つくしが引きずられ無理矢理連れていかれた先は大きなお屋敷だった

 

つくし「時代劇のような門……」

 

屋敷をみたつくしがそう独り言をつぶやいてしまうほどに、大きなお屋敷だった

 

腕を掴まれ引きずられたままつくしは屋敷の中へと入っていく、そしてお屋敷の中の庭のような場所でつくしは急に腕を離され転んでしまった

 

つくし「いたたたた」

 

西門「……お前、名は?」

 

つくしの頭上から声がする、西門総二郎と瓜二つの男に見下ろされながらつくしは名前を聞かれた

 

つくし「…牧野つくしです」

 

西門「…つくしが丘の名からとった偽の名だろう?」

 

つくしの返事を信じないと言ったふうに不敵な笑みを浮かべた西門が、持っていた扇子をつくしの顎へと当てながら鋭い目つきでそう言い放つ

 

だけどそんな西門に負けるつくしではなかった

 

つくし「本当に牧野つくしっていいます!!!もう、なによ!!!痛いからやめて」

 

顎に当てられた扇子が痛いせいで、怖いもの知らずのつくしは西門を睨んで扇子を払いのけながらそう答えた

 

心なしか、周囲にまだいる西門のおつきの者達の顔が全員青ざめているようにも思える

 

西門「粋がいいな。お前ら”あそこ”に運んでおけ」

 

つくしに口答えされても顔色一つ変えない西門がそう言った

 

おつきの者「はっ」

 

つくし「ちょっと!!だからなんなのよーーー!!!!」

 

騒ぐつくしに振り向きもせず、おつきの者に指示したあと、西門はどこかに去っていってしまった

 

おつきの者「ここでしばらく大人しくしてろ」

 

ドサっとある部屋へ投げ捨てられたつくし

 

大きな屋敷の敷地ではあるが、少し離れたところにあるもう一つの別棟のような場所へとつくしは連れてこられたのだった

 

つくし「いった!もーちょっとは優しく扱ってよね!!」

 

つくしは投げ入れられたと同時に、尻もちをついてしまう

 

おつきの者「あとで夕餉を運んでくる。ここから出るんじゃないぞ。お前ら、見張ってろ」

 

おつきの者「はっ」

 

数人いるおつきの者達

 

その中でも見るからに着物が違い、立場が上であろう者が指示をだしたせいで、つくしのいる別棟には見張りが立ってしまった

 

そして、扉が閉められ、灯りなどあるはずもない部屋で、つくしは一人きりになってしまう

 

つくし「……いったいなんなのよ…この世界…さっき引きずられてきたときも、車とか電車なんて、まあ当然だけどないし、みんな徒歩移動だし……夢にしてはリアルだし…」

 

つくしは足を延ばし座りながら天井を見て色々と考えている

 

つくし「確か、でっかい穴みたいなのに落ちたんだよな~猫にも逃げられたし、そういえば持ってたカバンも何一つ持ってないし……てか貰ったばっかのお給料が!!!!倒れてたとこ、つくしが丘だっけ…カバン落ちてないかな?!」

 

どう考えても変な世界にいるつくしではあったが

 

今つくしが一番気になってしまったことは、貰ったばかりのお給料が入ったままのカバンの存在だった

 

物事を深く考えずポジティブなつくしならではの思考回路ではあるが、やはり牧野つくしという者は、どこか天然なのかもしれない

 

つくし「あああ…取りに行きたい……取りに行きたいっ…!!ちょっとくらいならいいよね?」

 

思い出したらいてもたってもいられなくなったつくし

 

そして、後先考えない突っ張り娘のつくしは、普通にカバンを取りに行こうと決意した

 

見張り「おい!!大人しくしてろ」

 

つくし「あのーー忘れ物取りにいっていいですか?」

 

見張り「ダメに決まってるだろ!!!今はここから出るな!!!」

 

つくし「ちょ~~っとだけなんで?」

 

笑いながら遠慮がちにそう聞くつくしだったが、見張りが許すわけもなかった

 

何度かのやり取りの後、わかってくれない見張りに対し、痺れを切らすつくし

 

つくし「もう…大事なものなんです!!!ちょっといってくるんで!!すぐ戻りまーーーす!!!」

 

見張り「お前っ!!」

 

つくしは元々、運動神経が良い、そのせいもあってか、スッと見張りをすり抜け、走り出すことに成功してしまう

 

案の定、見張りに追いかけられるつくし

 

つくし「ほんとにすぐ戻るんでー!!安心してくださーーーい!!!」

 

つくしは走りながら見張りに向かってそう叫ぶ

 

だからといってはいそうですかと引き下がれるわけもない見張りも大きな声で叫んだ

 

見張り「待てと言ってるだろ!!!」

 

女性の走りに、なぜか男の見張りは追いつけないでいた

 

つくし「……あれ?あたしこんなに足が速かった?」

 

つくしの歩幅はいつもと変わらないはずなのに、いつもよりも多く進んでしまっていた

 

つくし「あははは、何これ楽しい!!!やっぱこれ夢か何かだ!!」

 

普段感じる事のないスピードに、テンションが上がるつくし

 

そして、つくしのことを助けた千恵と春の家にもう辿り着いてしまった

 

つくし「案外近いよね、ここ。まあ、周りに家が全くないけど…」

 

屋敷とこの家との間に、ひとつも家はなく、田んぼやあぜ道ばかりだったが、つくしは不自然なその様子にも気づかない

 

もしも良く気づくものがつくしと同じ状況を味わったとしたら、なぜこんな貧乏そうな千恵達の家の前を身分が上そうな西門が歩いていたのかとか

 

この世界があまりにも現実世界とは違うということ

 

気になる事はいっぱいなのに、つくしはそれに気づくことができない

 

つくし「あの!!!千恵さんいますか?!!ちょっと聞き忘れたことがあって戻ってきたんですけどー!!」

 

つくしの声を聞いた瞬間に家の奥からドタバタとした足音が近づいてきていきおいよく玄関の扉が開いた

 

千恵「あんた…………西門のぼっちゃんがもうあんたを離したのかい?」

 

玄関から飛び出すように出てきた千恵は、眉間に皺を寄せ、焦った顔をしてそう聞いてきた

 

つくし「いやちょっと忘れ物思い出したんで、抜け出してきたんですよね。あたしが倒れてたつくしが丘?ってとこ、場所を教えてくれませんか?もしかしたらそこにあたしのカバンがあるかもで…」

 

つくしが話し終わる前に千恵が叫ぶ

 

千恵「なんてこと!!!今すぐ西門様のお屋敷へ戻りなさい!!!私たちがそのカバンだかなんだかを持ってってやるから!!!ほらすぐに!!!」

 

突如叫んだ千恵は先ほどより更に青ざめ焦った表情でぐいぐいとつくしの背中を押しはじめる

 

つくし「い、いや、自分で行きます」

 

千恵「いいから!!!!」

 

千恵の叫び声を聞いて、奥の方から春がやってきた

 

春「お前どうしたんだ…っておい!なんでいるんだ?!!」

 

つくしの姿を見た春が、千恵のようにみるみると青ざめていく

 

千恵「どうもこうも!!つくしが丘に忘れてきたものがあるから西門様のお屋敷から抜け出してきたっていうんだよ!!」

 

千恵が叫びながら春へと答える

 

春「なんという愚か者が!!!西門様の怖さを知らんのか!!!」

 

千恵の言葉に春も慌ててつくしの腕をひっぱり始めた

 

つくし「ちょ、痛いってば!!なに?何が怖いの?!ただの西門総二郎じゃん!!」

 

つくしは思わず、現実世界の総二郎の名を呼び、叫んでしまった

 

その言葉を聞いた瞬間に、ピタリと千恵と春の動きが止まった

 

千恵「なんで西門様のお名前を…」

 

春「こ、こいつは関わっちゃいけない」

 

千恵と春はつくしに怯え震えはじめたはじめ、2人手を取り合いながらつくしの方を見る

 

つくし「…どうしたの?二人とも」

 

つくしが2人に手を伸ばそうとしたとき、千恵はつくしの手を払いのけた

 

千恵「ち、近寄らないで!!!」

 

春「!!!!おねげえだから!!!わしたちを巻き込むな!!!」

 

春と千恵は物凄い早さで、家へと入り大きな音で扉を閉めた

 

そして家の中からまた叫びはじめる

 

春「頼むから!!!おめえさんの命もかかってる!すぐに西門様のお屋敷へと戻るんだ!!」

 

千恵「あんた!もう関わるのはおよし」

 

春「でもよ…」

 

この言葉の後、春と千恵の声はもう聞こえてくることはなかった

 

つくし「………さすがに親と同じ顔してる二人にああ言われると、ショックかも」

 

つくしは、2人の言葉に胸が傷んだ

 

でも、戻れと言われてはいと答えるつくしではない

 

つくし「まっとりあえず、カバン取ってからもどろっと」

 

物事を深く考えない能天気なつくしは

 

つくし「つくしが丘っていうぐらいだから、どっかの丘でしょ」

 

そういう考えにいたり、千恵の家の付近にありそうな丘を探し始めるのだった

 

そして家の玄関を少しだけ開け、千恵がつくしのほうを見ている

 

千恵「……西門様があんたを気に入った時、あんたを生贄に出すような気持ちになっちまって、思わず引き止めそうになった…私に娘はいないけど、まるであんたは私の娘のようだと思えたよ。たった一日しか一緒にいないのに…どうか、どうか無事で…」

 

つくしの背中が見えなくなるまで、千恵はずっとずっとつくしの方を見つめ続けた

 

その姿を見て、春がポンと肩を叩く

 

春「戻ればいいがな」

 

千恵「でも、戻ったとしても」

 

春「どっちにしろ地獄か」

 

千恵「でも、逃げるよりは…」

 

春「そうさな、逃げるよりは地獄ではないな」

 

春と千恵はそう話しながら姿の見えなくなったつくしの事を思う

 

春「何かしてやりたいけんど、関わっちゃだめだな」

 

千恵「わ、わかってるわよ……ただちょっと、気になるのよ」

 

春「それはわかる」

 

千恵と春は目が合い、二人は力なく笑う

 

千恵「【西門総二郎】帝より力があって、この世界はあの方の手のひらの上」

 

春「本当に、恐ろしい御方じゃ」

 

 


 

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