類の行方はわからないままだが、西門とあきらは楽観的に考えいずれ連絡くるだろうとこの日は類の家から帰宅してしまった
つくしはというと、ずっとずっと類の車を待ち続けたが、見つけることはできずに登校時間は終わった
携帯のこともあるし、一度昼になる前に家へと帰宅した
つくし「…ただいま…って誰もいないか」
つくしは、カバンの中から鍵を取り出し家の中に入って反射的にただいまを言ってしまった
この時間、家族はみんないないのだが、今日は居間のほうから声が聞こえてきた
進「おねえちゃん…おかえりなさい」
つくし「進?どうしたの?学校は?」
進「……おねえちゃん…ご、ごめんなさいぃぃぃぃぃ」
居間から今にも泣きそうな顔の弟の進が出てきたかと思うと、つくしの目の前で土下座をはじめた
つくし「ちょっと、どうしたのよ?!」
つくしは慌てて進の身体をおこそうとするが、泣きじゃくってる進につくしの声は届かない
つくし「と、とりあえず落ち着いて…はい。深呼吸~す~~は~~」
進「す~~…ぐすん…はぁ~…ひっく」
つくし「……」
泣きながらも深呼吸してる進の姿に少しだけ安堵するつくし
改めて何があったか聞いてみることにした
つくし「それで?何かあったの?」
進「……おねえちゃん、怒らない?」
つくし「???何?怒らないから話してごらん?」
進「……実は…これ」
つくし「なに?」
進が恐る恐る差し出してきた手の平の上には、つくしの携帯がのっている
つくし「携帯…がどうかしたの?」
進「……おねえちゃんが携帯持ってるの、羨ましくて…かっこよくて…ちょっとだけ…使ってみたくて…使ってみたら……落として割っちゃって…」
つくし「え…?」
慌ててつくしが見てみると、画面に綺麗にヒビが縦長に入っていた
つくし「……」
つくしは思わずへなへなと座り込んでしまう
進「ごめんね!ごめんねおねえちゃん!!」
つくし「う、ううん、進怪我しなかった?大丈夫?」
進「おねえちゃん、優しい…」
進がキラキラした瞳で見つめていると、今度は台所に隠れていた父親まで飛び出してきた
父「つくし、すまん!!」
父はそういうと、進の隣で土下座する
つくし「え?!ど、どうしたの?」
父「こ、この紙袋に入っていたチョコ、てっきりパパにだと思って食べちゃったんだよぉ~~~」
そのチョコとは、つくしが類にあげようと思って作ったチョコだった
昨日帰ってきたとき、つくしは紙袋ごと玄関に置いてしまっていたのだ
つくしは、胸は傷んだが、父をせめることはしなかった
つくし「ううん、食べていいんだよ」
父「でもこれ…母さんが言うには花沢様への…」
つくし「…たまたまあげれなかったからいいの!チョコ悪くなっちゃうし、食べてくれて良かったよ」
つくしはそう言うとニコッと笑った
父はホッとはしたが、つくしのことを心配そうに見つめる
父「もしや花沢様と何かあったのか?」
つくし「…なんもないよ!それよりも、確か携帯は保証期間だったと思うから、修理にだしてくるね!」
進「おねえちゃん、ごめんね…」
父「俺は…なんていい娘を持ったんだ」
進「僕も…なんていい姉を持ったんだ「
父と進はそう言いあい、お互いに抱き合って泣くのだった
つくしはそんな二人に困った顔をしながら、家から出る
行く先はもちろん携帯会社だ
つくし「どうしよう、花沢類の連絡先、アドレス帳とかに書いておけばよかった…全然わかんない…これ消えちゃったりしないよね…?」
つくしは携帯を抱きかかえるようにして、携帯会社へと急ぐのだった
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