類「……やっぱりここ、時間を忘れる」

 

類はというと、車に乗り込む前に浄土ヶ浜をまた眺めていた

 

時間を忘れて、ただただずーーーっと眺めている

 

まるで時がとまったかのようなその場所は、先ほどとは違い、人の姿すらいなくなっていた

 

浄土ヶ浜の青い海は、綺麗すぎて少し怖さを増していたが、その感じは今の類にはちょうどよかった

 

類「……天国ってこういう場所のこと言うのかな」

 

独り言をつぶやいたとき、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた

 

順平「まじでいたよ」

 

類「あ」

 

何と後ろにいたのは、当時類がつくしを拉致したことでぼっこぼこに仕返しした織部順平がいた

 

順平はタイミングよく祖母宅に行き、類が来たことを聞き、慌てて探しにきたのだった

 

順平「……ばあちゃんから話聞いて、まさかと思ったけど」

 

類「……何か用?」

 

順平「いやいやいやいや、何か用?はこっちのセリフだから…何してんだよ、俺のばあちゃん家に何しにきたんだよ」

 

類の言葉に、呆れるように返す順平

 

類「ああ、ここにいて眺めてたら勘違いしたようで、連れてかれちゃってさ」

 

順平「いや、それも聞いた、万が一があるから見てきてくれないかって言われて俺来たんだし」

 

順平はそんなことをぶつぶついっていて類には聞こえていなかった

 

ぶつくさ言いつつも順平は少し嬉しそうだった

 

順平「もう二度と会う事はない人たちって思ってたのにな」

 

類「?」

 

順平は少しだけ口の端をあげて笑った

 

順平はあの事件をおこしてしまったあと、モデルの仕事もあったために海外へと渡っていた

 

もちろんつくしにしたことは犯罪だ

 

でもつくしは被害届を出さなかったし、道明寺家も昔の司の所業が表沙汰になるのを恐れたために、大事にはならなかった

 

それでも、道明寺家に睨まれてしまった順平の生きれる場所は日本にはあまりにも少なく、監視されるような生活は嫌だったために海外に飛んだ

 

その時には道明寺家から接近禁止令も出されたり等いろいろあったのだがそこは割愛する

 

順平は、あの日から自問自答の日々だった

 

司に対してはもっと苦しめと思うくらいだが…

 

でも、つくしを巻き込んだことに対しての罪の意識が、ずっと錘のようにのしかかっていた

 

もっと他の復讐の方法があったんじゃないか

 

もっと上手なやり方ができたんじゃないか

 

そもそも、復讐して何になったのか、自分の気持ちが軽くなるし司に傷つけられた自分の尊敬する近所の兄ちゃんのためになると思ってやったけど

 

その兄ちゃんにはお前が犯罪者になるのは嫌だとあとからすごく怒られたのだ

 

結局、自分のやったことは、誰のためにもならなかった、傷口を大きく広げただけだったのだ

 

そんなことを思って、もう二度と会う事がないつくしのことを時々思い出していたのだ

 

でも思いがけず今日、もう二度と関わることがないF4の一人、類に会う事が出来るかもしれないチャンスがきて、勝手に足が動き類を探してしまったのだ

 

類「?君はなんでここにいるの?」

 

順平「いちゃ悪いのかよ!」

 

類「いや別に、ただ…海外行ったって聞いたからさ」

 

順平「ああ…まあな…ただこっちでも仕事があるから結構戻ってきてんだよ、今はたまたまこっちで撮影中」

 

類「へえ~それでおばあちゃん家にね」

 

順平「うるせえよ、あれだよ、滅多に会えないから顔見せねえとうるせんだよ、昨夜こっちに来たから仕方なく…って何笑ってんだよ!」

 

類「ううん、別に」

 

順平「…くそっ」

 

順平はおばあちゃん子なことがバレて気恥ずかしそうにしていた

 

順平「…あのよ」

 

類「?」

 

順平「……花沢さんと牧野が付き合ってるって噂で聞いたけど、ほんとなのかよ?」

 

類「……」

 

順平は数は少ないがまだ英徳学園に通っている生徒と携帯でやりとりしていた

 

だから二人の噂は聞いていた

 

順平はずっとずっと心にためていたことを、類に話し始めるのだった

 


 

拍手やメッセージ、いつもありがとうございます!

 

今日も読みにきてくださりありがとうございました!

 

ランキング参加中です!応援お願いします!

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

偽りの秋桜 一覧

シリーズ一覧

最新記事

シリーズ

ブログ村