つくしの心の声「ああ…やっぱり西門総二郎だ…」
玄関から入ってきた男の姿を見て、つくしは顔を真っ青にする
西門「……朝早くから…すまない、この香りが気になったものでね」
西門の顔だったが、やはりこの西門も着物を着ている
だが、千恵達とは違い、西門の着物はどっからどうみても高級そうで昔の平安時代の男性の着物のような姿だった
つくし「……ひ、光源氏みたい……」
西門の姿を見て、思わずつくしはそうつぶやいてしまう
運悪く、その言葉を西門に聞かれてしまった
西門「光源氏?聞いたことはない言葉だが、聞いてて悪い感じがする言葉ではないな」
ふふっとした笑い方をする西門
つくしは雅な姿の西門の姿にタジタジとしてしまう
すると千恵がバタバタと西門の前へとしゃがみこみ何かを差し出した
千恵「お、おそらくいい香りはこれ、こちらだと思うんですが…」
千恵が差し出したお皿には、つくしが朝食に作った団子のようなものがのっている
つくしの心の声「あっ…サツマイモがあったから、サツマイモ団子にしたやつだ」
つくしがそう思っていると、西門がそれをしげしげと見つめ香りを嗅いだ
西門「甘い香りがする」
つくし「あ、ちょっとお菓子みたいに甘くするために長く煮たから…」
つくしがそう話し始めると、千恵達が青ざめている
つくし「え?え?どうしたの??」
千恵「そ、そんな口をきいたら…」
つくし「???」
西門「……”お菓子”とはなんだ?」
つくし「えええ???お菓子知らないの?!!!」
千恵「う~~~ん」
春「母さん!!!」
千恵が卒倒してしまい、春が慌てて抱きかかえた
つくし「え?どうしたの??大丈夫??」
つくしが千恵に駆け寄り春が駆け寄ってきたつくしにこう伝えた
春「お、おそろしい娘じゃ」
つくし「え?え?何が??」
わけがわからず春に問うつくし
だが、千恵を床に優しく寝かせた後、春がすくっと立ち上がりこう叫んだ
春「西門様!!!この者が、失礼をいたしました」
つくし「いたたたた…ちょっと!」
春はつくしの頭もおさえ、無理矢理頭を下げさせた
春「こ、このものは、つくしが丘に昨日倒れておりました。なにやら不可思議な服を着て、今朝方元気になったばかりの、素性の怪しいもの…」
春がそう説明をし、つくしが慌てはじめる
つくし「え?え?怪しいものじゃないよ!!」
必死に否定するが、つくしの声は届かない
西門「ふむ…藤原の所の”かぐや姫”のようなものが、ここにも現われたという事か」
つくし「か、か、かぐや姫?!!!」
つくしは思わず大声を出す、かぐや姫は、幼少期のつくしが聞いてきた童話の中のお姫様の名前だ
つくしの心の声「ううん…きっとこれは本気で夢だ、そうに違いない」
つくしの思考は停止してしまい、なんだかおかしくなってきてしまった
つくし「…あははははは」
渇いた笑いをするつくし
春「こ、こら!なんで笑いだす!!」
つくし「いや、なんだか……衝撃的で…」
それでもまだクスクスと笑ってしまうつくしに、西門はにやりと笑った
西門「面白い娘だな、気に入った」
春「え?」
千恵「はあ?!!」
倒れていた千恵ががばっと起き上がり、春が驚く
西門「この娘の身柄は、私が引き取る」
そういった後に、西門は玄関の方に向かった
すると、玄関の外で待っていた西門のおつきの者たちがわらわらと中に入ってきた
おつきの者「失礼いたします」
つくし「え?ちょ?!」
おつきのものは、つくしの両腕を掴み、ずるずると外へと連れだし始めた
千恵「ちょ!ちょっと!!」
千恵が呼び止めようとしたとき、おつきの者の一人が千恵に何かを渡した
千恵「………あんた、元気でね!!!」
渡されたものを見た瞬間に、眼の色がハッキリと輝いた千恵は、コロッと態度が変わり、今度は笑顔でつくしを見送り始める
つくしの心の声「……うちの親みたいだ」
千恵と春の変貌ぶりをみて、つくしはおつきのものに引きずられながらも、そう思ってしまうのだった
今日も読んでくださってありがとうございます!!
星の観覧車にもメッセージありがとうございます(*’ω’*)
更新頑張ってますが引っ越し作業で疲れ切って休んでしまう場合が今後ありそうですので、ご理解くだされば嬉しいです…( ;∀;)
拍手もたくさんあり、すごく嬉しいです!!!!いつもありがとうございます!!!