どれぐらいの時間泣いていただろう

 

つくしが泣き終わるまでかぐや姫は待っていてくれた

 

つくし「あ、ありがとうございます」

 

かぐや「涙をふいて、早く帰らなきゃ、ね?」

 

つくしはかぐやの言葉に困ったように首をふった

 

つくし「あたし、変な穴に落ちたらここに来てたの。つくしが丘で倒れてたって聞いたけれど、向こうにはつくしが丘なんてないし、ここは夢だと思ってたんだ」

 

かぐやはつくしの涙を拭いてあげながらこう答えた

 

かぐや「…何かを追っていらしゃらなかった?」

 

かぐやの言葉につくしはハッと思い出す

 

つくし「そう!!猫!!!あたしの給料を持ってった猫を追いかけてました!!!」

 

つくしがそう説明すると、かぐやはニコッと綺麗な顔で笑った

 

かぐや「猫は自由やから、あちらさんとこちらさんを行き来しておるんよ?だから、あちらに帰りたいなら追ってきた猫を探して後を追って…ああ、でも”ここ”で誰かと心を通わせたらどこにも行けへんから……そこだけはしたらあかんよ?」

 

ほわっとした優しい手でかぐやはつくしの頬を包む

 

つくし「猫…猫ですね!!!わかりました!!!すぐ西門さんに頼んで猫を探すの手伝ってもらいます!!!」

 

かぐやの言ってる意味を、まだよく理解してないつくしは元気よくそう答える

 

かぐやは困ったように微笑んだ

 

かぐや「…ここの”西門総二郎”はあちらでもこちらでもない人やから……心通わせんように気いつけなあかんよ?」

 

つくし「え??それってどういう意味で…」

 

つくしが聞き返そうとしたとき、スパーーンと部屋の扉が開いた

 

西門「それはどういう意味ですか?」

 

どうやら、部屋の外にいる西門にも聞こえていたようだった

 

おそらく扉の前で聞き耳を立てていたのだろう

 

かぐやは困った顔をして口ごもってしまった

 

つくし「あの……さっきのどういう意味か知りたいんですが…」

 

西門「話してください」

 

つくしと西門がじりじりとかぐやへと詰め寄る

 

困ったかぐやが何か話そうとしたとき、家の者がちょうどかぐやの部屋へとやってきた

 

家の者「そろそろ夕刻ですので、西門様さえよろしければ夕餉もご一緒にいかがでしょうか?」

 

西門「いや……」

 

かぐや「……」

 

不穏な空気が流れる

 

このまま居座り続けるわけにもいかずに

 

西門とつくしはかぐやの屋敷を去らなければいけなくなってしまった

 

先ほどのかぐやの言った意味が気になる二人は、屋敷を後にしても、ずっと眉間にしわをよせた険しい表情をしている

 

帰り道、無言で険しい表情の二人に、おつきの者たちはびくびくとしていた

 

先に口を開いたのはつくしのほうだった

 

つくし「途中まではかぐや姫の言ってた意味がわかったけど、西門さんについてだけはわかんない」

 

西門「……」

 

つくし「”ここ”の西門さんがあちらでもこちらでもない人ってことは……なにあんた妖怪なの?!!」

 

西門「ぶっ」

 

真剣な表情でつくしが振り向きそう聞いてくるものだから、思わず西門は吹き出してしまった

 

西門「っんなわけあるか!!!」

 

西門に怒鳴られても怖がることなく、つくしは何事もなかったかのように腕を組んでまた悩みはじめる

 

つくし「う~~~~ん…気になる……」

 

西門「……」

 

西門も、かぐやの意味が気になるようだった

 

だが、気になるということは、西門自身が、あちらでもこちらでもない人の存在だという事に気づいていないという事

 

それは、西門本人が気づいてはいけないことでもあった

 

それを知ってるかぐやは、残された屋敷でひとり罪悪感にかられている

 

かぐや「どうかどうか、気づきませんように…気づいたらあの方もここに取り込まれてしまう…」

 

西門とつくしは明日、もう一度かぐや姫の屋敷に尋ねようと思っていた

 

だが、その日が昔話でいう、かぐや姫が月に帰る日だとは、西門もつくしもまだ知らないのだった

 


 

 

読んでくださってありがとうございます!!!

 

拍手とメッセージもありがとうございます!!!

 

星の観覧車が完結したからか、いつもよりメッセージが多くてとっても嬉しかったです!!!

 

これからもよろしくお願いいたします!(*´ω`)

 

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