臓がぎゅっと掴まれたように感じた

 

司「…俺は謝らねえからな、類」

 

口火をきったのは司からだった

 

類「うん」

 

司「…」

 

類はきっと怒って殴ってくるだろうと思ってた司は類の態度に疑問を抱く

 

司「お前、怒らねえのかよ」

 

類「ん?怒ってるよ」

 

司「いや、ぜんっぜん怒ってねえだろ。なにか言いたい事とかねえのかよ」

 

類「…」

 

つくし「あ、あのね花沢類…」

 

つくしは慌てて類の方へと駆け寄ろうとした

 

だが類のわけわからない態度にプッツンきた司は、類の元へ駆け寄ろうとしたつくしの腕を決して離そうとしない

 

つくし「ちょ、離してよ」

 

司「離さねえ」

 

つくし「…あたしは!花沢類の彼女なんだから!!」

 

司「だから?」

 

つくし「だから?って…だから離してよ!!」

 

司「関係ねえな」

 

つくし「!!何アホな事いってんの?関係あるでしょ!」

 

司「うるせえな、お前は少し黙ってろ」

 

つくし「ちょっと!!きゃっ」

 

つくしは司に引き寄せられ、そのままのいきおいで司の後方の方に尻もちをついてしまった

 

つくし「乱暴しないでよ!」

 

司「お前が抵抗するから転んだんだろ、俺は後ろに引っ張っただけだ」

 

つくし「!!!」

 

つくしが起き上がり、司に言い返そうとした時、類がやっと口を開いた

 

類「はは」

 

司「…?」

 

つくし「…は、花沢類?」

 

怒鳴るわけでもなく、何か言うわけでもなく、笑った類の姿に、つくしの心臓は雷が打たれたかのような傷みが走る

 

つくし「あの、これは。。。」

 

泣きそうになったつくしがうつむき加減で何か言いかけたが、司の声でかき消されてしまった

 

司「はっ、お前の牧野への気持ちはその程度だったってわけかよ。俺に偉そうなことさんざん言っといて…お前は結局牧野の事、大事じゃねえんだよ」

 

司にそういわれても、類の口は重く、開くことはなかった

 

司「何とか言えよ、類」

 

つくし「花沢類!あの、ごめん、ごめんなさい!!」

 

つくしは黙ったままの類の姿をみて、相当怒ってるのだと思い、とうとう流れた涙でぐしゃぐしゃな顔をしながら謝った

 

類「……」

 

類はつくしの顔を泣き顔をみて、ふっと過去を思い出す

 

【牧野の事ほったらかして、婚約者までいて、俺なら牧野の事、泣かせないのに】

 

そんなことを思った、幼馴染と縁が切れたとしても、この子を守っていきたい

 

牧野が大事な人だから

 

そう思っていた自分が、今つくしを泣かせている

 

ほんとはつくしの涙は、司が原因だろうとはわかってはいたが

 

自分が司とつくしの間にわりこまなければ

 

つくしを奪わなければ

 

自分勝手な感情で壊した二人の絆は本来壊してはいけなかったのではないか

 

その事で結局つくしを悩ませ、泣かせてしまっているのではないか

 

いろんな”たられば”が類の思考を襲っていた

 

類「牧野は自分を選んでくれた、それは信じてる」

 

信じていた、信じていたけど

 

事故りそうなつくしを救ったのも、海に落ちたつくしを救ったのも、司だった

 

類は、自分はつくしを守れていない、そしてこの二人の絆には勝てない

 

自分は結局”邪魔者”なのだ

 

そう思ってしまったのだ

 

つくし「…花沢類?いまなんていったの?」

 

ぼそっとつぶやいた類の声はつくしと司には届かなかった

 

類は、ニコッと笑った

 

優しい笑顔で、けれどどこか悲しい表情で

 

類「牧野、ごめん」

 

つくし「え?それはこっちのセリフ…」

 

類の手を取ろうとつくしは近づくが、類の手はつくしの手が近づいても反応しなかった

 

そして、近づいてきたつくしにまっすぐな瞳でこう言った

 

類「ごめんね、牧野。俺たち、離れよう」

 

つくし「…え?」

 

つくしは類の言葉に愕然とする

 

類「……俺じゃ牧野を守れない、だから俺は牧野と一緒にいる資格がないんだ」

 

つくし「そ、そんなこと…」

 

つくしは慌てて否定するが、あまりにも突然の言葉にその先の言葉が涙で出てこなくなってしまう

 

司「……お前、それ本気でいってんのか?」

 

司が睨むような視線で類を見てそう聞いた

 

類「うん」

 

そう言った類の目は、悲しい色をしていた

 

司「はっ、お前がそんな情けないやつだったとはな。おい牧野、こんな奴のことなんて捨てちまえ」

 

司の言葉が類の心臓を刺したが、それでも類の気持ちは変わらなかった

 

つくし「なにいってるの!?花沢類は情けなくなんか…」

 

つくしが司に言い返したが、涙でもう前がみえなくなっていた

 

類「泣かせてごめんね…牧野。俺も、なんか…限界なんだ」

 

つくし「…え?」

 

小さな声だが確かに聞こえた類の限界という言葉

 

つくしが顔をあげ類の方をみると、類の目から涙が流れ落ちた

 

つくし「花沢類」

 

はじめてみる類の涙に、つくしは思考停止してしまう

 

類「!!…ほんと、ごめん」

 

つくし「…まって!!」

 

涙を見られたくなかった類は、そのままその場を立ち去って行ってしまった

 

司は追いかけようとするつくしを力づくで引き止める

 

つくし「離して!!行かせて!!」

 

司「……行かせねえよ」

 

つくし「離してってば!!!」

 

司の力につくしが勝てるはずもなく、類の姿は一度も振り返ることなく、人込みの中へと消えていくのだった

 


 

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