静「類が…いなくなった?」
静の言葉に電話の向こうの西門が答えた
西門「まだ確定はしてない…してないけど正直いなくなったと思った方がいいと思う、14日から帰ってないらしいんだ。屋敷のもの達もこんなのははじめてで戸惑ってるらしい」
静「…おじさまとおばさまには?」
西門「ああ、類の親には一応知らせは言ってるみたいだけど、ほら、2人とも類のこと信頼しきってるから、まあ危ないことはないだろうと…逆に能天気なんだよな」
静「…」
静はちらっとつくしの方に視線をやると、話が聞こえていたようでつくしの顔が蒼白になっていた
静「あの…総二郎、かけなおしてもいい?」
西門「?いいけど」
静「いまね、つくしちゃんといるのよ」
西門「!!!!」
総二郎はまだつくしには隠しておくつもりだった
あのバレンタインの日からいなくなったとなれば、つくしが原因なのが明らかだったからだ
そしてつくしは自分を責めてしまうのも西門達には容易に想像できた
静「うん、わかってるわ。うん、それじゃあ…またあとでね」
静はそう言って電話を切った後、蒼白な顔でみつめてくるつくしに説明をしなければならなかった
静「あのね、つくしちゃん…今総二郎からの電話だったんだけど…」
つくし「花沢類が…いなくなったんですよね?」
目を見開いたままのつくしが静かにそう聞く
総二郎に誤魔化しておいてと頼まれた静だったが、つくしの顔を見てもう誤魔化せないことを悟った
静「…あのね、つくしちゃん、落ち着いて…聞いてほしいの。実は…類が14日から連絡がとれなくなったらしくて…」
つくし「…!」
静はつくしの気持ちを考えつつ、言葉を選んでゆっくりと優しく類がいなくなったことを説明したが
つくしにはその優しい言葉さえするどく心に突き刺さった
つくし「…あたしの…せいだ」
静「ううん、違うわよ、つくしちゃん、きっと類は少しだけ一人になりたかっただけよ」
つくし「……」
静のなぐさめの言葉はもうつくしの耳に入っていなかった
つくしはどんどん取り乱し、また目から大粒の涙を流し始める
つくし「探しに…行かなきゃ」
静「探すって‥‥どこ行くの?」
つくし「…わ、わからないです、どこか…花沢類が好きそうな場所…」
静「ちょっと、どこ行くの?!」
つくし「行かなきゃ…」
静「つくしちゃん!!落ち着いて!」
部屋から我を失った様子のつくしが出ていこうとするので必死で止める静
だがそんな静の言葉につくしはまだ耳を貸さない
つくし「あたし探しに行かなきゃ…静さん…ありがとうございました!!」
静「つくしちゃん!!!」
とうとう、つくしは静の手を振り切って飛び出していってしまった
静「どうしよう…あんな状態のつくしちゃんを一人で行かせるわけにいかないし…でも私は今から私はパーティーに出席しなきゃいけないし…」
この日、静は自身が広告を務めたブランドのパーティーに主役として登場しなきゃいけなかったために、欠席することができなかった
静は追いかけることもできないため、急いで西門へと電話を鳴らす
静「あ、総二郎?あのね…つくしちゃんが…」
西門「牧野が?!」
静は急いでつくしが飛び出していったことを説明した
総二郎はその話を聞き、牧野の事はどうにかすると静へと約束するのだった
静やみんなの心配をよそに、つくしはまたあてもなく走っていた
つくし「はぁ…はぁ…」
なぜか、思い浮かぶのは非常階段だった
今日もそこに類はいなかったけど、つくしと類の思い出の場所は非常階段が多かったのだ
つくしは、そこに類がいるはずないとわかってた
わかっていたけど、何もしないではいられなかった
つくしは息を切らしながら全速力で英徳の非常階段へと向かうのだった
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