西門の鋭い視線はつくしに緊張感を与えるのに十分だった

 

西門「素性を知る者なのかと聞いている」

 

西門が後ろ手で扉を閉めたかと思うと、つくしの方に音もなく近づいて睨まれてしまう

 

つくし「す、素性というか…かぐや姫と言えば、みんなが知ってる物語と言いますか…」

 

しどろもどろになりながらもつくしは答えた

 

すると何かを考えこむ西門

 

西門「ものがたり…」

 

つくし「…知らないの?」

 

つくしの言葉に無言で睨み返す西門

 

つくし「ああ、そっか…」

 

ふとつくしは自分のおかれた状況を思い出した

 

穴に落ちて変な世界に来てしまったか、それか自分の夢っぽいのだから”ここ”でかぐや姫の物語を知られていないのもしょうがないと腑に落ちたのだ

 

つくし「なあ~んだ、そっかあ」

 

つくしはふふふと笑う

 

西門「何を笑っている」

 

つくしが笑うものだから、西門の眉間に深い皺ができてしまった

 

だが、夢の世界かもと思い込むつくしに、怖いものなどない

 

つくし「それにしてもなんで夢に西門総二郎がでるんだろ?確かにこの前優紀が西門さんに助けられたとかいって西門さんの話をしたばっかりだけど…」

 

西門「何をぶつぶついっておる」

 

つくしは自分が考えていたことを口に出していたことに気づいた

 

つくし「あっなんでもないです。あの、あたしが知ってるかぐや姫の物語でいいのなら、お話しましょうか?」

 

西門「話せ」

 

西門の鋭い声に怖がることもないつくし

 

つくしはまるで小さな子に読み聞かせるような話し方でかぐや姫の物語を話し始めた

 

そして、すべてを聞き終えた時、ふとつくしが西門の顔を見ると、顔面蒼白で絶句していた

 

西門「ではかぐや姫は求婚者の誰とも結婚せずに月に帰ると申すか」

 

つくしは緊迫した西門の表情に間の抜けた返事を返す

 

つくし「そ、そうですよ?!月の姫だったから月に帰るんです!!ロマンチックですよね~」

 

にっこにこの笑顔のつくしとは正反対に、西門の顔が今度はみるみると赤くなっていった

 

西門「帝の求婚すら断る無礼者なのか」

 

西門は何かを思い悩んでいるようだった

 

そして、つくしの方を真っすぐ見てこう言い放った

 

西門「そなたはもしかすると、預言者なのか?」

 

つくし「よげ…?」

 

なにをいっているのだろうとキョトンとした顔で西門のほうを見るつくし

 

西門「かぐや姫は確かに竹林で見つかった姫だ、この世の者とは思えぬ美しさで求婚者があとをたたない、それのせいで先日かぐや姫は求婚者に無理な事を願ったばかりなのだ」

 

つくし「へえ…」

 

つくしは、この世界のかぐや姫と呼ばれてる人も同じことしてるんだと思い興味深そうに聞いている

 

西門「だが、帝の求婚で決まりだと思っていたが…まさか月に帰るとは…」

 

西門が爪を噛む、上品そうな男性が爪を噛む姿を見るのはつくしは初めてだった

 

それほどまでに、西門の思考がパニックになっていたともいえる

 

つくし「で、でもこれはただの物語ですし本当にそうなるかどうかは…」

 

つくしはそう答えたが西門はつくしの言葉を信じきってしまった

 

西門「預言者は不可思議な衣を身につけ、突然現れるとも昔の書物に書いてあった。おぬしがそうなのだろう。ふむ、いい拾い物をした、おぬしはこの家にしばらく住むといい、もてなしてやろう」

 

つくしはそれに二つ返事でうんうんとうなづいてしまう

 

なぜならば

 

今この世界をやみくもに歩くのも気が引けるし、とりあえず食べるものがでる西門の家にいよう

 

つくしは瞬時にそう思ったからだった

 

能天気なつくしと違い、西門は不敵な笑みを浮かべているようにもみえる

 

こうして深くは考えない能天気なつくしのせいで

 

かぐや姫の物語に、つくしが”登場”することになってしまったのだった

 


 

 

今日も読んでくださってありがとうございます!!!

 

お休みが続いてしまいました…申し訳ありません

 

引っ越し作業って……大変ですね……( ;∀;)

 

もう引っ越しが終わった方も多いと思います、お疲れさまでした…私も頑張ります!

 

 

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