つくしが悩んでいるうちに外はもうすっかり夜になっていた
ほーほーという夜に鳴く鳥の声が聞こえてくる
つくし「……」
刻々と時は刻まれ、つくしは悩み過ぎて疲れてしまうのだった
つくし「あ~~~もう…」
頭を抱えながら寝ているルイの顔を見る
つくし「……本当にそっくり…そしてやっぱり綺麗な顔…」
つくしはルイの寝顔に見惚れてしまう
つくし「あたしがキスしたところで、魔法?呪い?がとけるかどうかなんてわっかんないけど…」
つくしは目を開けようとしないまるで死んだように眠るルイの寝顔をみて覚悟を決めた
つくし「ええい!!目を閉じてキスすれば一瞬で終わる!!」
そういきおいにまかせて、つくしはルイにキスをした
つくしの心の声(うう…柔らかい…あったかい…)
その一瞬でさえも、ルイのぬくもりを感じてしまい、つくしに全身の血が沸騰するような恥ずかしさが襲ってくる
ルイ「…」
真っ赤な顔したつくしがルイの顔をみつめるが、反応がない
つくし「ああああ…やっぱりあたしのキスじゃ意味なかったんだーー!!」
つくしががっくりと頭を下げ落ち込んだ時、頭上から声が聞こえた
ルイ「キス…?」
つくし「へ?」
パッと身体をおこすと、なんとルイが目覚めているではないか
つくし「え?え?」
目覚めさせるためにキスしたにもかかわらず、つくしは戸惑ってしまう
ルイ「キス、したの?」
類とおんなじ目をしてそんなことを聞いてくるルイの姿につくしの心臓はたえられない
つくし「し…」
ルイ「し?」
つくし「しました!!」
ルイの問いに真っ赤になりながらもちゃんと答えたつくし
つくし「でででもこれにはわけがあって!!実は‥‥!」
つくしが必死に今までの経緯やこうなったことを説明するが
ルイは聞いてるような聞いていないような状態だ
ルイ「ふ~ん、あの後の記憶なかったんだけど、それで君がキスしてくれたんだ」
つくし「!!」
ルイに簡潔にまとめられてそう言われてしまうと、腑に落ちない何かがあるが、事実ではあるので否定はできない
つくし「ご…ごめんなさい」
ルイ「いいよ、別に。それよりも…」
ルイがそういうやいなやつくしの腕をつかみ体勢をくるっとかえ、いつのまにかつくしがベットに押し倒されるような形になった
つくし「ななななななに?!!!」
ルイ「前に会ったときにも一瞬思ったんだけど…君って夢にでてくる女の子にそっくりなんだよね…」
そんなことを言いながらルイはつくしの髪にキスをする
つくし「それってどういう…」
押し倒されたままの状態だったが、ルイの言った言葉は今のつくしにとって大事なことだった
ルイ「……ずっとずっと好きな人がいて、けどその人への気持ちは憧れだってわかって…そんな俺のことを叱咤激励してくれた子がその子で…夢の中の俺はその子を愛し始めてる」
つくし「え?え??」
それは現実世界での類と静のことなのだろか
そしてその子というのは、現実世界の自分、今ここにいるつくしのことなのだろうか
つくしはそんな考えが頭の中をぐるぐると回った
ルイ「いっつも思ってるんだ、夢の中の俺は、可愛いな抱きしめたいな、キスしたいなって…」
そう言いおわる前にルイはまたつくしの額にキスをしたあと、唇にキスをしてくる
つくし「へ?あの…ちょ、ちょーーーとまって!!」
ルイ「いった!」
つくしは思わずルイを押しのけてしまった
つくし「ちょっとまって!!!落ち着いて!!」
ルイ「……夢の中で恋焦がれてた女の子が目の前にいるのに落ち着ける?キスしてもらったことで君がその子なんだって確信したのに…」
そう言うとルイがじりじりとつくしの方へと近づいてきた
つくし「ち、違う!やっぱり似てるけど花沢類じゃない!!」
つくしは後ずさって逃げながら思わず類の名前を口にしてしまった
ルイ「はなざわるい…」
つくし「!」
類の言葉にルイが反応して身動きが止まる
ルイ「そうだ、夢の中の俺はそんな風に呼ばれてた…なんで知ってるんだ?」
ルイの顔色がかわり、その表情につくしはゾクッとした寒気を感じた
ルイ「……なんか頭がもやもやする…これ以上は知ったらいけないような…ざわざわとした何かが…」
そういったあとに、ルイは頭を抱えたまま、意識を失ってしまった
つくし「?!!ル、ルイ!!」
つくしは倒れたルイに駆け寄り意識を確認する
つくし「だ、大丈夫?」
ルイ「うっ…」
少しうなされているようだが意識はあるようだった
つくし「ね、寝かせないと…」
つくしはルイの身体を一生懸命動かし、先ほどのベットに寝かしつけるのだった
月より男子、更新しました!
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