静「実はね、このウサギ、類の家で飼っていたうさぎなのよ」
つくし「へえ~ウサギとか飼ってたんですね」
静「そうなの、類の家はわりと動物を飼う家でね、まあそれは類が動物が好きだってこともあるんだけど…」
つくし「へぇ…ご両親に可愛がられていたんですね」
静「う~~ん…そうとも言えるけど、どちらかといえば頼まれたから買うっていう感じだったかな」
つくし「花沢類がウサギをご両親に頼んだんですか?」
静「そうなの、クリスマスプレゼントにね…もしかしたら私がウサギ好きって話した後だったから…類なりにウサギを見せたくてプレゼントに頼んだからかもしれないんだけど…」
類が自分のために何かをすることを当たり前のように言う静の姿に、つくしは少し胸が傷んだ
つくし「花沢類…優しいですもんね」
静「そう…類はすっごく優しいのよ。でもね、私にウサギを見せようとしてくれたこの日、司がずっとウサギを抱っこして離さなくなっちゃったの」
つくし「え…」
静「類もこの時にはウサギのことすっごく大事に飼ってたから、司にウサギを離せ!僕のだ!ってもうすっごい剣幕で怒っちゃって…普段の温厚な類からは想像つかないくらいの怒り方だったな~それでも、司は絶対離さなくて…きっと司もウサギがすっごく大好きになっちゃったからなんだろうけど」
静はそう言って、小さくため息をついた
つくし「道明寺は小さな時も道明寺っていうかなんていうか」
静「ふふっ、そうでしょ?でもね、結局類は、すっごくすっごく大事にしてるウサギなのに、最終的に司が抱っこして離さないのを許しちゃったのよ」
つくし「え」
静「でもね、視線はずっと司とウサギの方見てるの。取り返したくてたまんないって感じで…でも、司があまりにもウサギに執着して、半泣きで離そうとしないから、類の方が司の事を思って我慢しちゃったのよ」
つくし「…」
静の話を聞いて、つくしは類っぽいなあと思うのだった
静「しかもこの後司はウサギを家に持って帰るって言ってきかなくなっちゃって…」
つくし「え?それで…どうなったんですか?」
静「どうもこうも、持って帰ったのよ。ケージも全て類が譲ってた」
つくし「え~~~そんな…」
静「私も何度も類に聞いたのよ。本当にいいの?って」
つくし「花沢類はなんて?」
静「類はね、いいんだって言ってたの。司は僕より家に一人でいることが多いから寂しいんだって…ウサギを可愛がってくれるし大事にしてくれるだろうからいいんだって言ってたのよ」
つくし「……」
静「…司は、家に帰ってからそれはもうすっごくすっごく大事にしたらしいわ。類も司の家に訪問するたびに、ウサギを大事にしてる司を見て、すごく嬉しそうにしてた」
つくし「…花沢類がかわいそうに思えるけど…二人で大事にしてたなら…いいのか…な」
静「……でもねある日司はウサギと一緒に寝たくなっちゃって…一緒に寝て司の寝返りの位置が悪くて…そのままウサギは天国に逝っちゃったの」
つくし「ちょ…それはさすがに酷いんじゃ」
静「……でもその日、司の誕生日だったの。誕生日パーティーはやったけど、ご両親は一切顔を出さなかったしプレゼントもなかった。司はずっとつらそうな悲しそうな顔してて…だから類も、その時の司の気持ちを考えて、ウサギが亡くなっても絶対司を怒らなかったのよ」
つくし「さみしくて…さみしくて一緒に寝ちゃったってことなんですね…」
静「うん、まだ司も類も幼稚園の時の話だけどね…つくしちゃんの話を聞いて、この時の出来事…思い出しちゃったんだ」
つくし「??」
つくしは静の言葉にキョトンとしたがその顔を見て静はクスクスと笑う
静「今…司と類にとってのウサギがつくしちゃんってことよ」
ニコッと笑ってそう言った静かにつくしは驚く
つくし「いや、そ、そんなこと」
静「そう?あ、あと…ねえ、まだ隠してることあるでしょ」
つくし「えっ」
つくしは図星をつかれてしまう
確かにいろんなことを詳しく話、また司に告白されたことも伝えたが、司にキスされた瞬間を類に見られたことだけは言えないでいたのだ
静「類がウサギを諦める決定的な”何か”があったはずよ?」
つくし「そ…それは…」
静はすごくカンが鋭かった、といってもつくしの説明をしている時の表情で何か隠しているのはバレバレではあったのだ
静「話してもらえる?」
つくし「…はい」
静の真っすぐで綺麗な瞳に見つめられ、つくしは逃げ道を塞がれたような気がした
話にくくてつい隠してしまったバレンタインの日の事を、やっと静かに話し始めるのだった
読んでくださってありがとうございます!
道明寺楓の話についてのメッセージありがとうございます!
花男ドラマ続編妄想への感想メッセージも届き、すごく嬉しいです
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