塔の上へと急いで登ったつくし

 

外が見える場所に身を乗り出しつつどこかに動いてる人がいないか目を凝らす

 

つくし「………あやしいものはなにもない……ルイはきっと魔女っぽい人に連れていかれたと思うんだけど…」

 

窓の外の景色は何も変わったところはなく、つくしの気持ちが焦り始めた

 

つくし「……やっぱりさっき居た広場のとこをもっかい調べなきゃ!!」

 

つくしはまたそう思いなおし落ち着きなくくるっと振り返った

 

つくし「痛い」

 

すると何かが顔面にぶつかった衝撃を感じた

 

つくし「な、なに?なんか石のようなちっちゃい何かが…」

 

つくしが眉間あたりをおさえながらあたりを見回すと、目の前に小さくなった女将の姿が飛び込んできた

 

つくし「え?!お、お、女将さん?!!!」

 

女将「やあっと気づいた!!!」

 

つくし「なななななんでこんなに小さくなってるの?!!」

 

女将の姿はつくしの手のひらより小さく、虫と見間違うレベルだった

 

女将「…ちょいと力を使い過ぎてね…それよりさっきから見てたらあっちいったりこっちいったり…少しは落ち着きなさい」

 

つくし「だ、だって…」

 

小さな女将に叱られ落ち込むつくし

 

女将「だってもくそもないよ!!いいかい、こういう時にやみくもに動いてもな~んにも解決しないよ!思いついたものを片っ端から調べてくのも確かに大事だけどね、いったん落ち着くことがいっちばん大事なことなんだから」

 

つくし「……」

 

なんとなく腑に落ち、つくしは女将の言葉にこくんとうなづいた

 

女将「ただ気になる事があるんだよ…”姫”のあんたが呪われていない………お前は誰なんだい?」

 

女将の言葉にギクリとしたが、女将が責めるわけでもなく落ち着いた声で聞いてきたために、つくしは自分がどこから来たのかを話すことに決めた

 

あちらの世界の話と、西門がいた世界の話、そこからこの世界へといつのまにか来ていた話もした

 

女将「………」

 

女将がつくしの話を一通り聞き終わると、難しそうな表情のまま腕を組んで動かなくなってしまう

 

つくし「あの……ここにいたあたしはどこにいったかはあたしにもわからなくて…きっとお姫様に似てたからあたしは間違われたんですよね?」

 

つくしは女将の様子が気になるものの、今聞くタイミングを逃したくないと思い、ずっと気になっていたことを質問した

 

女将「たしかに…姫はあんたそっくり…いや、あんたそのものだったよ、でもあんたがこの世界に来てからの姫はどこにいったのかわからない…なにせ今まで姫だと思ってたからね」

 

女将の言葉につくしは納得する

 

女将「…………昔話にこんな話を聞いたことがある、その時も、ある悪い魔女がある姫に呪いをかけた、それを助け魔女を懲らしめたのは魔女の魔法がいっさい効かない青年だった…その青年は姫と結婚し、楽しく暮らしていたが、ある日突然姿を消した……本当に、姫の目の前で消えたんだそうな」

 

女将の昔話につくしはぞわっと全身に鳥肌がたった

 

女将「姫があちこち探せどどこにもいない、けれどその日から、毎晩夢で彼がでてきたそうな…最初は姫を探す彼の姿、そこから毎日彼の夢をみた、彼は夢の中で姫が見た事がないおかしな世界で生活していたようでな…姫はだんだん夢のなかにでてくる彼が本人だと思うようになった」

 

つくし「……」

 

女将「彼を助けないと、彼の世界に行かないと、そう叫ぶ姫を周りはおかしくなったと必死になって止めた」

 

つくし「それからどうなったんですか…」

 

つくしの言葉に深いため息をついたあと、女将はこたえた

 

女将「…姫は彼の消えた場所で…牢獄に捕らえられていた姫に呪いをかけた悪い魔女に頼んで自分を消してもらった」

 

つくし「っ…」

 

女将「わざわざ姫に呪いをかけた魔女が姫に頼まれて彼の世界に飛ばしたかどうか、考えなくてもわかるだろう?」

 

つくし「……それって本当に消されたってこと?」

 

つくしの言葉に女将はうなづく

 

女将「彼に会いに行くのを止める周囲のことを姫は敵のように思い、みなの心配を払い、魔女の彼に会わせてあげると言う甘い言葉にまんまと騙された」

 

つくし「酷い…」

 

女将「なんでこんな話をしたかというとね、あんたがいたっていうその世界は、姫が話していた彼のいる世界とそっくりだからなんだよ」

 

つくし「え…!」

 

驚くつくしにかまわずに、女将は言葉を続ける

 

女将「…あれだけの無数の針が飛んできたのに、傷ひとつないあんたの身体も…この物語の魔法がきかない彼にそっくりなんだよ」

 

女将の話にごくりと息をのむつくし

 

つくし「ていうことはもしかしなくても彼はあたしと同じ…」

 

女将「そう考えるのが妥当だろうね」

 

つくし「……」

 

女将「今、あんたとそっくりな姫の姿はどこにもない、かといってあんたは姫でもない…おそらく…憶測だけどあんたが帰れば姫もここに帰ってくるんだろう、でももうここで姫におこるはずの出来事があんたのせいでひんまがっちまってる…帰るには…難しいのかもしれない」

 

つくし「ちょ、ちょっとまって、わからない、どういうこと?」

 

女将は西門の時と同じく、理解したようだった

 

だが、つくしにはまだ伝わらない

 

女将「はあ…だからね」

 

女将が丁寧に説明しようとしたその時、外で大きな爆発音がした

 

つくし「なななななな何?!!!」

 

女将「……魔女が暴れはじめたね」

 

女将はそういうと窓の方へと向かった、つくしの女将について窓のほうへと走る

 

つくし「なにあれ……すごい煙」

 

遠くに見える山のような場所で、大規模な爆発がおこっていた

 

女将「…………姫と幸せになるはずの王子を助け出せば…」

 

遠くの爆発を見ながら女将がぼそっとつぶやいた

 

つくし「え?なに?」

 

爆発音にかき消され、女将の声はつくしには聞こえない

 

女将「…あそこにルイがいるよ、助けるのはあんたしかいない、できるね?」

 

女将は今度は強い大きな声でつくしの目を見て聞いてくる

 

つくしはそれに力強くうなづくのだった

 


 

読んでくださってありがとうございます!!!( *´艸`)

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