つくし「なんとな~くだけど、あの丘っぽい!」

 

あぜ道を歩くつくしは、タンポポのような黄色い花が咲いている丘を遠めに見つけた

 

つくし「カバンがあるといいんだけど…」

 

つくしが、丘へと向かう

 

その時、つくしの後ろの方から大きな声が聞こえ向かってきた

 

謎の男性の声「それにしても、かぐや姫様の婿様には誰がなるのかの」

 

謎の女性の声「そうさの、かぐや姫様は求婚者に無理なお願いをしていると言うから……」

 

どうやら、この声の主たちは世間話をしているようだった

 

つくしは思わず、大きな木の後ろへと隠れて聞き耳をたててしまう

 

謎の男性の声「かぐや姫様は源氏物語の桐壷の女御と呼ばれているくらいの美女との噂、公達達のほとんどが求婚していると聞くから一人に決めるにはしゃあないわなぁ」

 

謎の女性の声「ほんにほんに…でもあの西門様は求婚しなかったというよ」

 

謎の男性の声「あの御方は……色々と難しい御人じゃからな…」

 

謎の女性の声「ほんにほん…」

 

女性が世間話に楽しそうにうなづこうとしたとき、聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

西門「どのように難しいのか知りたいものだな?」

 

謎の男性の声「ひぃっ!!!」

 

謎の女性の声「に、西門様!!!!!あぁぁぁぁぁ申し訳ございません!!!」

 

女性も男性も、一気に顔が土気色になり、土下座をしている

 

つくし「やっば…もしかしてあたしのこと追ってきた?」

 

おそるおそる、木の陰から成り行きを見守るつくし

 

西門「……どのように難しいのかと聞いているのだが?」

 

西門の鋭い視線と声、男性も女性も震えあがってしまっている

 

つくし「あああああもう見てられない!!」

 

思わずつくしは男性と女性の前に立ちはだかるように飛び出してしまった

 

つくし「ちょっと!!そんな怖い顔で話しかけたらみんなびびっちゃうでしょ!!!」

 

つくしが立ちはだかると同時に、男性と女性は一目散に逃げてしまった

 

つくし「あ…」

 

そう、つくしはせっかくこの二人を庇ったのに、見捨てられてしまったのだ

 

西門「くっくっくっ」

 

つくし「何笑ってんのよ」

 

その様子を見て、西門は扇子を口に当て、とても面白そうに笑っている

 

西門「屋敷を抜け出したそうだな、すぐ戻ると言っていたそうだが、ずいぶん遅いからお前は逃げたのだろう?せっかく逃げ切れそうだったのに、とんだお人よしだな」

 

にやりと意地悪な笑みで西門が言うが、つくしは何も気にしていないようだった

 

つくし「え?だからカバン取りに行ったらすぐ戻るって言ったじゃん。つくしが丘がどこにあるのかわかんなくて遅くなっちゃったんだよね」

 

つくしが頭をぽりぽりと掻きながら困った表情でそう言った

 

西門「………つくしが丘はこちらだ。そう広くはない丘だから、一緒にいってやろう」

 

つくし「え?!!ありがとう!!!」

 

何かを考えこんだかと思った西門の返事は意外なものだった

 

つくしは素直な性格の為に満面の笑顔でお礼を言ったのだが、西門の後ろの方に隠れるように、おつきの者達がいた

 

おつきの者「に、西門様、おやめください。その者は恐ろしい程に足が速く、物の怪の類やもしれませぬ…関わるのはおよしになったほうが…」

 

そう西門に小声で苦言を言うのおつきの者は、つくしを追っていた見張りの者だった

 

西門「……あのような娘はいまだかつて出会ったことがない。面白い」

 

おつきの者の心配そうな表情とうって変わって西門はとても楽しそうに笑っている

 

もちろん、西門の耳に苦言はまったく届かない

 

しぶるおつきの者をよそに、うきうき顔のつくしとそんなつくしを面白がっているつくしが、先ほどつくしが見た黄色の花が咲く丘へとたどりついた

 

つくし「すっごい!!!やっぱここだったんだ!!」

 

つくしは自分のカンがあたったことに大喜びしてぴょんぴょん跳ねている

 

そんなつくしに西門は丘の下側を指さしながらこう言った

 

西門「このてっぺんから、黄色い花が咲いている場所だけが、つくしが丘と呼ばれている」

 

つくし「は?」

 

西門「なんだ?」

 

つくし「いや、だって、黄色の花が咲いてる場所って…狭すぎない?!!」

 

そう、黄色の花が咲いている場所は、大の大人が三人、縦に寝ころんだくらいの広さしかなかったのだ

 

西門「つくしが丘は広くはないといったろう?」

 

扇子を口に当て、ハハっと大口を開いて西門がまた笑う

 

つくし「もう探さなくてもカバンが無いってわかるじゃんー!!!!!あああああああ今月分のお給料がああああああああ!!!」

 

つくしが丘を探し回らなくても、木も何もない草原と黄色く低い花だけのつくしが丘に、カバンが無いのは一目瞭然だった

 

つくしは絶望から頭を抱えて叫んでしまう

 

西門「”カバン”とは大切なものなのか?」

 

叫ぶつくしに西門が問う

 

つくし「そりゃあもう、大事も大事。あたしの宝物だよ」

 

つくしはへなへなとその場にへたり込んでしまった

 

西門「ふむ…」

 

少し考えこんだ後、へこんでいるつくしに西門が声をかける

 

西門「つくしが丘近くも、使用人を使って探させよう。今日は日も暮れるし、一度屋敷へ戻り明日もう一度ここに来てはどうだ?」

 

西門の思いがけない優しい言葉に、つくしは一気に元気になり、西門へと無邪気に抱き着いてしまった

 

つくし「え?!!ほんとに!!!やっぱり、西門総二郎は優しい人だなぁ…!ありがとう!!!」

 

おつきの者「ぶ、無礼者!!」

 

おつきの者が抱き着くつくしをすぐに引き離そうとするが

 

西門がおつきの者に向かって、手のひらを見せ、制止させた

 

おつきの者「こ、これはなんということだ…」

 

2人の様子にぼそっと小声で気持ちを零す

 

恐ろしさしか感じないおつきの者の顔は青ざめた色から戻ることはなかった

 

そんな空気を察することもできない、天然のつくしは

 

この世界で一番力があるはずの【帝】よりも恐ろしく

 

ある者達には【天狗】と呼ばれている西門総二郎に抱きついてしまっている

 

かぐや姫は月に帰れるお姫様

 

でもつくしは、帰れるのだろうか?

 

つくしは帰れなくなる身の危険すら感じずに、この世界でまた一日が過ぎてしまうのだった

 


 

今日も読んでくださってありがとうございます!

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明日は日曜日ですね!みなさんにとって良い休日になりますように!(休日で無い方ももちろん良い日でありますように!)

 

 

 

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